2009/08/05

あんなに愉しそうに、力強く鳴りひびいている

ずいぶんたってしまった。ついったーでここでは書けないようなこと延々つぶやいたり、ドラクエしたり、あとちょっと仕事なんかもしてるうちにあっという間に夏まっさかりでびびった。明日の朝からしばらく旅に出てしまうので、その前に思い出せるかぎり書きつけておこうと思う。そう、いろいろライブやなんかにも行っていたので。

◆6月21日、池田亮司展@東京都現代美術館の最終日にすべり込む。パルス・トーンのなかを子どもがハイハイしていた。渋谷に移動し駅前の松屋でライス5人前を仕入れ渋谷O-nestへ。詳細は省くが、雑誌「エクス・ポ」のイベント虹釜太郎さんの兵隊として乱入。磯部涼が会場に「カレーライスの女」(ソニン)を流すなか、佐々木敦さんと西島大介先生にカレーをよそう。やりっぱなしで磯部くんとタクシーで新宿に移動。ここからは『スタジオボイス』(合掌!)8月号の磯部連載に続く……としたいところでもある。新宿ゴールデン街劇場で前野健太ソロライブ。ゴールデン街のヤニっこさと猥雑さをどこか漂わせたステージングがよかった。ミラーボールを回しながら、「天気予報」。歌の途中で舞台袖にはけたら、ステージ上に雪が降った。お見事。雨は雪に変わり、愛は勇気に変わる。

Aadachi◆6月22日、AOYAMA月見ル君想フで、あだち麗三郎、三輪二郎、西宮灰鼠などが出るライブ。仕事が片づかずちょい遅刻でねずみくんの終わりかけから。月をバックにねずみくんなんてこれ以上ないシチュエーションだね。三輪二郎のジャニスカバー「ミー・アンド・三輪二郎」。なんで私と三輪二郎なんだよ。笑ったなあ。トリのあだち麗三郎、すごかった。ステージと客席の段差に腰かけちゃった。大げさかもしれないけど、彼のミュージシャン哲学みたいなものを体現した素晴らしいパフォーマンスだった。マイクもライトも使わず、ライブハウスのポテンシャルを引き上げることに成功していた。

◆6月23日、無力無善寺で恒例の前野健太ライブ。普段はソロだが、この日はデヴィッド・ボウイたちとのバンド仕様。おまけにバンドメンバーのソロ対決あり、と聞いたらこれは駆けつけねばと。30人ほどの会場にまたもや佐々木敦さんと磯部涼。日曜はいやはや、なんて。バンドソロ対決。意外にもみなストレート勝負。POPさんの芸達者ぶりが光っていた。バンドセット、無善寺で聴くのはなんだかもったいないくらい。新曲(「背中のうた」?)がバンドを従えたときの友部正人のようだった。かっこよかった。

◆6月24日、西荻窪あけたの店にて渡辺勝レコ発ライブ。その名も『渡辺勝』と銘うたれたニューアルバムの発売記念。アルバム収録曲の多くがあけたの店で録音されているので、ライブ中も「こんな感じで録ったんだよね」と不思議な味わい。勝さんの孤高な世界はタイムレスというか「ここが勝負」みたいな色気とも無縁で、そこが評価の分かれるところだろう。でも、ぼくはなによりあのエモーショナルな歌声が、ギターの超絶な音色が、大好きなのだ。

◆6月25日、吉祥寺シアターにてミクニヤナイハラプロジェクト「五人姉妹」。昨年のアゴラ劇場での準備公演があまりにもでたらめですばらしく、観る前から胸がしめつけられるような思いで指折り数え待っていた本公演。どこにもたどりつかない時間を、声をからしながら、肉体を酷使しながら、それでも生きていく俳優の身体に素直に打たれた。永遠をいくつ一瞬と数えただろう。宮沢章夫さんとのアフタートークで矢内原さんが、「私が理想としている動きが10だとしたら、それでも俳優は1しかできていない」と断言するのにも感銘を受けた。といってもあの「できてなさ」「ついていけてなさ」はやはり重要で、それを「よし」として進めているのではなく結果としてそうなってしまっているだけというのが潔いし、たんにそうなんだろう。

