2008/12/31

ダイナマイトとかダウンタウンとかハッスルとか紅白観ながら

大晦日にまとめて更新という無粋ぶりをお許しください。

11月18日、五反田団「すてるたび」@アトリエヘリコプター
いろいろ岐路なんだろうなあ。私が、私の拡張としての「世界」(いうまでもなくそれは「夢」に似ている)で繰り広げるあれこれ。どこまで行っても出会う人々は私と同じ顔。初期の村上春樹にも通じるマッチポンプ的メランコリー。
たとえばハイバイやチェルフィッチュが向き合おうとしている「現実の身もフタもなさ」に比べてしまうと、「このままでいいのだろうか」と。と同時に、個人的には、いつまでも「ここにいさせてほしい」と思えてしまう(アトリエヘリコプターが母胎に感じられるほどに)のが悩ましいところだ。つまるところファンなのだけど……。

11月22日、中原昌也爆音パーティ@バウスシアター
急遽、「3人で入ると安くなるから」と虹釜さんに誘っていただき初爆音上映。これが最高だった。
自由を奪われて暗闇に沈み込んだ身体に容赦なく浴びせられる爆音や閃光。まったく新しい知覚体験。プログラムがまた、クセナキスのノイズだとか、トニー・コンラッドのチカチカするやつとかだからなおさら。映画館というメディアのポテンシャルを一段階引き上げるとんでもない上映形態ですねこれは。もっと早く体感しておけばよかったよ。
中原昌也とジム・オルークのユニット、Suicidal 10ccも堪能。もちろん映画館のイスで。

12月5日、快楽亭ブラック&ロフトAぷれぜんつ「年忘れ!気狂いライブ」@阿佐ヶ谷ロフトA
早めに会場に着くと、開演前にもかかわらず元気いいぞうさんが歌っている。それも元気いいぞうファンならよくご存じの、しっとり系本気ソングばかり。本番とは別に、いいぞうさんが勝手に歌い出したらしい。自由だなあ。ひさしぶりに聴いた「まあ、生きていれば良しとする」が沁みる。
出演の米粒写経、元気いいぞう、快楽亭ブラック、3組とも看板に偽りなしの気狂いぶり。とくに米粒写経・居島さんのピン芸、大本営八俵に笑う。徳川将軍十六代(16人)のモノマネとか、東京裁判での戦犯たちのモノマネとか。
それにしても、あれからもう3年もたつのかー。

12月7日、ゆらゆら帝国ライブ@新木場studio coast
先日のニューヨーク行きはゆら帝の米国ライブに密着するためだったのでした。
ともかくいま、ゆら帝は見ておかないとやばい気がする。映画「愛のむきだし」で全面的にゆら帝の曲をフィーチャーした園子温監督にも「気がついたらゆら帝しかいなかった」と言わしめるほど。大根さんに至っては、「ヘタしたら黄金期のツェッペリン超えさえしてるんじゃねえかマジで」ときたよ。
ただただ圧倒されるだけの2時間強。陶酔を許さない、ひたすら覚醒をうながすロックンロール。「空洞」というキーワード。いまこれを聴かないでなにを聴けと。
Songs in the Key of Z』にも登場し、運営資金をカンパするためにヨ・ラ・テンゴが毎年即興カバーライブを行っていることでも有名なニュージャージーのラジオ局・WFMUのサイトでゆら帝の最新スタジオライブ音源が聴けます。

12月13日、ギフト2@いわきSONIC
スーパーひたち号に乗っていわきまで。福島のライブハウス、いわきSONICの7周年記念の2日目へ。出演は銀杏BOYZ、友部正人、eastern youth、マーガレットズロース。
ハコの雰囲気、観客の熱気、出演者の気合いが見事に絡み合ったライブイベント。マーガレットズロースの「べいびー」、eastern youthの研ぎ澄まされた日本刀のようなサウンド、友部正人の「SPEAK JAPANESE,AMERICAN」、銀杏BOYZの「BABY BABY」が図らずも一連の流れになっていて面白かった。
銀杏BOYZスタッフブログの写真がライブの熱さを伝えております。
それにしても、予約までしていたのに、いわきから帰るのが遅れて「五反田団といわきから来た女子高生」を見逃したというのがなんとも……。

