2011/03/28

「アーバンソング」やります

◆四谷荒木町にある「スナックアーバン」というスナックで、4月から隔月ぐらいのペースで弾き語りのライブイベントを開催させていただくことになりました。

普段は完全会員制のお店ですが、このライブはもちろんどなたでも大歓迎です。ただ、店内は20数名も入ればいっぱいになってしまうため、早めのご予約をお願いできれば幸いです。
なにとぞよろしくお願いします。
「アーバンソング」#01
2011年4月24日(日)
open 17:00/start 18:00
@スナックアーバン
http://snack-urban.com/
(丸ノ内線「四谷三丁目」4番出口より徒歩2分)

<出演>
豊田道倫
藤井洋平(a.k.a. まめッこ)

<料金>
¥3000(2D込)

<予約>
「名前/枚数/電話番号」を以下までお願いします。
urbanuta@gmail.com

◆今回のライブ企画をスナックアーバンのママから振っていただいたとき、なにはともあれまずは豊田さんにお声がけしないことには始まらないだろうと思いました。快諾していただきうれしい。

じつは地震の日、一時間ぐらい前まで新宿駅東口ベルクで豊田さんとまさにこのライブの打ち合わせがてらコーヒーを飲んでいました。先日お亡くなりになった加地等さんの話などもしました。
あの日の記録を豊田さんもブログに残しています。

◆もうひとりのまめッこは、今年1月に発売された1stアルバム『この惑星の幾星霜の喧騒も、も少したったら終わるそう』で聴けるベッドルーム・ファンクが素晴らしく、そのレコ発として今月20日に阿佐ヶ谷ROJIで行われたワンマンショウでの熱量にも圧倒されたばかり。
スナックのアーバンな雰囲気の中で聴いたら最高だろうな、と勝手に確信しています。

では最後に今年1月に撮影させてもらった藤井洋平(a.k.a. まめッこ)のライブ動画をば――。

藤井洋平(a.k.a. まめッこ)「ママのおっぱいちゅーちゅーすって パパのスネをかじっていたい!」


藤井洋平(a.k.a. まめッこ)「あなた、バカみたい!」

2011/03/26

Here and Elsewhere

◆地震の瞬間は新宿の高層ビルの30階にいた。免震構造とおぼしきそのビルは必要以上に揺れた。尻餅をついた黒人が大声を上げる。ぼくは体育座りの体勢でデイパックを頭にかざし、じっとしていた。

けっきょくそのビルに1時間ぐらい留まる羽目になった。エレベーターが止まり、階段も封鎖され、なによりビルの中がいちばん安全だというので。
揺れがおさまってもなお黒人は尻餅をついたままだった。Twitterと繋がることが妙な楽観をもたらす。遠くのビルからあがる黒煙を、窓越しに見た。

本当は夕方から原宿で家族全員集まって食事をする予定だった。そんなの3年に一度あるかないかのことだ。
けっきょく父親だけが原宿にたどり着き、祖母と母と妹は電車の中で足止めを食らってそのままUターンしたという。ひとり暮らしの祖母が母と一緒にいたことは不幸中の幸いというべきか。

青梅街道を歩いて帰宅。棚から飛び出した食器が割れて、リビングに散乱している。書斎のことは一目見ただけで、もう考えないようにした。
テレビでは帰宅難民のニュース。震源地の模様はなかなか伝わってこない。

深夜、テレビで気仙沼港が火に包まれている映像が流れる。未曾有の事態が起きていることを実感する。

◆12日土曜日。朝から痛ましいニュースが続々と流れてくるが、何もできない。福島の原発の様子も気がかりだ。
ただただネットやテレビに張り付き、情報を摂取しつづける。軽い離人症のようなものに掛かっていたかもしれない。
反動で、こんどは情緒がおかしくなってくる。やたら涙もろい。自己防衛のため、布団に入り、ちいさな音で志ん生の落語や70年代のSSW物なんかを聴く。

◆13日の昼、坂口恭平が吉祥寺に新居を完成させたというので手土産を持って訪ねる。
吉祥寺の月極駐車場に車両として建てられたそのモバイルハウスは、ホームセンターで買える資材を使い、総工費2万6千円也。駐車料金と合わせても、わずか5万円弱で持てるマイホームだ。
しかもソーラーパネルと自動車の廃棄バッテリーを使った太陽光自家発電システムにより、電力は完全自給自足だという。持っていたiPhoneを繋いだら、普通に充電できてしまった。現状、被災地では避難と救助が最優先だが、いずれ仮設住宅のことを考える際には役に立つアイデアかもしれない。

