2009/12/31

12月のIllumination

大みそかだ。
12月もそれなりにいろいろとあったけど、その前に11月の最後の日、円盤でゴキゲンな楽隊、片想いの演奏を観たのだった。
あだち麗三郎がドラムを叩いていて、あだちくんはいまや片想いのメンバーなのでそれはぜんぜん不思議なことではないのだけど、「ああ、あだれいが片想いでドラムを叩いておるなあ」と不思議だった。

週があけて、ここから12月の話になり、月曜にリミニ・プロトコル「Cargo Tokyo-Yokohama」のカーゴに乗車。



運送会社の個人請負、偽装請負の現場を取材したことがある身からすると微温的な大人の社会見学の感は否めなかったけど、シェイクスピアの「世界劇場」を思い起こさせられるようなスリリングで美しい瞬間がたくさんちりばめられていて、胸にせまるものがあった。

水曜、弁天湯で「湯けむりライブテープ」と題して、前野健太とデヴィッド・ボウイたちin風呂ロック。静かに熱をため込むバンドセットと、ナチュラルエコーで突き抜けるソロセット。すばらしいライブだった。

木曜、六本木ABCで古川日出男さんの朗読。目の前で書かれる小説を体感するような。いよいよ『ミュージック』が産みおとされようとするその前夜。

金曜、快快のGORILLAを、「三月の5日間」のオーディションというテイで岡田利規が振り付けするというので池袋へ。フェスティバル/トーキョー関連イベント。
GORILLAに関しては当のゴリラが会場にやってきた日のレセプションパーティも見たが、これがじつに快快らしく、「ちゃんとやれよ!」と言いたくなるようなスキだらけの催し物だった。もちろん彼/彼女らはハナからちゃんとやる気などなく、いや、やる気はあるのだろうけど、「ちゃんとゴリラになりきる気」はないわけで。「そこじゃない」ってやつ。これまでも快快の起ち上げようとするイリュージョンが風に飛ばされてしまったり、早々に脱臼してしまう模様なんかをなんども眺めてきたけれども、けっきょくそこじゃないわけで。快快がやろうとするのは別のなにかをいまここにイリュージョンとして起ち上げることではなく、言ってみれば、いまここにいる自分たちにレイヤーをかけるような作業なのだ。レイヤーのチョイス、アルファチャンネルの設定、そしてエディット。幾層かのレイヤーをまとったとき、俳優はかぎりなく「キャラ」とよばれるものに接近する。これはめずらしいことでもなんでもなくて、ある世代以降の若者にとっては、日常生活でわりとなんなくやっている作業だろう。
で、ゴリラである。レイヤーを視覚化したら着ぐるみになっちゃったという。合い言葉は「ウホッ」。それ以外はゴリラであることにまったく頓着せず、普通に岡田さんと会話をしていた。見た目ゴリラが一生懸命に六本木スーパーデラックスの場所を説明する模様は、クリックひとつ「ゴリラ」というレイヤーを外してみれば、そのまま普通に「三月の5日間」のオーディション風景であった。だからハプニング集団(?)みたいな連中がいくらバナナを持ち込んでゴリラを挑発したところで(たとえそれが大喜利的に正解だったとしても)、そこじゃないのだ。かわいそうなことだけれど。

日曜、にしすがも創造舎で庭劇団ペニノ「太陽と下着の見える町」。あらゆる解釈を玉なしにしてしまうパンチラとシナトラ。ばかばかしいまでの本気。ばかばかしさへの本気。

西巣鴨から阿佐ヶ谷に移動し、ROJIにて片想いワンマンライブ。
大ちゃんのつくったシチュー&パンがうますぎる。片想いのライブをこんなにじっくり聴くのははじめてで、わかっていたことではあるけれど名曲ぞろいだなあ。そして日曜から数えるとこの週ライブ目撃3回目となるあだち麗三郎。この日もリヴォン・ヘルムばりのタメっぷりドラムが最高だった。「管によせて」で呼びかけてもらえてうれしい。シンくん、早く映画『ザ・レスラー』を観ましょう。

一週とばして、12日の土曜日、トクマルシューゴとThao with The Get Down Stay Downのライブを渋谷DUOで。with The GDSD名義で出たThaoのニューアルバムがとてもよくて。



ひさしぶりにUSインディ!って感じのライブ。なんだかなつかしかった。トクマルくんも、変則風マジックバンドな編成、新曲多めでとてもよく。

週あけて14日、SPOTTEDナヲイさんのライブイベントで渋谷LUSH。遅れていったらちょうどTUTU HELVETICA。那須のスペクタクル・イン・ザ・パーク以来。相対性理論以上に世界観を濃縮したそのステージは、演奏というよりも展示というのに近く。素材はポップなのに、お客さんの息を呑む音まで伝わってくるようなあの緊張感はなんだろう。豊田道倫×池永正二。タフなふたり。知らない間に昆虫キッズの佐久間くんがドラムを叩きはじめたり、ああいうドキリとする感覚がたまらない。前野健太とデヴィッド・ボウイたち、気持ちピッチ早めの飛ばした感じが熱い。ただアンコールがなあ、ちょっと長かったなあ。

忘年会ラッシュなどありつつ、さらに週あけて22日、神村恵「配置と森」の再演を観に六本木スーパーデラックス。このよくわからなさ、とっかかりのなさはすごい。音楽も手がかりにならない。もちろんコンセプトや、ダンサーを動かしている感覚、ルール、アブストラクトな手触りなんかは感じられるのだけど、それらが構成のなかに完全に溶け込んでおり、ただ出来事を目撃しているような不思議な時間。おもしろかった。

27日、ジャン相見が出演するオルガンヴィトー「幻探偵2」を下高井戸・青の奇蹟で。水芝居×魂の救済というジ・アングラ劇。ジャンさんはニセ中国人というあまり演技力を問われない役回りだったので安心して観劇。思いのほかよかった。

29日、毎年恒例となった豊田道倫の渋谷0-nestライブ。今年はwith 昆虫キッズ。昆虫をバックにした豊田さんはハードだった。勢いあまって客席へのダイブまで。はげしくかっこよかった。ステージ裏からカンパニー松尾、正面横から岩淵くんがビデオカメラを回している構図がまた大河ドラマで。

さようなら2009。へんな年だったな。
ではバウスシアターに『ライブテープ』を観にいってきます。

2009/11/30

死んだ猫を投げてはいけない

◆先週の水曜日、にしすがも創造舎でクリス・コンデック演出「デッド・キャット・バウンス」。

こんな芝居です。



観客が支払ったチケット代をその場でリアルタイムにロンドン市場に投資し、その場で1パーセントの儲けを目指す。
デイトレーダーの熾烈なサバイバルからすればずいぶん牧歌的な投資ショウはあるけど、それでも身に染みるエンタテインメントとしてとてもよくできていた。なにより、市場という神の宣託のもとで運命を切り拓こうとあがく人間たち、という構図がギリシア悲劇のようですらあり。

ちなみにデッド・キャット・バウンスとはこういうことらしい。
そう、まさに約束された運命。

デイトレードや資本主義や貨幣については、以前になぜか仮面ライダー響鬼の路線変更にかこつけてこんなことを書いた→

◆木曜日、裏でやっていた坂口恭平×石川直樹トークがとても気になりつつ、急遽壇上でトークすることになり、阿佐ヶ谷ロフトAの『ライブテープ』&SPOTTEDイベントへ。

当日の模様はこちらで。『ライブテープ』のメイキングということでついつい口がすべってしまったけど、来てくださった方々へのサービスということでご愛嬌。長澤つぐみ嬢のニセ前野健太ショウが、コントとしてパーフェクト。さすがマッコイ斉藤さんの現場で鍛えられただけある。

Spo12_2この日、発売になった『SPOTTED701』最新号も、もちろん『ライブテープ』特集。
といってもぼくは、昆虫キッズとつくった新譜『ABCD』が傑作出来だった(しかも売れているそうです)豊田道倫さんへのロングインタビューをやらせてもらっています。豊田道倫 with 昆虫キッズを撮った梅佳代さんの写真も最高。巻末の大橋裕之先生の『ライブテープ2』なる漫画もありえないおもしろさなので、ぜひともお手にとってみてください。

◆金曜日、「フェスティバル/トーキョー」のお隣りで「アジア舞台芸術祭」が開催されており、すべて入場無料だというので、よくわからないままアジアンキッチンのデリー編(作:岩井秀人、演出:神里雄大)を覗く。

インド料理屋の主人と女性司会者との会話で見せる寸劇。と思いきや、主人はインド人ではなくてネパール人で……という感じでやはり寸劇。ゆるいなかにも、要所要所ぴりっとした笑いをとっていく。
インド独立に至る流れを「なんだかんだありまして」とざっくりまとめるあたりに、ただのだらしなさではなく、<歴史>への選び取られたある距離感が感じられたのがよかった。