◆6月27日、横浜にラ・マシンを観に行く。2ステージ観たが、とにかく動き出す瞬間がすべてだと思った。荘厳な儀式のようですばらしい。ゆっくりゆっくりと持ち上げられる足の繊細な動きにゾクゾクした。体感できてよかった。

◆6月28日、日比谷野音にてZAZEN BOYSライブ。開演時間に向けて強くなる雨、という“演出・神”(根本敬)。雨ン中の、ZAZEN BOYS。プログレッシヴなバンドアンサンブルにゆれる3000の雨合羽。「ASOBI」のスペイシーなアレンジに酔いしれる。まったく不思議なバンドだよな。9月に立川志らく師匠とマツリセッションを行うとの重大発表あり。
志らく師匠の、マトモな奴はひとりも出てこない噺「らくだ」を見て、その狂った世界観とそれをアリとする自由な感性に、そしてまた景色を、匂いを、ニンゲンを鮮やかに描き出すワザに、わたしのハートは共振し、ビリビリと震えました。
シビれアがったわたしは師匠に共演を申し込み、セッションを行うことになりました。
このセッションは「ロック音楽×落語」ではなく、あくまで「ZAZEN BOYS×立川志らく」であります。
ZAZEN BOYSの言葉とビートのウナリあげと、志らく落語の言葉とワザのうねりがカラミあい、異常非日常祭空間を作り出せたら、と思います。(向井秀徳)

◆6月30日、前田司郎さんの三島賞受賞記念パーティ。めでたいとしかいいようがない。スーパー演劇集団「むっちりみえっぱり」のメンバーの方々と話せて大感激(話しかけるまでもじもじすること15分かかったが)。本人たちに向かってどれだけあなたたちの公演がすばらしいかを訥々と語るキモいファンになってしまった。でも本当に最高の劇団だと思う。来年1月に別枠公演があるとのこと。いまから楽しみ!

◆7月3日、お恥ずかしい話ですが、私、弾作というバンドでベースを弾いていたことがありまして、この日、3年ぶりぐらいにライブを行いました。吉祥寺のヤングライオンバンド、THEWATTERのレコ発に呼んでいただいたのです。それ以上、語るべき言葉を持ちません。呼んでいただいたことがすべて。あとはなにがどうなろうとベターベター。演奏終わりで抜けだし、阿佐ヶ谷に移動。Tenkoさんのレコ発ライブ@阿佐ヶ谷Next Sundayへ。ちょうど轟渚さんが始まったあたり。いまから山のぼり以外の渚さんをライブで観るのは初めて(なぎ食堂で買った轟渚と夕映えカルテット『いますぐに』はかなり愛聴しているが)。予想していたことではあるけれどすごくよい。『灯ともし頃』の頃の浅川マキっぽい雰囲気もありながら、現在性のある音楽。次にTenkoさんが登場して、あれトリじゃないの、と思ったら、何回かに分けてTenkoさんは登場、ライブ全体が公演のように綿密に構成されているとのこと。さすがあだち麗三郎プロデュース。ceroはホントいいバンドだよなー。普通に売れればいいのに。普通に、なんて言っちゃいけない。ceroにあだちくんやおりんぽしも加わった大編成で「東京」。ぐっときたよ。

◆7月4日、渋谷アップリンクファクトリーにて。前田弘二監督の作品集DVD発売記念イベント。上映作品は「先輩の女」「ラーメン」「ハナムグリ」。大好きな映画監督。ようやく最新作「先輩の女」が観られたのがうれしい。車とか雨とか、いままでありそうでなかった意匠が増えてるのがたまらない。「ラーメン」の妙にアンビエントな感じも好きだなあ。「ハナムグリ」は……お蔵入りするのがなんとなくわかるというか。ちょっとがんばってる(のが見えてしまう)もんなあ。だから監督の判断は正解。高円寺に移動し、無力無善寺にて開催中の日本ロックフェスティバルへ。前野健太とデヴィッド・ボウイたちを観る。名阪ツアーを経て、これ以上なくタイトな演奏。またもや新曲が炸裂していた。思ったよりも出番が長くてよかった。終わってコクテイルでしっぽりやってたら、前日ライブおつかれさまのTenkoさんが現われ、大橋裕之先生なども合流し、終電まで。