12月15日、豊田道倫ライブ@渋谷O-nest
毎年恒例になってきた年末の豊田さんのO-nestライブ。
某誌にも書いたが、長年、豊田さんの音楽を研ぎ石のように聴いてきた。それが最近はちょっとづつ変化してきたような。直裁な言葉で話していたい。朝まで笑っていたい。そんな当たり前のことを確認するために豊田さんの音楽を聴いている。
ラフでポップな夜。思わぬ人たちにも大勢会えた。
ミックスナッツハウスの林くんに待望のデビューアルバム『Goodbye the TV show』のとびきりポップな音源を聴かせてもらった。前野健太くんにニューアルバム『さみしいだけ』のいかしたジャケット(イラスト担当・本秀康先生! デザイン担当・TOKYOHELLOZの寺澤くんもナイス仕事!)を見せてもらった。豊田さんの『POP LIFE』とあわせて、いずれも素晴らしき2009年の幕開けを飾るアルバムとなるだろう。

12月18日、TWIN TAILライブ@渋谷O-EAST
豊田さんのライブでは豊田利晃監督に再会できたのが本当にうれしかった。
TWIN TAILは、中村達也(ds)、照井利幸(b)、勝井祐二(violin)に、映像として豊田監督が加わったバンド。映像が音楽に従事するのではなく、あくまで音楽と映像が父なるイメージの異母兄弟として、ツインテイルとして、ステージ上で絡み合う。だからこそライブを体感する必要がある――。という前置きはさておき、豊田監督が自らの映画からガンガン映像をフィーチャーしてくるのを目の当たりにするのは、じつにたまらないものがあった。たぶん現在進行形の映画のものもあって、それらを豊田監督が繋いでいく手つきをリアルタイムで体感するなんて、どんだけ贅沢な体験なんだ。
アンコールが終わって、ラストショット。僕らのよく知っているあのキャラクター、あの一言が大写しに。タモリの言葉なんかも思い出しながら。すなわち、「これでいいのだ」と。

12月23日、HARAJUKU PERFORMANCE+SPECIAL@ラフォーレミュージアム原宿
共通点は「パフォーマンス」というだけで、従来の枠組みを取っ払い、現在進行形の「名づけえぬもの」をあぶりだそうとする好企画。
2日目の「VOICE & PHYSICAL」DAYへ。出演者は山川冬樹×飴屋法水、contact Gonzo、珍しいキノコ舞踊団、KATHY、伊東篤宏×東野祥子、室伏鴻(出演順)。
いずれも素晴らしいパフォーマンスだったのはもちろんのこと、特に印象に残ったのが照明だ。ずっと光のことを考えていた。
過ぎ去りし運命や歴史を凝縮してみせた山川冬樹×飴屋法水の退廃的な電飾、大道具の撤収からシームレスに移行したcontact Gonzoのフラットな明かり、珍しいキノコ舞踊団の茜色のノスタルジー、KATHYが暗闇に垣間見る夢……。
極めつけは蛍光灯の高い色温度を自在に操る伊東篤宏と、そのなにもかもを日常に引き戻してしまう青白い光を浴びながら、受動性と能動性のフリクションを提示してみせた東野祥子のダンス。ゆらゆら帝国に通じる空洞的な身体がそこにあった。パフォーマンスの終わりかけ、伊藤はステージの照明を休憩中と同じ明るさにまで上げることを要求する。ゆら帝を思い出す。陶酔することは許されない。ただ覚醒がうながされるだけである。