でもって直後に、同じ東京芸術劇場のすぐ隣のホールでこれ(↓)を観たものだから、(どちらがよくてどちらが悪いということでなしに)その<歴史>を扱う手つきの落差にクラクラしてしまったよ。

ラビア・ムルエ、リナ・サーネー演出「フォト・ロマンス


◆土曜日もずっと池袋にいてアジア舞台芸術祭。

アジアンキッチンの台北編(作・演出:戌井昭人)、「東京舞台」LIVE版(なんだこの言葉!)のBプログラム(中野成樹+フランケンズ/冨士山アネット)、Cプログラム(第七劇場/チェルフィッチュ)、Dプログラム(ひょっとこ乱舞/shelf)を観る。あ、あと時間つぶしにおやじカフェに2回も入ってしまった……。

台北編、俳優がまさかの宇野祥平。前田弘二映画でおなじみの宇野くんだった。笑ったなあ。台湾料理屋の女主人に、「台湾って暴動ありましたよね。ぼく西成出身なんすけど、機動隊に石とか投げたんですけど、やっぱりそういう感じですか」だって。
なるほど、「アジアンキッチン」おもしろい。ぜんぶ観ればよかったな。

「東京舞台」は中野成樹+フランケンズのモリエール・ダイジェストがひたすらかっこよかったのと、チェルフィッチュの新作(「わたしたちは無傷な別人である」)プレビューのはりつめた緊張感と期待感でおなかいっぱいに。

◆みんなゆってるんだろうけど、THE XXのアルバムを聴いてるとYoung Marble Giantsを思い出すね。胸を衝かれるとはまさにこのこと。

2009/11/23

L-O-V-E、ラヴだよ

◆誕生日だった。またひとつ歳をとった。

◆星崎かのんはフェイクだぜきっと(ちがってたらごめん)。

◆7日、フレデリック・ワイズマン監督『パリ・オペラ座のすべて』。
ワイズマンといえばアメリカン・バレエ・シアターを撮った『BALLET』があるけれど(前に観たときの感想→)、今度はパリ・オペラ座。あいかわらずワイズマン節全開のすばらしいドキュメンタリーだった。
舞台(それもリハーサル?)よりも長い、会議や電話や掃除のシーン。オーレリ・デュポンすら出ないパリ・オペラ座映画に、Bunkamuraに集まったおばちゃんたちもあっけにとられたのではないだろうか。

◆その後、木場公園に移動し、超歌劇団「ぼうやー♪よい子だ、金出しな!」表公演を観劇。
毎年、夏の恒例行事と化していた超歌劇団。今年は来ないもんだと思ってたから、ホントにうれしい。今回のテーマは「裏おとぎ話」。最高に熱く、くだらなく、感動的だった。毎年お世話になっているリンクを→

◆8日、にしすがも創造舎でグルーポ・ヂ・フーア「H3」。
後ろ向きに疾走したり、全力でぶつかってはね飛ばされたり、無理矢理動きをストップしたりっていう、この「溜めてる」感じにぐっとくる。このフィジカルな知性ってあれだ、ブラジリアン・トップチーム。

◆12日、元週プロ野郎にしてフリーライター宣言をした鈴木健さんと実況アナウンサー・村田晴郎さんのイベント、その名も「神実況ドラマティック・ドリーム・トークライヴ」へ。
健さんの意気込み、周到な準備を知っていただけに、大盛況でなにより。ただ、「神実況」と銘打つからには、誰もが納得する「実況」芸をまずは見せてほしいと思ってしまったのも事実。唯一それっぽかったのがニコ動で有名なガチムチレスリングにつけた実況だけど、もうずいぶんと手垢のついている動画だし、なにより動画そのものがすでにおもしろいわけで。そうではなくて、あくまで二人の視点が入るからこそおもしろくなるようなコンテンツ選びをしないとまずい気がする。それができる人たちだとも思う。

◆13日、東京芸術劇場でサンプル「あの人の世界」。
ここ2作ほど見逃した間に、こんな遠くまできてしまったのか。
軸足は最初の頃から変わっていないと思うんだけど、もう片方の足が「運命」やら「出来事」にまで届いていて、そのバランスが見事。ラストの「本物」の金魚なんてキマリすぎていて、かえって不安になるくらいだ。頭の中でずっと、前野健太の「動物になっちゃいそう」が流れていた。
以下、いつかちゃんと本作について書く日のためのメモ。
 個体の利己を遺伝子の「利己」から剥奪して取り出しうるのは、両者の方向が対立するという状況においてだけである。たとえば鮭の個体の内に、苦難に満ちたしかも死に至る産卵のための遡行を拒否し、大海にそのまま悠々と遊ぶ自由と幸福を満喫することを選択する個体がいれば、その個体はドーキンスのいう遺伝子の生存機械ではなく、個としての主体性を確立したといえる。
 そういう個体は繁殖しないから、定義上このような「主体的」資質は進化しえないという論理は成り立ちそうに見えるが、そんなことはない。ある個体にとって第一の欲望は心理の探求であり、第二の欲望はセックスであるということはありうる。一方を選ぶとすれば学問を選ぶけれども、両立ができればそのほうが好ましい。それでも多くの子孫を残すことに支障はない。
(『自我の起源』 真木悠介)
 進化論的な「的格性」を決定する尺度の多次元化ということは、他個体たちからの個体の選択と「評価」の基準の多次元化ということの根拠を構成し、個体が次第に群れの他個体から個々にユニークな「かけがえのない」個として識別され、待遇されるということの根拠ともなる。
 [中略]
 こうして哺乳類という独自の分岐は、いつか人類というひとつの先端部分が、生成子の支配という圏域自体をほとんど走り去って(runnway!)しまうかに見える強固な個我の主体性を確立するまでに至る、加速度の助走を開始しているといえる。それが「進化」の暴走であるかは分からない。
(同上)
 個体を主体としてみれば、個体はその<起源>のゆえに、自己の欲望の核心部分に自己を裂開してしまう力を装置されている。個体にとって、性はなくてもいいはずのものだ。個体の長寿にも安らぎにも幸福にとってもないほうがいいものである。それでも個体は不可解な力に動かされるように性を求める。この不幸を求める。この不可解な力は個体自身のいちばん核芯からくる。個体は自分自身の中核によって自分を解体される。
 [中略]
 けれど個体の、この自己裂開的な構造こそは、個体を自由にする力である。個体のテレオノミー的な主体化が、自己=目的化、エゴイズムという貧相な凝固に固着してしまうことがないのは、個体のこの自己裂開的な構造のためである。個体は個体自身ではない何かのためにあるように作られている。法皇と王たちという中世の二重権力がやがて権力一般の相対化に向かうダイナミズムを生むように、生成子と個という目的論の二重化がテレオノミーの相対化に向かうダイナミズムを生む。
(同上)
 どの他者もわれわれの個としての生の目的を決定しないし、どの他者もわれわれの個としての生の目的を決定することができる。この無根拠と非決定とテレオノミーの開放性とが、われわれが個として自由であることの形式と内容を共に決定している。
(同上)

◆16日、映画美学校で諏訪敦彦、イポリット・ジラルド共同監督『ユキとニナ』試写。かわゆいなあ。よき映画だった。

◆17日、バルト9で『マイケル・ジャクソン THIS IS IT』。



なんだこれ最高! 泣いたよ。「L-O-V-E、ラヴだよ」
周りにMJ狂が多いだけにちょっとはばかられもするが、それでもあらためて、喪ったものの大きさにたじろいでしまう。完全無欠のエンタテイナー。永遠に。

◆19日、あうるすぽっとで作:サラ・ケイン/演出:飴屋法水「4.48 サイコシス」。
死へ向かっていくサラ・ケインのテクストに寄り添いながら、強烈に「生」へと転換させるエモーショナルな舞台。声に出して読みたい「SILENCE(沈黙)」。音、光、気配、すべてに生理が息づいていた。

◆21日、東京芸術劇場前のオープンスペースでPort B「個室都市 東京」。ツアーにも参加。
Port Bといえば、池袋に来るたびに思い出す(ほとんどトラウマ)といっても過言ではない「サンシャイン62」。あれはホントすごかった。
今回の「個室都市 東京」も、都市社会学、格差社会論などのハイコンテクストな文脈を装いつつ(いやもちろん両含みなんだろうけど)、かなりエグーく迫ってきた。生理をついてきた。とてもよかった。

2009/11/07

弁天湯VS前野健太

◆映画『ライブテープ』の公開記念で、前野健太@風呂ロック、ついに実現。すでにかなり予約が入ってきている模様なので、チケットはお早めにぜひ!

