2009/12/31

12月のIllumination

大みそかだ。
12月もそれなりにいろいろとあったけど、その前に11月の最後の日、円盤でゴキゲンな楽隊、片想いの演奏を観たのだった。
あだち麗三郎がドラムを叩いていて、あだちくんはいまや片想いのメンバーなのでそれはぜんぜん不思議なことではないのだけど、「ああ、あだれいが片想いでドラムを叩いておるなあ」と不思議だった。

週があけて、ここから12月の話になり、月曜にリミニ・プロトコル「Cargo Tokyo-Yokohama」のカーゴに乗車。



運送会社の個人請負、偽装請負の現場を取材したことがある身からすると微温的な大人の社会見学の感は否めなかったけど、シェイクスピアの「世界劇場」を思い起こさせられるようなスリリングで美しい瞬間がたくさんちりばめられていて、胸にせまるものがあった。

水曜、弁天湯で「湯けむりライブテープ」と題して、前野健太とデヴィッド・ボウイたちin風呂ロック。静かに熱をため込むバンドセットと、ナチュラルエコーで突き抜けるソロセット。すばらしいライブだった。

木曜、六本木ABCで古川日出男さんの朗読。目の前で書かれる小説を体感するような。いよいよ『ミュージック』が産みおとされようとするその前夜。

金曜、快快のGORILLAを、「三月の5日間」のオーディションというテイで岡田利規が振り付けするというので池袋へ。フェスティバル/トーキョー関連イベント。
GORILLAに関しては当のゴリラが会場にやってきた日のレセプションパーティも見たが、これがじつに快快らしく、「ちゃんとやれよ!」と言いたくなるようなスキだらけの催し物だった。もちろん彼/彼女らはハナからちゃんとやる気などなく、いや、やる気はあるのだろうけど、「ちゃんとゴリラになりきる気」はないわけで。「そこじゃない」ってやつ。これまでも快快の起ち上げようとするイリュージョンが風に飛ばされてしまったり、早々に脱臼してしまう模様なんかをなんども眺めてきたけれども、けっきょくそこじゃないわけで。快快がやろうとするのは別のなにかをいまここにイリュージョンとして起ち上げることではなく、言ってみれば、いまここにいる自分たちにレイヤーをかけるような作業なのだ。レイヤーのチョイス、アルファチャンネルの設定、そしてエディット。幾層かのレイヤーをまとったとき、俳優はかぎりなく「キャラ」とよばれるものに接近する。これはめずらしいことでもなんでもなくて、ある世代以降の若者にとっては、日常生活でわりとなんなくやっている作業だろう。
で、ゴリラである。レイヤーを視覚化したら着ぐるみになっちゃったという。合い言葉は「ウホッ」。それ以外はゴリラであることにまったく頓着せず、普通に岡田さんと会話をしていた。見た目ゴリラが一生懸命に六本木スーパーデラックスの場所を説明する模様は、クリックひとつ「ゴリラ」というレイヤーを外してみれば、そのまま普通に「三月の5日間」のオーディション風景であった。だからハプニング集団(?)みたいな連中がいくらバナナを持ち込んでゴリラを挑発したところで(たとえそれが大喜利的に正解だったとしても)、そこじゃないのだ。かわいそうなことだけれど。

日曜、にしすがも創造舎で庭劇団ペニノ「太陽と下着の見える町」。あらゆる解釈を玉なしにしてしまうパンチラとシナトラ。ばかばかしいまでの本気。ばかばかしさへの本気。

西巣鴨から阿佐ヶ谷に移動し、ROJIにて片想いワンマンライブ。
大ちゃんのつくったシチュー&パンがうますぎる。片想いのライブをこんなにじっくり聴くのははじめてで、わかっていたことではあるけれど名曲ぞろいだなあ。そして日曜から数えるとこの週ライブ目撃3回目となるあだち麗三郎。この日もリヴォン・ヘルムばりのタメっぷりドラムが最高だった。「管によせて」で呼びかけてもらえてうれしい。シンくん、早く映画『ザ・レスラー』を観ましょう。

一週とばして、12日の土曜日、トクマルシューゴとThao with The Get Down Stay Downのライブを渋谷DUOで。with The GDSD名義で出たThaoのニューアルバムがとてもよくて。



ひさしぶりにUSインディ!って感じのライブ。なんだかなつかしかった。トクマルくんも、変則風マジックバンドな編成、新曲多めでとてもよく。

週あけて14日、SPOTTEDナヲイさんのライブイベントで渋谷LUSH。遅れていったらちょうどTUTU HELVETICA。那須のスペクタクル・イン・ザ・パーク以来。相対性理論以上に世界観を濃縮したそのステージは、演奏というよりも展示というのに近く。素材はポップなのに、お客さんの息を呑む音まで伝わってくるようなあの緊張感はなんだろう。豊田道倫×池永正二。タフなふたり。知らない間に昆虫キッズの佐久間くんがドラムを叩きはじめたり、ああいうドキリとする感覚がたまらない。前野健太とデヴィッド・ボウイたち、気持ちピッチ早めの飛ばした感じが熱い。ただアンコールがなあ、ちょっと長かったなあ。

忘年会ラッシュなどありつつ、さらに週あけて22日、神村恵「配置と森」の再演を観に六本木スーパーデラックス。このよくわからなさ、とっかかりのなさはすごい。音楽も手がかりにならない。もちろんコンセプトや、ダンサーを動かしている感覚、ルール、アブストラクトな手触りなんかは感じられるのだけど、それらが構成のなかに完全に溶け込んでおり、ただ出来事を目撃しているような不思議な時間。おもしろかった。

27日、ジャン相見が出演するオルガンヴィトー「幻探偵2」を下高井戸・青の奇蹟で。水芝居×魂の救済というジ・アングラ劇。ジャンさんはニセ中国人というあまり演技力を問われない役回りだったので安心して観劇。思いのほかよかった。

29日、毎年恒例となった豊田道倫の渋谷0-nestライブ。今年はwith 昆虫キッズ。昆虫をバックにした豊田さんはハードだった。勢いあまって客席へのダイブまで。はげしくかっこよかった。ステージ裏からカンパニー松尾、正面横から岩淵くんがビデオカメラを回している構図がまた大河ドラマで。

さようなら2009。へんな年だったな。
ではバウスシアターに『ライブテープ』を観にいってきます。