12月24日、映画「デメキング」試写
来年3月公開の映画「デメキング」。監督・寺内康太郎、そして監督とともに共同脚本を担当するのは原作者・いましろたかし!
もちろん不安もあった。ただでさえ幻のカルト漫画と言われた「デメキング」である。B級テイストの低予算カルト映画(それはそれで嫌いではないが)になってしまう危惧も、なかったと言ったら嘘になる。
しかしである。これがとんでもない、ゾクゾクするような傑作となった。漫画「デメキング」の映画化ではない。見事に「デメキングをめぐる映画」になっていた。ネタバレとなるので現段階でこれ以上は控えるが、唯一言えること――デメキングとは何か? デメキングは「映画」である。これからあなたが劇場で目撃するものである。

12月25日、『キレなかった14才(ハート)りたーんず』キックオフ・パーティー@千駄ヶ谷LOOP→LINE
よくわからないまま、誘われるまま会場へ。いやーぬるかった。宮沢章夫さんがこんな日記(12月25日)を書くぐらいぬるかった。でもこれがいまっぽいのかもしれない……。
ニューヨークで聞いて「なるほどなあ」と思ったことがある。たとえばGANG GANG DANCEってパーティロックなんだよって。GANG GANG DANCEとか、日本だとO-nestとかそういライブハウスで観たりするわけだけど、彼らは、地元のブルックリンだと、友達のやってる中華料理屋を貸し切って、内輪(といってもそこには最先端のファッションデザイナーやエディターや映画監督なんかがやってくるわけだけど)のパーティみたいな感じでやってるらしいと。それがいいとか悪いとかでなしに、それに本当にGANG GANG DANCEがそうなのかどうかということでなしに、以前から快快なんかに抱いていた、「どうも30絡みの俺とかにしてすでによくわからない新しい感じが出てきたぞ」みたいな、考えようによっちゃどうでもいいことだけど(細かい年代差だし、ようするにプラチックスってことでいいのかもしれないわけだし)でもちょっと気になるみたいな感じに、なんとなく手がかりがつかめたような気がしたものだった。
だからLOOP→LINEの扉を開けた瞬間、そこにDJブースがあって、酒があって、大人たちが居心地悪そうにしている感じを目の当たりにして、「うわーきたーパーティロックだー」と感慨深くなってしまった。
とにかくみんなだらだらしていて、シームレスで、ちょっとパフォーマンスみたいなこともあるんだけど、演者と客席を分かつことなく照明がフラットに当たったまま。パーティだ!(ジョーカーの口調で)
これで、本公演はちゃんとした劇場で、従来通りの照明でやります、なんてことになったらガッカリだな。手巻き寿司を振る舞うくらいでないと。

12月28日、立川志らくのシネマ落語特別編vol.2@紀伊國屋ホール
立川志らくが本気である。談志の体調不良、談春の躍進などいろいろ要因はあるのだろうが、とにかく本気である。
「たいこ腹」と「天災」を踏まえての、あまりにも見事な、リラクシンなシネマ落語、「ゴッドファーザー」。演り終えての一言。
「シネマ落語は遊びです」
遊びと言い切れるからこそ「シネマ落語」を存分に楽しむ余裕ができた。そして来年は本気で古典を磨き上げるつもりなのだろう。
談春もいい。志の輔だって素晴らしい。でも、談志のイリュージョンを、その先を、見せてくれるかもしれないという希望は志らくにしか持てない。
いよいよ志らくが本気である。

12月30日、エクス・ポナイト VOL.3@渋谷O-nest
忘年会からのハシゴで、トリのフルカワヒデオプラスのみ観戦。
古川日出男の朗読ギグをごくごく初期から見続けているが、いまだにこの凄さをうまく言葉に言い表せないでいる。いや、本当は「凄い」のかどうかだって、わかっていないのかもしれない。そして、そのよくわからなさこそが、凄いと思う。
大喜利で身を立てようとする若者たちを知っている。ラップのフリースタイルで闘う連中もいる。言葉が武器になる。言葉が存在証明になる。
ミュージシャンでも、芸人でも、詩人でも、パフォーマーでもない。小説家の言葉がハンパない。そのことを身をもって知らしめている古川日出男はとにかくかっこよすぎる。

では、よいお年を。