以下、完全に個人的な感慨。
初めての風呂ロックは第1シリーズのファイナルと銘打たれた「弁天湯VS遠藤賢司」だった。あのあと主催者の一人であるヒロキくんと知り合って、イラブチャーの閉店もあったりなんだりでしばらくごぶさたしている間に、こっちは吉祥寺の映画をつくったよなんて。そしたら日を空けずに、なんだ風呂ロックも再開かと。かくして、前野くんのライブが弁天湯で観られる運びとなった。ホントにうれしい。

◆10月30日には、前野健太とDAVID BOWIEたちが渋谷クラブクアトロのステージに。対バンが相対性理論と湯浅湾。おまけにオープニングでPHEWまで出たのだけど見逃してしまった(すばらしいステージだったらしい)。そういやPHEWずいぶん観てないないつからだろうとググッてみたら、自分がインターネッツに日記をつけた最初のページまでさかのぼっちゃったよ。

Maenoqua前野健太とDAVID BOWIEたち、一曲目が「背中」。おー、そうくるかと。前野くん、もろ風邪っぴきだったそうで、声が若干鼻掛かる。めずらしく歌詞も飛ばしてしまったりしてやや心配になるが、「3月のブルース」「友達じゃがまんできない」とハードフォークでたたみかけたあたりから俄然、空気をつかんでいく。久しぶりに二胡・吉田くんのギタープレイも炸裂。終わってみれば熱のこもったすばらしいライブであった。

相対性理論もやはりよかった。「相対性理論」というイリュージョンを起ち上げようとする繊細な手つきからしてすでに美しいもの。起ち上げる、といっても「降りてくる」のを待っている身体だったりもするのだけど。そのせめぎあいに磨かれ、やくしまるえつこのステージングがどんどん艶やかなものになっているのがすごい。

湯浅湾、「」もホントいいアルバムだったけど、なるほどライブバンドだわ。ルーズな演奏なのに牧野さんのギターソロだけが超絶なのも笑った。湯浅→PHEW→前野→やくしまる、とありえないリレーで「ミミズ」合唱。よいものを見た。

湯浅湾企画といいつつも、つまりは雑誌『スタジオ・ボイス』のフェアウェルパーティー的な意味合いも持ったライブイベントだったので、知り合いの編集者やライターやカメラマンに大勢会った。すばらしいスキルとハートを抱いた連中。まだまだ楽しいことやっていきたいね。

◆11月6日、豊田道倫with昆虫キッズ『ABCD』完成祝賀会@七針。
映像に、司会に、と岩淵くんが大活躍。イベント中にも指摘していた人がいたが、あるバンドやミュージシャンの記録を映像できちんとアーカイヴしている人がいるのは心強い。たとえば昆虫キッズには岩淵くんがいて、神聖かまってちゃんには竹内くんがいる。DVカメラ持ってりゃ誰でもいいわけじゃない。ちゃんとバンドと関係を切り結んでやっていくんだから、なかなか大変だ。

豊田さんのソロライブはここ最近観たなかでも出色の出来だった。
友川かずきばりの力強いストロークにピリっときた。まさかの「中央線」(THE BOOM)カバーは、サビの「中央線」がふっと抜けた感じが粋。中野から高円寺ぐらいの感じ。あれ? すぐ、みたいな。

◆祝・ゲラーズ再始動。ペイヴメントまで再結成して日本に来ちゃう時代だもの、どんどんやりゃあいい。楽しみにしています。

2009/11/05

「生きてるものはいないのか」+「生きてるものか」

Ikiteirumonoha先週の水曜日、一日池袋にいて、五反田団の「生きてるものはいないのか」と「生きてるものか」の2本立てを観た。

「生きてるものはいないのか」は、プロトタイプともいえるENBUゼミ・前田司郎クラスの卒業公演「ノーバディ」からはじまり、都合3回目の観劇となる。

はじめて「ノーバディ」を観たときにも書いたが、もとはといえばENBUゼミの卒業公演のために書き下ろされた作品であり、出演者全員にそれなりの見せ場をつくるための計算がされた戯曲だったのだと思う。
それが実際に上演されてみると、予想しないような(いやもしかしたら前田さんは稽古の時点で気づいていたのかもしれないが)スペシャルなことが起こった。
生徒たちはみな必死で死のうとする(この言語矛盾!)のだが、彼/彼女らの拙い演技力による死にゆく所作はどうみても滑稽で、まるでコントみたいなのだ。しかも「卒業公演」という性格上、観客は彼/彼女らの身内が大半であり、客席からはくすくすと笑い声が起こってしまう。人が真剣に死んでいるのに、やまない笑い声。おまけによく見たら、死んだはずの役者まで、死体のくせにちょっと笑ってしまっている! ……というのはぼくの錯覚かもしれないが、でも頻繁にお腹が動くので息をしてしまっているのがバレバレである。
なんておもしろいんだろう、と思った。

しかも重要なのは、彼/彼女らがとにかく真剣である、ということだ。
1年ないし2年、それなりにお金と時間を費やした演劇学校の卒業公演である。俳優としてプロの道に進む者もいれば、別の道に進む者もいる。野心に燃えている者もいれば、なんとなく卒業をむかえてぼんやりしている者もいる。ある季節の門出にあたり、この晴れ舞台で、彼/彼女らは一生懸命に死ぬ。必死に、バタバタと死んでゆくのだ。死体だらけ。そして、ホントは死んでいない。
しかしである。100年後には、彼/彼女らも、くすくす笑ってしまっているぼくらも、おそらく死んでしまってこの世界にはいないのである。

その後、「ノーバディ」は「生きてるものはいないのか」とタイトルを変え、プロ(という言い方が成立するのかは微妙だが)の俳優たちによって改めて演じられ、さらにはこの戯曲によって前田司郎は第52回岸田國士戯曲賞を受賞するに至った(ここで選評が読める)。

そして今回、「生きてるものか」というスピンオフ作品とあわせて上演されることによって、ようやくこの作品は完成をみたのだと思う。

長い旅をしているようだった。
観られなかった方は、検索などしてみてほしい。
またもや、「おやすまなさい」や「ふたりいる景色」、「さようなら僕の小さな名声」でも使われた、あの、たったふたりの、蝋燭の炎を思わせるポツポツとしたやりとり(かつて劇評で「エッセンシャル・オブ・五反田団」と呼ばせてもらったことがある)で幕はおろされ、誰もいなくなった舞台には静かに熱いものだけが残った。

2009/10/26

整理より生理

◆なんと、『ライブテープ』が東京国際映画祭で「日本映画・ある視点」部門・作品賞を受賞とのこと! いやーすごいことになったきたぞ。

Haircut_2◆先週金曜日の昼、こまばアゴラ劇場で岡崎藝術座「ヘアカットさん」を観る。

声を受け渡していく。人に、手に、足に、尻に(とくに武谷公雄のケツの動きはすばらしかった)、さらにはパスタに乗ったベーコンのソテーに。
その偏在していく声のアンサンブルの気持ちよさときたら。
そうやって飛ばしまくった前半ののち、徐々に浮かび上がってくる「喪失」というテーマ。
司会へアカットさんによるバラエティ番組のような声回し。
カラオケ熱唱というリプライズ。
すべてが絶妙なバランスでキマっていた。

ドイツに発つ直前に観たままごとの「わが星」もやはり音楽と身体をハイブロウに交錯させたステージで、ぼくの周りでは異常に評判がよく、たしかに実際とてもよかったのだけど、同時にどこか釈然としない部分もあった。――ここには見事な「整理」はあるけれど、「生理」がない。

一方で「ヘアカットさん」には、劇作家・神里雄大の、それから俳優たちの「生理」が本人たちの意図に関わらずごろりと投げ出されていて、うまく言葉にできないのだけど、なんだかとても「愛おしさ」を感じてしまった。また何度でも観たくなってしまうような。
ちなみに「整理」のほうは柳沢さんがうまくやってくれている

岡崎藝術座、見逃していた「リズム三兄弟」の再演も来年2月にあるみたいで、いまからとても楽しみだ。

◆そのまま渋谷に移動し、夜はO-NESTで「フルカワヒデオ200ミニッツ」。作家・古川日出男が一夜で200分(3時間20分)朗読しつづけるという、規格外超絶ライブイベント。

ホントに200分朗読していた。いやむしろ200分だった。ジャスト200分。まさか休憩ナシなんて誰が予想しただろう。

初めてO-NESTのステージに立った(傍らには向井秀徳がいた)2007年5月3日、作家・古川日出男はライブハウスに異物感をもたらす美しきアウトサイダーだった。
だが、この夜の古川日出男はO-NESTに君臨するキングだった。
完璧なる制圧。

