2009/04/27

なのにニルヴァーナの登場で

数年ぶりに高熱をともなう風邪、にくわえて布団で安静をいいことにDSでドラクエ5をはじめてしまい万事泥沼化。地獄の黙示録。ノドいてえ。ドラクエすげえ。5とくにすげえ(6と7は未プレイだが)。ようやく魔界への扉が開いたところ。

先週は「キレなかった14才」でこまばアゴラ劇場に通いながらライブや映画など。

Maeno0420◆月曜日、前野健太ソロ「ギターと歌う vol.08」@無力無善寺。
まだ『さみしいだけ』が出る前のこと、やはり無善寺でのソロライブのときにビデオ撮影を頼まれたことがあった。ちょうどそのライブでは『さみしいだけ』に収録される曲の多くが新曲として披露されたのだけど、それがあまりにも名曲揃いだったので、ビデオからこっそり音源だけ吸い出し、マイブートレッグとして愛聴していた。
今回もまた、新曲がすばらしすぎる。ガットギターの優しい音色で生みなおされた曲たちにもうっとり。

狭いフロアに思わぬひとを発見。聞けば、ここ一ヵ月くらい前野健太のおっかけ状態だとか。前野健太ということでなしに、こういうひとは信用できる。大事なのは淫すること。

◆水曜日、「アントン、猫、クリ」(作・演出:篠田千明、「キレなかった14才りたーんず」参加作品)@こまばアゴラ劇場。
俳優の動き、発話、映像、音楽も含めて見事なエディット術。ノンリニアというか、タイムラインをレイヤーとして可視化する感覚はいまっぽいといえばいまっぽいのだけど、それを舞台というライブの場でやろうとするのがすごい。しかも刻み方が短い。

ちょうど月曜のマエケンライブの打ち上げのときに、松江哲明監督が若い子に、むかし僕に「松江さんはテンポが短すぎる」って言われたけど、それからしばらくして僕が「あれは間違ってた。あの短いテンポにはなにかあると思う」ってわざわざ謝ってきたっていう笑い話をしてたんだけど、ちょうどあの松江哲明の刻み方に通じるものを感じた。
この日記でもこんなことを書いている。
なお松江さん本人の編集について、ぼくはインタビューのなかで「セックスのダイジェストに見えてしまう」なんて失礼なことを言ってしまってて、これはホントに浅はかな発言だったと後悔している。「ドキュメンタリーは嘘をつく」で思い知らされたんだけど、松江さんの同ポジを多用した短いテンポのつなぎは、もう独特というか、これについてはもう少しゆっくり考えてみたいんだけど、とにかくかつてのバクシーシ山下の「雑さ」がそうであったように、松江さんのあのテンポもなんらかのぼくたちの潜在的な感性を反映しているように思えてならない。おそらくこちらもそれを説明するための新しい言葉、文体を発明しなければならないような。
もちろんこれらの技術は密接にテーマとも絡み合う。
快快だったら、たとえ同じようなテンポでも、「一瞬だけの輝き」というか、「いましかない」という刹那さ(切なさ)が前面に出てくるところが、篠田ソロだと(もしくは今回のような企画だと)あくまで文体の問題になっているのも面白かった。

◆木曜日、昼に時間がぽこっとできたので、新宿バルト9で映画『ミルク』。



必殺のスローモーションとかきっちりガス・ヴァン・サント映画なんだけど、観おわるともう、ショーン・ペン!のことしか頭にないよ。

駒場に移動し、「学芸会レーベル」(作・演出:中屋敷法仁、「キレなかった14才りたーんず」参加作品)@こまばアゴラ劇場。
まだ3本目なのに思ってしまう。みんな作風がちがいすぎて面白い!

しかしこれはすごかった。幼稚園を舞台にした先生と生徒による学芸会風(あるいはドラゴンボール風)バトル芝居のなかで、先生と生徒が「学芸会」を開催すると(つまりもともと学芸会レベルなのに、さらに劇中劇として「学芸会」を開催すると)、舞台上にカオスがおとずれる――という、文章で書いただけではなにがなんだかよくわからないハイテンション演劇。「ジャンプ」と「にこにこぷん」への憧憬たっぷり。
ペラいはペラいんだけど、野鳩みたいなクールなペラさではなく、熱量ぎっしりなので、紙に熱で燃える燃える。

◆金曜日、「14歳の国」(演出:杉原邦生、「キレなかった14才りたーんず」参加作品)@こまばアゴラ劇場。
やられた! 立川談志師匠いうところの「やりやァがった」出来。自分はやっぱりこういうものが好きでたまらないんだなあと再確認してしまった。