◆7月5日、新宿タワーレコードでいなかやろうインストアライブ。ゲストにあだち麗三郎、三輪二郎。これはもう行かなきゃでしょという感じで、ひさしく音楽話をしてなかったやなぎくんも誘う。いやすばらしかった。タワレコジャックというか、タワレコの片隅を完全に彼らの空間に塗り替えていた。三輪二郎もあだちくんももちろんよかったけど、この日のいなかやろうは泣けるぐらいよかった。バンド野郎だよホント。オルタナアコースティックな感じが最高だったよ。

◆7月7日、立川志らく独演会「志らくのピン」@内幸町ホール。「代脈」「疝気の虫」と病気コンボで攻めて、シネマ落語のスピンオフ的傑作「たまや」。マクラで振ったZAZENの野音ライブの話が最高。ロックは「身体で感じるもの」で、落語は「意味を楽しむもの」、どうコラボレーションできるか思案しているとのことが、この日の志らく落語は十二分に「感じるもの」であった。さあ、いよいよ9月のマツリセッションが楽しみだ。

Bmaeno◆7月8日、高円寺稲生座にて渡辺勝VS前野健太(しかしすごいタイトル)ライブ。渡辺勝さんを若い音楽好きにも聴いてもらいたいとの思いの詰まった松倉如子企画。松倉さんの目論見が成功したかどうかは分からないけど、前野健太と渡辺勝による「ぼくの倖せ」には震えてしまった。「東京の空」のピアノ弾き語りバージョンが聴けたのもよかった。

◆7月10日、吉祥寺にてすさまじい飲み会。多くは語らず……。

◆7月12日、浅草花やしきにて都会の迷子さん2周年記念公演「浅草花やしきの迷子さん」。出演は向井秀徳、前野健太、麓健一。ついに前野健太が向井秀徳と同じステージに立つ、というメモリアルなライブになる予定だったが、主催者側の手違いでライブ全体に音量の規制が入り、やや残念な結果に。急遽アコギ一本の構成に変更し、ナンバーガール時代の曲までサービスしてみせた向井秀徳。さすがのプロフェッショナル。前野健太もひさびさの「青い部屋」。そういう日もあるね。いろいろあって打ち上げ、朝まで。カラオケでオムスビ佐藤のエアギターが炸裂。まったく喰えない男だよ。

◆7月13日、渋谷で木村覚さんと前田愛実姐さんと演劇鼎談。第二期「エクス・ポ」の創刊号に載る予定だそうですが、あれをまとめるのは大変そうだ。

◆7月17日、ついにドラクエ9に手を出してしまう。ハイウェイ・トゥ・ヘル。

Dgirl◆7月19日、ガール椿東京来襲記念ライブ@東高円寺UFOクラブ。出演バンドはガール椿、前野健太とDAVID BOWIEたち、やすりよ(安威俊輔+林漁太 from ミックスナッツハウス)、THEWATTER。数日前ライブに対バンとしてお呼ばれしておきながらライブを観るのはこの日が初めてになってしまったTHEWATTER。いやーすばらしかった。一番手でお客さんもパラパラと遠巻きに眺める感じだったのが、徐々に前に前にステージに引き込まれ、バンドもさらに熱気を帯びていくという、つまりは最高のライブだった。「焦ってはーまたー人をー傷つーけーる」沁みるねえ。やすりよの軽やかさと、前野デビの貫禄。広島の隠し球・ガール椿は、そもそも東京に来るきっかけのところに自分も絡んでいたのでドキドキしてたら、本人たちはそれ以上にドキドキしていたみたいで、でも結果としてドキドキする演奏をかましてくれたのでよかった。アンコールでやってくれた「F(フロイト)式もえこ」(ここで試聴できます)、燃えたなー。たいへんだと思うけどまた東京に来てほしいし、広島にも観にいけたら、なんて思っている。