終演近く、フルカワヒデオプラスアルファの一員として咆哮する古川日出男がその手に構えた大著『聖家族』は、太古より「語り部」と呼ばれる種族が受け継いできた未知なる楽器のようだった。

2009/10/23

『ライブテープ』@東京国際映画祭

シネマート六本木で『ライブテープ』。

劇場で観るのはシネマ・ロサでの完成披露試写に続いて2回目。今回は東京国際映画祭ということで英語字幕付き。おまけになぜか一番前の席でかぶりつきで観ることができた。
まるで初めて観る映画みたいにドキドキした。

でも、まだ気づくことがいっぱいあったなあやっぱり。
通行人の方たちの動きや表情はホントおもしろい。あれはもう観るたびに発見がありそうだ。
松江監督が前野くんに「もっといけるはず」とハッパをかけるやりとりがあって、「いけます」と答えた前野健太が歌うのが「生きている私」というのもよかった。

私は私のこと/分かっているつもり
私は私のこと/ホントはよく知らない




梅田優子つながりでいくと、「このからだ」を歌っているシーンも素敵だった。シャンとひきしまった感じがスクリーンに漲っていて。

佐々木敦さんと磯部涼くんと『ライブテープ』のプレス用鼎談をさせてもらったのだけど(そのうち公式サイトにもアップされると思います)、そのプリントアウトを電車のなかで読んでいたら、『ライブテープ』ってシンガー=ソングライターみたいなもんで、あいだに「=」を入れてみるのもありだなと思った。
ライブ=テープ(有限で物質的なるもの)。

さあ、次はいつ劇場で観られるだろう。
楽しみでしょうがない。

2009/10/22

ドイツにて

◆昨日ドイツより無事帰国。

◆出張目的はフランクフルトにあったのですが、急遽ベルリンに一泊してHAUで開催されていた「TOKIO-SHIBUYA: THE NEW GENERATION」を覗くことになり、国内便で移動。
ベルリン到着まではスムーズだったけど、空港そばのホテルから劇場までの道程がかな~り!ドタバタで一時は「もうだめだ」とあきらめたほどでした。
なんとかベルリンっ子のやさしさに助けられチェルフィッチュの途中で劇場に到着。この時点でペニノの公演を見逃す。

チェルフィッチュ新作「ホットペッパー、クーラー、そして、お別れの挨拶」とてもよかった。
自分で勝手に遅れておいてなんだけど、途中からでもすっと入っていけたのがすごい(すでに吾妻橋で第一幕「ホットペッパー」のさわりを観ていたこともあるだろうが)。むかし「保坂和志の小説はどこからでも読めるのがすごい」と友人と話したことがあったが、それをちょっと思いだした。もしくはワイズマンの映画。あの感触。

快快の「MY NAME IS I LOVE YOU」がまた信じられないぐらいによかった。あいかわらず弱々しい虚構で。
こないだのりんどう湖公演では風に流されてしまったほどに儚いイリュージョン。それらがふっと消えたところで、俳優がオーディエンスを指さしていく。
「man, woman, woman, man」

快快ってどちらかというとその悪童ぶりがフィーチャーされがちだけど、むしろあの「弱さ」「儚さ」こそが決定的に重要なんだと思う。

Sannin◆フランクフルトでもシャウシュピール・フランクフルトでチェーホフの「三人姉妹」を観ることができた。
ドイツ語はぜんぜんわからないながらも、勝手知ったるストーリーかつオーソドックスな演出だったので十分に楽しめた。
なにしろフランクフルトまできて、あの「生きていかなきゃね」を聞くとは思わなかったよ。

マーシャ まあ、あの楽隊のおと! あのひとたちは発っていく。ひとりはもうすっかり、永遠に逝ってしまったし、わたしたちだけここに残って、またわたしたちの生活をはじめるのだわ。生きていかなければ。……生きていかなければねえ。……

イリーナ (あたまを、オーリガの胸にもたせて)やがて時がくれば、どうしてこんなことがあるのか、なんのためにこんな苦しみがあるのか、みんなわかるのよ。わからないことは、なにひとつなくなるのよ。でもまだ当分は、こうして生きていかなければ。……働かなくちゃ、ただもう働かなくてはねえ! あした、あたしはひとりで立つわ。学校で子どもたちを教えて、自分の一生を、もしかしてあたしでも、役に立てるかもしれない人たちのために、ささげるわ。今は秋ね。もうじき冬が来て、雪がつもるだろうけど、あたし働くわ、働くわ。……

オーリガ (ふたりの妹を抱きしめる)楽隊は、あんなに楽しそうに、力づよく鳴っている。あれを聴いていると、生きてゆきたいと思うわ! まあ、どうだろう! やがて時がたつと、わたしたちも永久にこの世にわかれて、忘れられてしまう。わたしたちの顔も、声も、何人姉妹だったかということも、みんな忘れられてしまう。でも、わたしたちの苦しみは、あとに生きる人たちのよろこびに変わって、幸福と平和が、この地上におとずれるだろう。そして、現在こうして生きている人たちを、なつかしく思い出して、祝福してくれることだろう。あぁ、かわいい妹たち、わたしたちの生活は、まだおしまいじゃないわ。生きてゆきましょうよ! 楽隊は、あんなに楽しそうに、あんなにうれしそうに鳴っている。あれを聴いていると、もう少ししたら、なんのためにわたしたちが生きているのか、なんのために苦しんでいるのか、わかるような気がするわ。……それがわかったら、それがわかったらね!

2009/10/13

生きていかなきゃね・9月後半&10月前半

◆あと2時間ほどで海外出張に出なくてはならないので、いっきに書きつけます(こんなんばっかだ)。

◆で、いきなり告知で申し訳ないのですが、ぼくもスタッフで参加させてもらっている松江哲明監督の最新映画『ライブテープ』(2009年12月公開予定)の公式サイトが立ち上がりました。
YouTubeに予告編も上がっています!



なんと東京国際映画祭の「日本映画・ある視点」部門にも正式出品されるとのことで、今月の19日と22日にワールドプレミア上映&舞台挨拶があります。詳しくはこちらで。

ちなみに『ライブテープ』撮影当日はこんな感じでした。

いろいろイベントなども仕込んでいるので、詳細が決まり次第、ここでもまた告知させていただくと思います。

◆日記というか備忘録をば。

◆9月19日、東京の演奏5@四谷市民センター10F音楽室。こっちゃんの日記がよいです(えらそうでごめん、時間がないのです)。
アナホールクラブバンド、伴瀬さん渋かった。土っぽくてすきだ。オリンポシとユーキラテス、夜景をバックに美しかった。そして山中夏樹押田千紗代、オルタナ野郎。なつかしくもいつも鳴ってる音。

終演後、荒木町の飲み屋・番狂せの1周年記念パーティへ。コスプレパーティだからってむりやり学ラン着させられる。中高男子校の矜恃を見せつける(うざい)。

◆9月21日、UFOクラブでチッツ/シャムキャッツ/神聖かまってちゃん/水中、それは苦しい/オシリペンペンズ(出演順)が出るライブイベント。どのバンドもすばらしかった。初めて見たチッツ、いきなりもってかれた。そしてやはり初めて見た話題のバンド・神聖かまってちゃん――


<以下、すべてツイッターより抜粋(ちょこっと編集あり)>

◆→かまってちゃんやりやァがった。頭から大出血で、それ見たオイラのすぐ前の女子が失神! しかもそれがまさに歌のテーマを射ぬいてるというすばらしさ。今日ばかりはトリのペンペンズも喰われたなー。いやはやとてもよいライブイベントでした。

◆9月23日
→サンロードのチェーン喫茶で海外著作権の勉強。ベルヌ条約とかフェアユース・ドクトリンとか。まるで受験生の歌
→参考書がものすごい悪文のため読み進めるのが苦痛だ…。合間合間に白洲正子を読んで癒されている
→2009年現在、「コピーライト(いわゆるマルC)表記」が法的に意味を持つのは対ラオスの場合だけ

◆9月24日
→今日はバタバタしそう。昼までに企画書3本上げて横浜に移動、野毛動物公園で中野茂樹&フランケンズ公演。池袋に飛んでバイバイ再演。目白で軽く打ち合わせして締めは阿佐ヶ谷ロフトで岡宗さん&松江監督誕生会
→野毛山動物園~(正確には急な坂スタジオで出発待ち)。ここまで予定通り
→むかし行った動物園このへんだけどな~あ♪(三輪二郎「野毛の歌」)、というわけで野毛山動物園おもしろかった! というかむかしよく行った日ノ出町図書館だわいまここ
→ハイバイ「て」再演。印象は初演を越えるものではないが、当然のごとく面白かった。おまけに、かつて「日常を淡々と芝居にするような劇作家は敵です」とまで言いきった野田秀樹氏とのトークの異様な緊張感ときたら!

