2009/10/26

整理より生理

◆なんと、『ライブテープ』が東京国際映画祭で「日本映画・ある視点」部門・作品賞を受賞とのこと! いやーすごいことになったきたぞ。

Haircut_2◆先週金曜日の昼、こまばアゴラ劇場で岡崎藝術座「ヘアカットさん」を観る。

声を受け渡していく。人に、手に、足に、尻に(とくに武谷公雄のケツの動きはすばらしかった)、さらにはパスタに乗ったベーコンのソテーに。
その偏在していく声のアンサンブルの気持ちよさときたら。
そうやって飛ばしまくった前半ののち、徐々に浮かび上がってくる「喪失」というテーマ。
司会へアカットさんによるバラエティ番組のような声回し。
カラオケ熱唱というリプライズ。
すべてが絶妙なバランスでキマっていた。

ドイツに発つ直前に観たままごとの「わが星」もやはり音楽と身体をハイブロウに交錯させたステージで、ぼくの周りでは異常に評判がよく、たしかに実際とてもよかったのだけど、同時にどこか釈然としない部分もあった。――ここには見事な「整理」はあるけれど、「生理」がない。

一方で「ヘアカットさん」には、劇作家・神里雄大の、それから俳優たちの「生理」が本人たちの意図に関わらずごろりと投げ出されていて、うまく言葉にできないのだけど、なんだかとても「愛おしさ」を感じてしまった。また何度でも観たくなってしまうような。
ちなみに「整理」のほうは柳沢さんがうまくやってくれている

岡崎藝術座、見逃していた「リズム三兄弟」の再演も来年2月にあるみたいで、いまからとても楽しみだ。

◆そのまま渋谷に移動し、夜はO-NESTで「フルカワヒデオ200ミニッツ」。作家・古川日出男が一夜で200分(3時間20分)朗読しつづけるという、規格外超絶ライブイベント。

ホントに200分朗読していた。いやむしろ200分だった。ジャスト200分。まさか休憩ナシなんて誰が予想しただろう。

初めてO-NESTのステージに立った(傍らには向井秀徳がいた)2007年5月3日、作家・古川日出男はライブハウスに異物感をもたらす美しきアウトサイダーだった。
だが、この夜の古川日出男はO-NESTに君臨するキングだった。
完璧なる制圧。

終演近く、フルカワヒデオプラスアルファの一員として咆哮する古川日出男がその手に構えた大著『聖家族』は、太古より「語り部」と呼ばれる種族が受け継いできた未知なる楽器のようだった。