Cohashi◆7月20日、代々木Zher the ZOOにて大橋裕之ロックフェスティバル。出演バンドはニーネ、前野健太、後藤まりこ+岩見継吾(from ミドリ)、シャムキャッツ、drumno、松倉如子、それから特別上映作品として、短編アニメ「山」(原作:大橋裕之、監督:岩井澤健治)。さらにフェスにはフードがつきものというわけで松江哲明監督がカレー屋を出店。その名も「ロマンスカレー」。なにも考えず言ってしまいたい――楽しかった! でも、それだけじゃあんまりのなので、拾った感想をあげておきます。これ(驚愕の映像あり!)とかこれとか。どちらにも触れられていませんが、シャムキャッツの演奏もじつに素晴らしかった。ペイヴメントmeetsはっぴいえんど。伊達じゃないぜ。

◆7月23日、ポレポレ東中野にて松江哲明監督「あんにょん由美香」。試写以来2度目の鑑賞。カメラマン柳田さんのルーズでイイ顔や、通訳・沈さんの妙な色気など、細部を楽しむ。ラスト近く、柳田さんが小さなレフ板を持っているインサートカットが好き。ああいった現場の空気感をきっと林由美香さんも愛していたんじゃないかと、そんなことを思う。トークショーゲストに長澤つぐみと前野健太。いやがうえにも元旦の「ライブテープ」撮影を思い出す。あ、その前に「鴨川」もあったのか。まったくここ1年ぐらいの時間の濃さには驚くしかないよ。

Eadachi◆7月24日、高円寺サンレインレコードにてTenkoさんとあだち麗三郎くんのインストアライブ。10人も入ればいっぱいの店内で、贅沢な催し。サイドマン、MCシラフがこの日も大活躍。あだちくんの絡むライブは場所と音楽がもはや決定的に切り離せないものとしてあって、だから、それがどんな場所でも楽しみにしてしまう自分がいる。そんなマジックの力に乗せられ、あだちくんの演奏を聴きながらカウンターで原稿を書いてみる。こっちゃんが紹介してくれてうれしい。そうそう、「東京の演奏」コンピ、ぼくも個人でディストロやらせてもらっています(すでに3枚売れた!)。1000円です。お声掛けいただければ手売りいたしますのでよろしくお願いします!

◆7月25日、なんとかドラクエ9クリア。魔法戦士/バトルマスター/パラディン/賢者。クリアしてからが本番とすら言われている本作だけど、これにて打ち止め。地図? なんの話ですかって感じ、でいきたい(願望)。なぜならこの日以降、仕事が佳境に突入。

Fmatsukura◆7月30日、仕事の山をなんとか片付けダッシュで吉祥寺。スターパインズカフェにて松倉如子さんのレコ発ライブ。一部の途中から観たが、いやー殺気バリバリのいいライブだった。「ともだち」のバッキングで鳴らした渡辺勝さんのエレクトリックギターの音色がえらくかっこよかった。不協和音ギリギリ。「くだもの」もライブだとあんなに躍動感あるのか。やっぱり松倉さんの根っこはブラックミュージックだよねえ。ミニコミ『SPOTTED701』の最新号に松倉さんについて1ページ書かせてもらっています。でもオイラ、自分のために歌ってもらった曲の名前まちがっちゃってんの。松倉さんに指摘されて気づいた次第。でも、「愛の賛歌」と「アメイジング・グレイス」を記憶違いしていたなんて、それはそれでなかなかのものじゃないか(開きなおり、いくない!)。

と駆け足で書いたので、なにか忘れてるかも。あというまでもないことだけど、ずいぶん飲んで笑って、(心で)泣いたりもしたものだ。まるで「富久」みたい。あとチェーホフばかり読んでいた。
音楽があんなに愉しそうに、力強く鳴りひびいている。
それを聞いていると、つくづく生きていたいと思う!
(チェーホフ「三人姉妹」)