◆9月25日
→朝イチで那須に発たなくてはならないので、このタイミングで仮眠をとるのはとても危険だけど、だけど…

◆9月26日
→携帯の充電切れで更新できなかったけど、スペクタクル・イン・ザ・ファーム、かなり面白かった。キレなかった14才やフジサンロクフェスを通して考えてきたようなことを別アングルから捉え直す機会になったというか
→キッチュな化学反応を起こしたオオルタイチ×康本雅子。温泉の宴会場をデヴィッド・リンチ世界に読み替えたTUTU HELVETICA。プラネタリウムから満天の夜空に駆けつけた七尾旅人。必死に虚構を起ち上げようとしては風に流されていった快快。草原の動物たちと戯れたKATHY&森ガール
→どれもよかった

◆9月29日
→昼『ボーイズ・オン・ザ・ラン』試写、夕方「風呂ロック」打合せ、夜『ライブテープ』座談会。なんだかロック(?)な1日だ
→映画『ボーイズ・オン・ザ・ラン』試写、掛け値なく素晴らしかった。ポツドールmeets銀杏BOYZ。演劇界と音楽界における赤軍の邂逅(連合赤軍)。相性良すぎて心配すらしてたけどまったくの杞憂でした

◆9月30日
→今年の夏は〈サマー〉ちょっとヘンだった。豊田道倫with昆虫キッズの新譜『ABCD』、これ自分のこと歌われてんじゃないかってくらい今の気分にフィットする。いつもそうだったけど、ここまでのは初めて

◆10月2日
→本日、長尾謙一郎さんと渡辺ペコさんのトークイベントの司会やります。阿佐ヶ谷ロフトで19時半からです。あまり告知できてない(自分もだけど)みたいなので、助ける意味でも皆さん遊びにきてください~。かなり面白くなる予定なので!
→トークショー無事終了~。河内遙先生の乱入(ガチ)タイミングが国際はぐれ軍団ばりに見事だった。ラストは長尾、大橋裕之両先生のツインギターに乗せてペコ先生と河内先生によるサントワマミー。楽しかった!

◆10月3日
→ジャンまつり、優勝したど~!

◆10月4日
→ジャングル化の激しい自宅部屋の片付けに着手
→部屋からなぜかルノアールのメニュー表が出てきた
→部屋片しながら石井裕也監督『剥き出しにっぽん』。結局見入ってしまった。この映画好きだなー

◆10月6日
→新宿駅ホーム、リスみたいなかわいい女の子が声かけてきた。「落としましたよ」。昨夜ライブでもらった缶バッヂ。「僕はアゲチン 加地等」の文字
→英会話の先生(アメリカン)が、仕事とはいえ加地等に食いついて面白かった。こんなに加地等の音楽について英語で語り合ったのは、我々が世界初だと思う

◆10月8日
→トクマルシューゴ@風呂ロック、いい湯加減~
→改装した弁天湯、ステージの高さがちょい気になってたけど、実際にお客さんが入った状態でライブを観ると、なるほど考えられた高さだわこれは

◆10月9日
→下北で毛皮族(実は初見)観て阿佐ヶ谷に移動。muffinのレコ発でネクストサンデーへ
→扉を開けるなり昨日飲んだばかりの木下いて「九龍さん来るとは思わなかった。今日の面子どこが引っ掛かったんですか」。いやいや俺だってジュディ・シルとか好きだもん!
→関係ないけどmeso mesoのレコ発@池袋・鈴小屋、対バンがLau Nauだって(フライヤー情報)。ちゃんとフロム・フィンランドって書いてある。ひっそり来日しすぎだよ。みんな知ってるのかな

◆10月10日
→今夜はUFOクラブで前野健太/赤い疑惑/DODDODO/埋火。マエケンと疑惑、初対バン。大橋裕之先生の紙芝居もあります~
→ライブぜんぶ素晴らしかった! しかし全然関係ない理由で、久しぶりに便座の蓋の上に座ってた頃のヤバい記憶がよみがえったわ。なんだろうあの感じ
→なんかどんよりしたので払拭するかと飲む方向で予定を変更したらば、さらによくわからない展開に
→でも最終的にはDODDODOやいわずみくんとかとバカ話しているうちに楽しくてどうでもよくなっちゃった

◆10月11日
→本日はレッドクロスにて漫画家バンド大戦。シークレットであの大物漫画家も参戦との噂です
→漫画家バンド大戦、遅れていったらもうエンディング間際。トリはなぜか元気いいぞう先生! となりにTASUKEもいてここは鶯谷WHAT`S UPかと

◆10月12日
→ままごと(劇団名)を見に三鷹へ向かう途中。そのあと恵比寿リキッドのローズレコードフェスで豊田さん&昆虫キッズ。余裕あらばさらに三鷹に舞い戻りおんがくのじかんのオープニングパーティに駆けつけたいです

<ツイッターここまで>

◆……手抜きですみません。こないだ知人に、ブログでツイッターを引用するのはとてもかんじわるいと言われたばかりだというのに!

◆ではでは行ってまいります!!

2009/10/01

すべりこみ告知

9月後半からの出来事を一気に更新しようしようと思っているうちにせまってきてしまったので、あわてて告知させてください。
どちらもかなりオモシロなイベントになる予定ですので、ぜひとも遊びにきていただけたらうれしいです!
長尾謙一郎と渡辺ペコのマンガの描き方

【出演】
長尾謙一郎(漫画家)
渡辺ペコ(漫画家)
【司会】
九龍ジョー(ライター)

【日時】2009年10月2日(金)
18:30開場/19:30開演
【会場】阿佐ケ谷ロフトA
【料金】前売¥2,000/当日¥2,300(飲食代別)
店頭販売、ウェブ予約受付中!
PC用ウェブ予約
http://www.loft-prj.co.jp/lofta/reservation/reservation.php?show_number=213

なにはともあれ長尾謙一郎先生のブログと渡辺ペコ先生のブログをごらんください。
このなにかが起きそうな予兆ときたら!

そして翌日、土曜日は――
ジャンまつり ~すみません、命が惜しくなってきました~

本日もキャッチコピーが冴える哲学芸人ジャン相見、40歳。
2009年秋季の単独ライブは、業界の異端児たちによるジャン相見プロデュース合戦。
ジャン相見本人も渾身の新作一人芝居をこしらえており、もっとも高い評価の下されたネタはあらびき団に提出!!

【日時】2009年10月3日(土)
18:30開場/19:30開演
【会場】nakano f(JR中野駅北口より徒歩5分)
【料金】前売当日共に1500円(+ドリンク)

【主役】
ジャン相見
【作家陣】
サノカエ(ライター/編集者) ~業界恐怖のワン切り女~
九龍ジョー(ライター/編集者) ~業界最後の赤線男~
左近洋一郎(ルノアール兄弟) ~漫画界のパリーグ~
小松周(元大学生) ~バクチ狂のガチマッチョ~

お問い合わせ、ご予約は090-6531-1379もしくはd251imj@yahoo.co.jp(小松)まで
そのまま会場で打ち上げも行う予定です。
ご来場の皆様へのプレゼントもございます。
お待ちしております!!

こちらも4月にやった聖誕祭豊田道倫さんや猫ひろしさんに絶賛されるなどここんとこミラクル続きでして、今回も目が離せません……と自分でゆってみる。
個人的には業界イチの「ジャン使い」といわれるサノカエ姐さん(伝説のマンガ雑誌『コミック・ワイドショー』元編集長)のネタが非常に気になるところ。

なお、自分のネタがすべったときはぜんぶジャンさんのせいにするつもりなのでよろしくです。

2009/09/16

大人になんてなれないよ・8月後半&9月前半

◆更新怠りすぎたのでアホみたいに書きつけます。まずは9月前半まで。

◆8月23日、DDT両国大会。満員札止め。
初両国おめでとうございます、ということでパンフにも一文を寄させていただく。なによりすばらしい興行だった! すでにタイトルだけですでにぐっときてしまったもの。
「両国ピーターパン~大人になんてなれないよ~」
うん、大人になんてなれないよ。

→高木三四郎とザ・グレート・サスケのピーターパン対決
→サスケのとっておきの凶器が高木嫁の加世子さん! そりゃ沁みるって。
→そして、旦那にむけてトップロープから華麗にムーンサルトを決める加世子夫人(一般人)。
→『ザ・レスラー』の向こう側。
→蝶野がポイズンの呪文で動けなくなった瞬間、涙が溢れそうになった。
→飯伏はできる子。プロレス界の宝。
(以上、ツイッターより)

◆8月29日、大根仁×岡宗秀吾の両兄ィに天久聖一先生を迎えたトークイベント@阿佐ヶ谷ロフトAへ。
ちょい遅刻して大根さんの話を聞けず残念。しかし、岡宗さんのボンクラ・エピソードや天久先生の生味写に爆笑。
打ち上げで大根さんと『トラブルバスター』(景山民夫)の話ができたのがうれしかった。

後日、大根さんから送っていただいたゆらゆら帝国@野音ライブの映像が最高すぎる。スペースシャワー用に録られたものらしいけど、独立した映像作品として観られる完成度。発売とかしないのかな。

◆→酔って電車で聴くジェリー・ゴフィンよ!(ツイッターより)
それはスポットライトではない


◆8月30日、そのランディ(『ザ・レスラー』)っぷりではザ・グレート・サスケに引けをとらないタコ社長ことアルゴピクチャーズ・細谷さんの結婚式。
すばらしくデタラメで最高だった。タコ社長よ永遠に。そして末永くお幸せに!