坂口恭平の近著『ゼロから始める都市型狩猟採集生活』は、ぼくが今年の1月まで在籍した太田出版で編集した最後の活字本となった。
本書ではいかに我々の生活においてインフラがブラックボックス化しているかについて、繰り返し注意を喚起する。その延長として、電力エネルギーについての関心が浮かんでくるのは自然なことだった。
坂口恭平、磯部涼らとともにDOMMUNEでやっているレギュラー番組「都市型狩猟採集生活」で、環境エネルギー政策研究所の飯田哲也所長と映画『ミツバチの羽音と地球の回転』が公開中の鎌仲ひとみ監督を迎え、原発問題と自然エネルギーの可能性について考える放送をしたのは3月3日のことだ。あれからまだ2週間と経っていない。
放送は視聴者の反響も大きく、とりわけ番組中に聞けた飯田さんの言葉は、たんなる反原発でも、原発推進でもなく、原子力から自然エネルギーへのシフトに広く社会的なメリットを求めるという観点に立つことで、「脱原発」を目指す道程をリアルに捉えており、かなりのインパクトがあった。

震災は起きたが、新たな現実を見据えながら、これまで思考してきたことをより徹底してやればよい。
そう思えばいくらか気も晴れ、腹も据わってくる。

◆しかしそんな気分も、わずか2、3日で雲行きが怪しくなった。
福島第1原子力発電所でメルトダウンが起こる可能性がゼロではないという。たとえ最悪の事態が起こらなくとも、放射線による汚染は関東一帯にまで及びかねない。
飛来する放射性物質自体もそうだが、専門家の意見もまちまちという、“目に見えない”不安がこちらのメンタルを着実に削ってくる。

西日本に避難する友人・知人の声もちらほら聞こえてきた。ぼくも母方が大阪なので、関西に親戚は多い。一瞬、夜行バスで大阪にでも、なんてことも考えるが、やめる。仮に最悪の事態が回避されても、この状況は当分続くだろう。ことによっては数ヵ月、半年、1年。完全に移住するならともかく、一時的な避難は気休めにしかならない可能性が大きい。そう判断した。
もちろん生活圏を奪われてなお放射能の恐怖にさらされている被災者の方々や、妊娠中の方、小さいお子さんなどはできるかぎり安心できる場所にすみやかに避難してほしいと願う。

だれも被曝などしてほしくない。けれども事態の打開(指揮系統の判断ミスを含む)のために被曝してしまう作業員の方々がいる。東京でもヨウ素やセシウムが検出される。
頭ではわかっていても、すべて現実だと言い聞かせないと、いまだ信じがたい瞬間がある。

◆ずっと足下が揺れているような、いや実際、余震もなお続いている。
17日、秋葉原グッドマンにてお世話になっている吉祥寺バサラブックスの5周年記念イベント
ダイヤ乱れの日比谷線で駆け込むと、ステージにはわれらが赤い疑惑が。新曲のグルーヴがすばらしく、身体をあずけて揺らそうとするのだけど、アレ? ……かてえ。 と思ったら、そうか地震以来のライブハウスじゃないか。
けれども徐々に徐々に、疑惑であったまってくる。知った顔もフロアにいっぱいいて、それだけでもほぐれてくる。オダジーのDJは変テコでウケるし、ハラくんの弾き語りはお喋りみたいだし、ゲラーズの激しさはなんだか沁みるよ。
「笑えない日々を笑いとばすのさ/くだらないことにすべてを懸けるのさ」
ゲラーズ川副くん畢生の名曲「M」が、こんなふうに響くとは思わなかった。

思い起こせば3年ぶりのグッドマンだった。
あの夜とおなじように、大橋くんと奥田さんと総武線に乗って帰ってきた。

◆ニューヨーク・タイムズ紙に載ったという水木しげる先生のイラストがすごい。
「東京に日本のお化けが住めないところに、日本の悲劇がある」
そう言ったのは喜納昌吉だったか。
今回ですこし変わるかもしれないな。街の暗さだって、案外わるくない。

◆被災に遭われた方々には本当に心よりお悔やみを申し上げたい。
阪神・淡路大震災のときにも顕著だったが、この国は個人補償に対して(忌避とすら言っていいほど)えらく消極的なので、長期的に見たときに国内難民のような事態に陥ることも予想される。
これから始まるであろう物心両面のケアをサポートしていく必要がある。できることを探っていきたい。

◆半径5mぐらいの「自分」がどうやったら「社会」とつながる回路、それもできるだけウソくさくないやつを手に入れられるのか。もうそんなことを10年ぐらい言っている。
そうやって見てきた、聞いてきた、読んできたものが、たくさんある。
そう考えながら、原稿を書いたり、本をつくったり、べちゃくちゃおしゃべりもしてきた。
あいかわらずだが、ちょっとずつ更新していくしかない。