2009/10/22

ドイツにて

◆昨日ドイツより無事帰国。

◆出張目的はフランクフルトにあったのですが、急遽ベルリンに一泊してHAUで開催されていた「TOKIO-SHIBUYA: THE NEW GENERATION」を覗くことになり、国内便で移動。
ベルリン到着まではスムーズだったけど、空港そばのホテルから劇場までの道程がかな~り!ドタバタで一時は「もうだめだ」とあきらめたほどでした。
なんとかベルリンっ子のやさしさに助けられチェルフィッチュの途中で劇場に到着。この時点でペニノの公演を見逃す。

チェルフィッチュ新作「ホットペッパー、クーラー、そして、お別れの挨拶」とてもよかった。
自分で勝手に遅れておいてなんだけど、途中からでもすっと入っていけたのがすごい(すでに吾妻橋で第一幕「ホットペッパー」のさわりを観ていたこともあるだろうが)。むかし「保坂和志の小説はどこからでも読めるのがすごい」と友人と話したことがあったが、それをちょっと思いだした。もしくはワイズマンの映画。あの感触。

快快の「MY NAME IS I LOVE YOU」がまた信じられないぐらいによかった。あいかわらず弱々しい虚構で。
こないだのりんどう湖公演では風に流されてしまったほどに儚いイリュージョン。それらがふっと消えたところで、俳優がオーディエンスを指さしていく。
「man, woman, woman, man」

快快ってどちらかというとその悪童ぶりがフィーチャーされがちだけど、むしろあの「弱さ」「儚さ」こそが決定的に重要なんだと思う。

Sannin◆フランクフルトでもシャウシュピール・フランクフルトでチェーホフの「三人姉妹」を観ることができた。
ドイツ語はぜんぜんわからないながらも、勝手知ったるストーリーかつオーソドックスな演出だったので十分に楽しめた。
なにしろフランクフルトまできて、あの「生きていかなきゃね」を聞くとは思わなかったよ。

マーシャ まあ、あの楽隊のおと! あのひとたちは発っていく。ひとりはもうすっかり、永遠に逝ってしまったし、わたしたちだけここに残って、またわたしたちの生活をはじめるのだわ。生きていかなければ。……生きていかなければねえ。……

イリーナ (あたまを、オーリガの胸にもたせて)やがて時がくれば、どうしてこんなことがあるのか、なんのためにこんな苦しみがあるのか、みんなわかるのよ。わからないことは、なにひとつなくなるのよ。でもまだ当分は、こうして生きていかなければ。……働かなくちゃ、ただもう働かなくてはねえ! あした、あたしはひとりで立つわ。学校で子どもたちを教えて、自分の一生を、もしかしてあたしでも、役に立てるかもしれない人たちのために、ささげるわ。今は秋ね。もうじき冬が来て、雪がつもるだろうけど、あたし働くわ、働くわ。……

オーリガ (ふたりの妹を抱きしめる)楽隊は、あんなに楽しそうに、力づよく鳴っている。あれを聴いていると、生きてゆきたいと思うわ! まあ、どうだろう! やがて時がたつと、わたしたちも永久にこの世にわかれて、忘れられてしまう。わたしたちの顔も、声も、何人姉妹だったかということも、みんな忘れられてしまう。でも、わたしたちの苦しみは、あとに生きる人たちのよろこびに変わって、幸福と平和が、この地上におとずれるだろう。そして、現在こうして生きている人たちを、なつかしく思い出して、祝福してくれることだろう。あぁ、かわいい妹たち、わたしたちの生活は、まだおしまいじゃないわ。生きてゆきましょうよ! 楽隊は、あんなに楽しそうに、あんなにうれしそうに鳴っている。あれを聴いていると、もう少ししたら、なんのためにわたしたちが生きているのか、なんのために苦しんでいるのか、わかるような気がするわ。……それがわかったら、それがわかったらね!