◆→必要にせまられ人生初エヴァ(DVDで『序』)。劇場で『破』も観なくては。
→バルト9でエヴァ待ち。ものすごく眠い。爆睡の予感……。
→『エヴァ破』面白かった!(無邪気に)。
→若松孝二の『実録・連合赤軍』みたいだった(やはり無邪気に)。
→次はまごころをなんとかってやつを観ればいいのかな。
→「ちゃうちゃう」て、会社で全員にツッコまれた。しかしみんな熱いよ!
→すいません言うたら、私に謝らなくていいからエヴァに謝れ言われた……。
(以上、ツイッターより)

◆9月4日、吉祥寺スターパインズカフェにて相対性理論×大友良英&色即ぜねれいしょんバンドのライブ。
ひと夏越えたらってのもヘンな話だけど、相対性理論もといやくしまるさんのステージングに俄然、艶が出てきた。
大友良英&相対性理論のコブラも楽しく、あいかわらず摩訶不思議なバンド。不定形な魅力。

◆9月5日、武蔵野公会堂で松倉如子さんの渾身企画、「渡辺勝40周年記念コンサート」。
なんと前座に戸張大輔。書いてもまだ現実感ないのだけど、戸張大輔。
戸張大輔のライブを観てしまったよ。
民族音楽っぽい旋律のインストに続き、『ギター』の曲と新曲(?)を少し。MCも「2曲目やります」「次は3曲目です」「次は4曲目です」「新しいアルバムから一曲やります」と最低限。
そう、10年ぶりのセカンドアルバム『ドラム』がもうすぐ発売とのこと。
ちなみに戸張さん、自分の演奏が終わるとすぐに大阪に帰ったらしい(ホントかな?)。

Musahino渡辺勝ソロを経てアーリー・タイムス・ストリングス・バンド。
「東京」の熱演にしびれた。
終演後、ロビーに出ると才能溢れる若いミュージシャンたちがいっぱい。
ムーンライダースももちろんいいけど、渡辺勝のライブにこんなに集まっているというのがうれしいなあ。

◆→「消費者感覚」について。
「ものがたくさんあることに倦みつつ、そこで何を選ぶかで自分のアイデンティティができるんだという強迫観念みたいなものが、アートを追いかける人の中にも確かにある」(ツイッターより)

◆9月10日、マツリセッション独演会@渋谷C.C.Lemonホール。
ついに実現したZAZEN BOYS×立川志らく。
あらかじめ配られた演奏曲目に沿ってライブは進行するらしい。ラストの曲「Asobi」には「VS 落語・立川志らく」と添えられている。

予想外だったのが、イスに座って聴くザゼンのライブというのがすでにかなりイレギュラーな体験だということ。前半のストップ&ゴーを多用するロックなサウンドも、後半のダンサブルでスペイシーなサウンドも、イスで聴くと不思議な陶酔感。
「Asobi」の途中でスクリーンが降りてきてバンドが影絵状態に。
向井秀徳が「ザゼン・ボーイズ」と書かれた「めくり」をめくると、そこに「立川志らく」の文字。「ASOBI」のビートを出囃子に登場する志らく師匠。
高座につくと、そのまま通常のまくらを振って、掛けた話は――「らくだ」。
夢のような時間だった。
志らく師匠がサゲると、再び「Asobi」のループがフェードイン。
スクリーンが上がると、メンバーはおそろいのザゼン×立川志らくのTシャツを着込んでいた。
みなシートに深く腰掛けそれを見つめていた。身体は動かないけど、頭はぐるんぐるんと回っていた。
そのような状態はやはり、夢に近いとしか言いようがない。

◆9月11日、うんこビルことアサヒ・アートスクエアで吾妻橋ダンスクロッシング。
→飴屋法水さんが「よだかの星」のテキストを使っててビビった(よかった!)。ちょうど再度したところだったので。梅原猛『地獄の思想』の影響也。(ツイッターより)

その他、チェルフィッチュの掌篇、いとうせいこう×康本雅子のコラボにぐっときた。気づいてみたら9・11。Chim↑Pomの連中がまた悪さをしていてチャーミングだった。オイラの粗チンもちゃんと映しだされたかな。

Miwashirafu◆9月12、阿佐ヶ谷Rojiにて三輪二郎、伴瀬朝彦(アナホールクラブバンド)、高城晶平(cero)が登場し、全メンバーにMC.shirafuが絡むライブ。
いずれも歳に似合わずレイドバックした感じが温かかった。

せっかくだからたまにはビデオ撮影でも、と思ったら途中でバッテリーが切れてみんなに悪いことをした(とくに三輪二郎)。でも懲りずにまた機会をみて撮影をしてみたいと思う。

2009/08/29

SPOTTED PRODUCTIONSについて

なんの因果か受験生ばりに英語漬けの毎日。予習復習予習復習。

近過去のことばかり書いているけど、このぐらいの距離感がちょうどよい(ということをTwitterをやって痛感)。
前の日記で触れた前野健太@コクテイルよりちょっとさかのぼり、8月20日はナヲイさんの発行するミニコミ「SPOTTED701」の創刊2周年イベント@阿佐ヶ谷ロフトAだった。
トークあり、寸劇あり、音楽ありといろいろ詰め込みつつ、絶妙なゆるさが心地よかった。あれホント絶妙なんだよなー。いい塩梅ってやつ。「SPOTTED701」というミニコミの感じがまさにそうだもん。

Spo11しかし「SPOTTED701」、もう11号だって。ぼくもたまに原稿を書かせてもらっているが、あの質量をキープしつつ2年で11冊出すミニコミもそうはないと思うよ。

昨年6月、たしか5号が出たあたりの頃、SPOTTED PRODUCTIONS=ナヲイさんについて雑誌に原稿を書いたことがあるので、記念に転載しておきます。

SPOTTED PRODUCTIONSについて
文・九龍ジョー

直井卓俊によるSPOTTED PRODUCTIONSはたったひとりの企画・配給プロダクションだ。
昨年インディーズ映画の枠を超える話題を巻き起こし、いまだ全国各地での上映が続く松江哲明監督『童貞。をプロデュース』を配給したり、すでに第5回を数えるピンク映画の特集上映『R18 LOVE CINEMA SHOWCASE』を開催し、普段ピンク映画を観ないような若い人、とりわけ若い女性たちに映画館に足を運ばせたり。最近はそれらの展開と連動して『Spotted701』なるミニコミも創刊。
とにかく日本映画界の突端でガシガシ動き回っている人、それが直井さんおよびSPOTTED PRODUCTIONSなのである。
なお直井さんとSPOTTED PRODUCTIONSの関係は本人曰く「J・マスシス+ザ・フォグみたいなもの」とのこと。ずばりグランジ世代なのだ。

ぼくもかつて映画イベントを企画し、SPOTTED PRODUCTIONSに協力してもらったことがある。いましろたかしの傑作怪獣漫画『デメキング 完結版』の出版記念イベント。
初めて顔を合わせた中野の喫茶店で、イベントでの上映作品についていまおかしんじ監督版『デメキング』以外のアイデアを持っていなかったぼくに、直井さんが即座に言った。「同時上映は『グエムル』しかないですよ」。『グエムル』なんてムリなんじゃないか? と思いながらも、この人は興行というものが分かっていると直感した。しかも、実際に直井さんは手際よく『グエムル』のフィルムを手配してくれ、イベントは大成功で終えることができた。