ライブで体感しないと意味のないなにか。
壮大な空振り。思わぬ空振り。人生を思わせるような。
まだやってるのでネタバレしないでおきます。
戯曲を使われた宮沢章夫さんにもぜったい観てほしいなあ。

夜、松竹試写室で映画『ザ・レスラー』試写。



偶然にもアカデミー賞・主演男優賞つながり(この話も、ショーン・ペン!の受賞スピーチも最高)。
町山さんの2008年ベストワン映画ということで期待して観たら、言わずもがなの傑作でした。『ビヨンド・ザ・マット』(あるいは『レスリング・ウィズ・シャドウズ』)ミーツ『ロッキー』。だけどラストの選択がちょっと違うというか。泣けたなあ。スプリングスティーンの主題歌がいいんだまた。

◆土曜日、「グァラニー ~時間がいっぱい」(作・演出:神里雄大、「キレなかった14才りたーんず」参加作品)@こまばアゴラ劇場。
町田の喫茶店でパラグアイでの日々を回想するオレにふりかかるいくつもの時間。次第にあきらかになっていくルーツ。甘美と辛酸。おそらく6作品中もっとも私小説性の高い作品。

一見するととらえどころのない演出の多様性が、時間感覚や文化の多様性に折り重なっていく。この作業を「スムーズ」に処理したほうがいいのか、「ぎこちなさ」を残したほうがいいのかはかなり考えどころだったと思う。

フリルのひだが効いていた。あの時間にいつまでも浸っていたいと思った。

2009/04/20

キレなかった14才

あまりにも濃密だった(「男の星座」的クライマックスが3回ぐらいあった)3月をすっ飛ばして、4月前半の備忘録。

◆4月1日、ジャン相見生誕40周年祭「ジャンさん、アラフォーって言葉があってよかったね」@阿佐ヶ谷ロフトA。
よく考えたらアラフォーって言葉の使い方間違えてるんだけど、でもよかった。フタを開けてみれば、笑いとブルース満載のすばらしきイベント。
ジャンさん芸人なのにお客さんに背中向けちゃうし、振ってもしゃべらないし、過去の恥ずかし映像流したらホントに恥ずかしがって映像止めようとするし……でもジャンさんのうれしそうな顔だけでオールオッケーだもんな。
ケツに別の仕事が入っていた猫ひろしさんから「あまりにも楽しかったので去りがたかったです」とのメール。それからバースデイソングのギターまで弾いてくれた豊田道倫さんのこの日記もうれしかった。豊田さんも書いてくれているけど、ジャン相見人生読本『ジャン狂(グル)ブック』、これぞミニコミという最高の出来なので、ぜひともみなさんも手にとって読んでみてください(どうやったら手に入るのかわからないけど、たぶん吉祥寺バサラブックスなどに問い合わせてもらえればなんとかなるのでは……)。
あとジャンさんのブログ、地味に面白いですよ。

◆4月4日、井の頭公園で花見。
10人が20人になり、20人が40人になりと吸収・合併をくりかえし、別働隊でこの日プレオープンの酒場de DABADA(祝・風呂ロック再開!)を急襲したり、なぜか弁天湯の湯船につかったりしながら、最終的にカラオケルームで撃沈。
山下敦弘監督の「リンダリンダ」がレアすぎた。

◆4月5日、夕方から「キレなかった14才りたーんず」ワークインプログレス@急な坂スタジオ。横浜・日ノ出町なつかしー(学生時代うろちょろした町なのです)。
杉原くんと中屋敷くんのしか観れなかったけど、それでもこの企画のエッセンスを味わうに足る2時間だった。
会場で会った岸井大輔さんも指摘してたけど、俳優も含めて、ホントみんな仲がよい。作家間のコミュニケーションも密。

お誘い電話で下北沢に移動して、ナヲイさんや、あだち麗三郎くんや、ライブ終わりのcero(また見逃した!)周りのみんなと北沢川緑道で夜桜花見。こっちゃんがつくっているコンピが楽しみ。何度でも書くけど、東京の演奏2があってホントによかったと思う。オレが。そして、たぶん演劇にもこっちゃんみたいなひとがいて、そういうひとに会いたいといつも願っている。

◆4月7日、動物大集会 vol.01「前田司郎さんとだらだら飲もう!」@阿佐ヶ谷ロフト。
いやー楽しかった。自分で言っちゃそれまでですが。盛況だったし、よかったー。
四方山話→伊藤亜紗さんを迎えてまじめな話→休憩→怪談→石川直樹さんを迎えて冒険&生活アドベンチャーな話(エベレスト登頂映像つき)→神里雄大さんを迎えて五反田団以降の演劇チラシのちょっといい話。
といった構成でお届けしました。
予想したとおり、前田さんと石川さんのスウィングっぷりがすさまじく、前田さんが気軽にふったフリ、「おれたちチョロQ世代ですよねー」 で発覚した、石川直樹さんの「世界7大陸最高峰登頂最小年記録(当時)」にならぶ偉業――「日本チョロQ大会第3位」が発覚した瞬間が最高でした。笑ったなあ。打ち上げも楽しかった。
以前より面識はありつつもちゃんと話したことのなかった、大好きな雑誌の編集長と朝まで飲めたのもうれしかった(さすがというか、ああいうひとは最後まで帰らないんだホントに)。

◆4月9日、庭劇団ペニノ「苛々する大人の絵本」@はこぶね。
ペニノ最高。大好き! ずっと前に日記でこんなことを書いて、その後、タニノさんとも何度か話す機会があって、ますます好きになってしまった。
日常(とくにテレビ)で絶対にさせちゃいけない音としての「クチュクチュ音」の使い方が、マッコイ斉藤を思わせたり。そういう意味で案外Chim↑Pomなんかとも近いのかもしれない。

◆4月10日、ニンテンドーDSを衝動買い。
ゲームに対してあいかわらず免疫なさすぎ。ここから数日間、ゲームに狂う(タイトルは秘密)。
おすすめゲームがあったら教えてください。

◆4月15日、松野大介×吉田豪トークショー@新宿ロフトプラスワン。
このイベントには浅からぬ関わりがあって、そのことについてはミクシィに書いたので、読みたいという奇特な方がおられましたらこれを機にマイミク申請をしていただけると幸いです。五反田団コミュの管理人をやってるのですぐ見つかると思いますので。
それにしても、在りし日の「民夫くんと文夫くん」を彷彿とさせる吉田豪×高田文夫のマシンガントークがすごかった。撃たれた!

◆4月17日、徹夜仕事明けで朝方仮眠。松江哲明監督から絶妙なタイミングでうれしい電話。よっしゃー!
なぜ絶妙かというと、こまばアゴラ劇場のロビーでちょうどそれに関わる話をしようと思ってたから。

というわけで、劇作家の岸井大輔さんと14時から19時まで5時間トーク。「キレなかった14才りたーんず」のスピンオフ企画というかなんというか。
出がけに、97年当時の資料(演劇のチラシや、本、雑誌、自分のノートなど)を適当に引っ張り出して持っていったところ、自分でもまったく忘れていた記憶がよみがえるよみがえる。話はあちらへこちらへと飛びながら、バシッバシッとある<星座=状況>をかたちづくり、思いもがけず充実した時間を過ごさせていただく。
岸井さんのレポートはこちら
かなり面白い展開になったので、ゴールデンウィーク中にもう一回岸井さんとトークする予定です。こんどはちゃんと告知させていただくようにします。

◆4月18日、「少年B」(作・演出:柴幸男、「キレなかった14才りたーんず」参加作品)@こまばアゴラ劇場。
「キレなかった14才りたーんず」という企画名について、そのもととなっている「キレる14才」という言葉や、当時の風景について彼や彼女らがどのぐらいこだわりがあるのかについては正直わからない(この言葉について6人の足並みもそろっているわけではないだろうし、個人としてステイトメントが出されているわけでもないので)が、それでもつけてしまった以上、行きがかり上、自分にとってのなんらかのリアリティを提出せざるをえないというのは作家にとってはわりと残酷なことで、だからこそ一観客として面白いと思った。
と、同時に、意外にも自分にとって「キレなかった14才」という言葉に看過できないものがあって。それは前にスロウライダーの芝居のときに書いたが、ちょうどあの事件が起こった頃、オレは児童相談所の一時保護所で夜間指導員というものをやっていて、14才だった彼や彼女たちと遊んでいたから(このことはちょろっといま売ってるクイックジャパンにも書いたので立ち読みでもしてもらえたら幸いです。6人の演出家たちからの招待状も載ってます)。

「少年B」はどストレートに彼や彼女らのことを思い出させてくれた。だってオレ、名前は思い出せないけど、GLAYとかで飽き足らなくなった男の子に、ブランキーとブルーハーツをそれぞれテープのA面、B面にダビングしてあげたもん。赤いタンバリン。
中学男子の妄想シーンは身につまされるものがあった。わが身をふりかえってみれば10代終わりぐらいから脱皮した記憶がほとんどなかったり。リアル14才(こないだ15才になったらしい)井上みなみさんの「気になるあの子」っぷりに胸がきゅんとして、はっとしたり。アホみたいな感想しか出てこないけど、それぐらいにすがすがしい作品。
まず1本目。ここからスタート。参加作品はすべて観るつもり。