直井さんの経歴について、ちょっと触れておこう。
90年代の終わり頃は下北沢のフリーターだった。古本屋「D0RAMA」やロックバーでバイトをして食いつないでいた。松田優作のツアーパンフをD0RAMAで100円で仕入れ、ヤフオクで売ったら12000円になった。映画は普通に好きだった。
2000年、アップリンクに補欠採用で入社。初めて自分で手がけたイベントが「ニッポンエロティックス・フィルム・アーカイブス」。ピンク映画でピンク四天王と呼ばれる監督たち(佐藤寿保、サトウトシキ、瀬々敬久、佐野和宏)の作品を上映した。
「もともとロマンポルノは見ていたんですけど、ピンクは四天王の存在すらよく分かっていなかった。でもイベントに意外にも若い女の子が大勢集まり、列までできたりして、潜在的な観客がいるんだなって思いましたね」(直井)

じつは四天王は「カッコよすぎて」いまいちピンとこなかった直井さんだが、いろいろとピンク映画を観ていくうちに、ひとりの監督にハマってしまった。
監督の名は、いまおかしんじ。
「いまおかさんの初期の『彗星まち』とか『イボイボ』とか『デメキング』、あのへんの作品を観てみたら、日常と非日常が地続きで繋がっていて、しかも出てくる男たちがみんな情けなくて(笑)。さすがに今はもうちょっと冷静に見ているんですけど、当時は完全に心酔していて、観るたびに涙目になってましたね」(直井)
2004年、アップリンクを退社。フリーとなりSPOTTED PRODUCTIONSを起ち上げた今も、いまおかしんじ作品は新作ができるたびに配給を手がけている。いったん「この人なら」と見込んだ監督への惚れ込みようはハンパないのだ。

奇才・井口昇監督とも長いつきあいになる。
「井口作品との出会いは、それまで持っていた価値観をひっくり返されるくらい衝撃的だったんですよ。アップリンク時代に『恋する幼虫』をどうしてもソフト化したくて、ゆうばり(国際ファンタスティック映画祭)まで追っかけましたから。けっきょく権利は他社に行ってしまったんですけど、それがきっかけで過去の作品のソフト化をやらせてもらったりして、それからずっとおつきあいさせてもらっています」(直井)
8月2日より公開される井口監督によるアメリカ資本(!)の復讐アクション映画『片腕マシンガール』も、もちろん配給はSPOTTED PRODUCTIONSである。

とにかくまず「人間に惚れる」こと。プロジェクト主義ではなく、かといって作品至上主義でもない。まず監督の才能に、人柄に、その可能性に惚れ込む。それでいて、プロデューサーとしてきちんと数字を見ることもできるところに直井さんの本領がある。
「自分がどんなに面白いと思っても、一般性というか、広がりがないと思ったらやらないです。といってもほとんど直感なんですけど。ただ、一度やるとなったら、絶対に支え続けます。例えば冨永昌敬監督の『シャーリー・テンプル・ジャポン』のときに情報がほとんど載っていない謎のチラシを作ったんですよ。三角形の壁画みたいなデザインで。ぱっと見、お客さんにやさしくないチラシなんですよ(笑)。でも、シリーズ化するに当たっても、まずそういった遊びをどうやったら続けていけるのかを考えるんです」

その三角デザインの映画『シャーリー・テンプル・ジャポン』を撮った冨永監督はあるイベントで「あとふたりぐらい直井くんがいてくれたら、日本映画界もすいぶん状況がよくなるのに」と発言していた。
日本映画界の状況はともかく、会うたびにいつも思うのは、直井さんの尋常じゃないハードワークっぷりである。とにかく替えのきかない人なのだ。その多岐にわたる活動のとりあえずの現状報告は、そのつどミニコミ「SPOTTED701」最新号で確認することができる。異常な刊行ペースなんだよ、これがまた。

(初出:「Quick Japan」2008年6月号)

そう、原稿を書いたのはちょうど『片腕マシンガール』が公開される前のことだった。その後、映画は大ヒット。
でもって現在は、『片腕マシンガール』の方向性をさらにエクストリームに追求しつつ、一大エンタテイメントに仕立てあげてしまった井口昇監督の最新作『ロボゲイシャ』が近日(10月3日)公開予定である。「ギリギリ・デートに使える映画」というのがウリらしいけど、試写で観たら、「ガンガン・デートに使える映画」だったよ!(まあオイラが「デート」いうてもぜんぜん説得力ないけどな)

同じ歳の直井さんとは、おこがましい話ではあるけれど、会ったときから感ずるところがあった。原稿にもちょろっと書いたけど、心のどこか片隅でいつもこんな音が鳴ってるもんね。

2009/08/28

私の錨鉛とは

◆思いついた断片をツイッターでつぶやいたり(ミクシィはログインすらあまりしなくなった)、人に話したりするうちに、ここを更新する機会を逸してしまう。季節はもう秋のおとずれ。

◆いろんな考えが未整理のまま渦巻いているが、けっきょく一つの問いの周りをぐるぐるしているともいえる。

ちょっと思い出すと、18日にアトリエ春風舎で青年団若手自主企画「昏睡」を観た。
永山智行の戯曲を神里雄大が演出。男と女のふたり芝居。シチュエーションの違う7つの掌篇がシームレスに演じられる。
面白かった。なによりとても感銘を受けた。

むかし五反田団の「ふたりいる景色」の劇評を書いたとき、石川忠司の「誰かと誰かが『ふれあう』ことが世界をはじめて確固たるものとして実在させるのなら、それが世界の基礎だというなら、もっとも根源的な単位、その先にはもう『無』しかない孤独な単位は一ではなく実は二だ」という言葉を孫引きさせてもらった。しかし、この芝居はその先を描く。
「孤独」という感情を押し殺すならば、じつは一人いなくなっても、二人いなくなっても世界はありつづける。たとえ身体が消え去っても世界はありつづける。そもそも私たちがある身体的特徴を持っていまここに存在していることになんて、なんの意味も理由もない。むしろその意味のなさ、理由のなさだけが私たちに残された希望ですらあるのだから。私たちがいなくとも世界はあるが、私たちはたしかにいまここにいる。生きている私。ここにある私。私はどのようにしてここに「ある」のか。
芝居のラスト、意味のなさを全力で生きた/演じきった俳優は、暗闇のなかで<声>となる。そう、私たちは<声>である。<声>として、いまここにある。

アルトーの「器官なき身体」という言葉も頭をかすめつつ、思い出すのはこの日記で書いた平井玄の『ミッキーマウスのプロレタリア宣言』や北里義之が問題とする「声の集団的再編成」のことだ。

上記の日記でいえば、他にも大友良英が指摘するライブハウスのPA問題とか、真木蔵人の発言とか、いま自分のコミットしている音楽や映画や演劇の連中が意識的あるいは無意識的にチャレンジしている試みとまんま繋がっている。
そこには坂口恭平が建築でやろうとしていることなんかももろ関係してくるのだけど、それについてはまた改めて書きたいと思う。

Kokut◆そんなこともあってか、8月22日、高円寺の酒場・コクテイルでのライブで披露された前野健太の新曲「私の怒りとは」が、なんだか特別な響きでもって届いてきた。
とてもいい曲なんだ。日の光に溶けていく山や川や街、それでも溶けない私、いつか会わなくなるかもしれない友だちと今は一緒にビールを飲んでいる、みたいな歌詞の。
この「私の怒りとは」の「怒り」が、ぼくには「錨鉛(いかり)」と聞こえてきた。
私の錨鉛とは――。私の中に深く降ろすもの。私を、私でないなにかにつなぐもの。

なぜなら、上記の日記からさらにてめえの日記にリンクで飛んだら、最首悟のこんな言葉。
自然人は無際限の自由をもっている。自然人の対極は奴隷人である。しかし、奴隷人の奴隷人たるゆえんは、自分を縛るカセが自然のオキテに等しいとみなすことにあるから、その意味では奴隷人もまた無際限の自由をもつことになる。ガレー船に掲げられていたという自由である。
それにくらべると、社会人は大幅に自由を減じている。社会人は共同した生活を選んだヒトのあり様である。自由が減じた原因は共同にある。共同は規模が大きくなるにつれて、あるいは緊急事態の出現によって、協議・指導・指揮・支配が要請されるようになる。どのように理想的な共同でも、自由は目減りしているのである。
(中略)
課題は古くて新しいというべきである。ヒトが共同へ向かったときの、その自発意志、すなわち自由をせばめながら責任観念を発生させた内発的義務とは、何なのであるか、わが身に深く錨鉛(いかり)を降ろすこと。私は、自然人ともいうべきわが子の星子という介助者に恵まれて、その作業を進めて行こうと思う。
(最首悟 『星子が居る』)

◆てめえの日記から、こんどはさらに杉田俊介さんの日記に飛んだら、「シャカイ系の想像力」ときた。どうにも示唆的な連環だ。

◆御殿場にクロープン(閉じ開いている)な空間を現出してみせたフジサンロクフェスで一番衝撃を受けたバンド、表現(hyogen)の動画をYouTubeで見つけた。映像の粗さもあいまってむちゃくちゃかっこいい。



ようこそ灰の田へ!
見ても泣かないで
突き落としたいのは山々だけれど
いかんせん君は
鳥の気がある
いつでも空へ発てるとは癪だ

新しい土地を
もらいに来ただけよ

(SHINTENCHI/表現(hyogen))

2009/08/21

フジサンロクフェス'09

ちょっと経ってしまったけど、いまだその高揚感がつづいているような気がするフジサンロクフェス。ひたすら楽しい2日間だった。

フェスの最中、自分のTwittterでこんなことをつぶやいた。
ここでは音楽をすることと、音楽を聴くことと、音楽について話すことと、踊ることと、飲み語らい、おしゃべりすることが渾然一体となっている。クロープン(閉じ開いている)とは言いえて妙だと思う
「クロープン」(clopen)とは主催の鈴木竜一朗くんがフェスのねらいとしてあげていたキーワード。
その試みはかなり成功していたと思う。

表現(hyogen)の佐藤くんが煮込んだカレーを食べ、おしゃべりをしながら、「キレなかった14才りたーんず」のあのロビーの感じを思い出していた。あれもまさに「クロープン」な場所だった。

偶然似ているんじゃない。
彼らはみな、確実に同じ可能性を共有している。
舞台と客席――私たちは舞台と観客席を捨て、かわりにひとつの場所を置く。どんなものを用いても、仕切ったり、遮ったりしない。(アントナン・アルトー)
出演したミュージシャンたちも紹介しておこう。いずれもすばらしき演奏でした。
ちなみに前日飲みすぎたせいで遅刻し、オープニングの片想いとうたぽすとを見逃しました。無念!!

01hyougen
◆表現(hyogen)

02miwa
◆三輪二郎トリオ

03momo
◆momo椿*

04adachi
◆あだち麗三郎

05inaka
◆いなかやろう

06noda
◆野田薫

07olymposhi
◆尾林星

08hurukawa
◆古川麦

09hatoyama
◆鳩山二郎

10yoshida
◆吉田悠樹

11cero
◆cero

ちゃんとした写真は竜ちゃんのブログ(1日目2日目)にもあがっていますのでぜひ。

しかしやってることと矛盾するようだけど、こんなふうに出演順でミュージシャン名を挙げていくのも野暮ってもので。それぞれバンドや編成に関わりなく、ミュージシャンが自由に、流動的にバックに参加したりしなかったりするのもこのフェスの醍醐味だった。あだちくんやシラフなんかほとんど出ずっぱりだったもんな。

おしゃべりをしたり、身体をゆらしたり、温泉に入ったり、オセロをしたり、湧き水を飲んだり、本当に楽しかった。
フェスも佳境にさしかかった頃、吉田くんの奏でる二胡の幽玄な響きが夕空に溶けていくのを聴きながら、右手に見上げた富士の稜線がとてもきれいだった。
00fuji

2009/08/05

あんなに愉しそうに、力強く鳴りひびいている

ずいぶんたってしまった。ついったーでここでは書けないようなこと延々つぶやいたり、ドラクエしたり、あとちょっと仕事なんかもしてるうちにあっという間に夏まっさかりでびびった。明日の朝からしばらく旅に出てしまうので、その前に思い出せるかぎり書きつけておこうと思う。そう、いろいろライブやなんかにも行っていたので。

◆6月21日、池田亮司展@東京都現代美術館の最終日にすべり込む。パルス・トーンのなかを子どもがハイハイしていた。渋谷に移動し駅前の松屋でライス5人前を仕入れ渋谷O-nestへ。詳細は省くが、雑誌「エクス・ポ」のイベント虹釜太郎さんの兵隊として乱入。磯部涼が会場に「カレーライスの女」(ソニン)を流すなか、佐々木敦さんと西島大介先生にカレーをよそう。やりっぱなしで磯部くんとタクシーで新宿に移動。ここからは『スタジオボイス』(合掌!)8月号の磯部連載に続く……としたいところでもある。新宿ゴールデン街劇場で前野健太ソロライブ。ゴールデン街のヤニっこさと猥雑さをどこか漂わせたステージングがよかった。ミラーボールを回しながら、「天気予報」。歌の途中で舞台袖にはけたら、ステージ上に雪が降った。お見事。雨は雪に変わり、愛は勇気に変わる。

Aadachi◆6月22日、AOYAMA月見ル君想フで、あだち麗三郎、三輪二郎、西宮灰鼠などが出るライブ。仕事が片づかずちょい遅刻でねずみくんの終わりかけから。月をバックにねずみくんなんてこれ以上ないシチュエーションだね。三輪二郎のジャニスカバー「ミー・アンド・三輪二郎」。なんで私と三輪二郎なんだよ。笑ったなあ。トリのあだち麗三郎、すごかった。ステージと客席の段差に腰かけちゃった。大げさかもしれないけど、彼のミュージシャン哲学みたいなものを体現した素晴らしいパフォーマンスだった。マイクもライトも使わず、ライブハウスのポテンシャルを引き上げることに成功していた。

◆6月23日、無力無善寺で恒例の前野健太ライブ。普段はソロだが、この日はデヴィッド・ボウイたちとのバンド仕様。おまけにバンドメンバーのソロ対決あり、と聞いたらこれは駆けつけねばと。30人ほどの会場にまたもや佐々木敦さんと磯部涼。日曜はいやはや、なんて。バンドソロ対決。意外にもみなストレート勝負。POPさんの芸達者ぶりが光っていた。バンドセット、無善寺で聴くのはなんだかもったいないくらい。新曲(「背中のうた」?)がバンドを従えたときの友部正人のようだった。かっこよかった。

◆6月24日、西荻窪あけたの店にて渡辺勝レコ発ライブ。その名も『渡辺勝』と銘うたれたニューアルバムの発売記念。アルバム収録曲の多くがあけたの店で録音されているので、ライブ中も「こんな感じで録ったんだよね」と不思議な味わい。勝さんの孤高な世界はタイムレスというか「ここが勝負」みたいな色気とも無縁で、そこが評価の分かれるところだろう。でも、ぼくはなによりあのエモーショナルな歌声が、ギターの超絶な音色が、大好きなのだ。

◆6月25日、吉祥寺シアターにてミクニヤナイハラプロジェクト「五人姉妹」。昨年のアゴラ劇場での準備公演があまりにもでたらめですばらしく、観る前から胸がしめつけられるような思いで指折り数え待っていた本公演。どこにもたどりつかない時間を、声をからしながら、肉体を酷使しながら、それでも生きていく俳優の身体に素直に打たれた。永遠をいくつ一瞬と数えただろう。宮沢章夫さんとのアフタートークで矢内原さんが、「私が理想としている動きが10だとしたら、それでも俳優は1しかできていない」と断言するのにも感銘を受けた。といってもあの「できてなさ」「ついていけてなさ」はやはり重要で、それを「よし」として進めているのではなく結果としてそうなってしまっているだけというのが潔いし、たんにそうなんだろう。

◆6月27日、横浜にラ・マシンを観に行く。2ステージ観たが、とにかく動き出す瞬間がすべてだと思った。荘厳な儀式のようですばらしい。ゆっくりゆっくりと持ち上げられる足の繊細な動きにゾクゾクした。体感できてよかった。

◆6月28日、日比谷野音にてZAZEN BOYSライブ。開演時間に向けて強くなる雨、という“演出・神”(根本敬)。雨ン中の、ZAZEN BOYS。プログレッシヴなバンドアンサンブルにゆれる3000の雨合羽。「ASOBI」のスペイシーなアレンジに酔いしれる。まったく不思議なバンドだよな。9月に立川志らく師匠とマツリセッションを行うとの重大発表あり。
志らく師匠の、マトモな奴はひとりも出てこない噺「らくだ」を見て、その狂った世界観とそれをアリとする自由な感性に、そしてまた景色を、匂いを、ニンゲンを鮮やかに描き出すワザに、わたしのハートは共振し、ビリビリと震えました。
シビれアがったわたしは師匠に共演を申し込み、セッションを行うことになりました。
このセッションは「ロック音楽×落語」ではなく、あくまで「ZAZEN BOYS×立川志らく」であります。
ZAZEN BOYSの言葉とビートのウナリあげと、志らく落語の言葉とワザのうねりがカラミあい、異常非日常祭空間を作り出せたら、と思います。(向井秀徳)

◆6月30日、前田司郎さんの三島賞受賞記念パーティ。めでたいとしかいいようがない。スーパー演劇集団「むっちりみえっぱり」のメンバーの方々と話せて大感激(話しかけるまでもじもじすること15分かかったが)。本人たちに向かってどれだけあなたたちの公演がすばらしいかを訥々と語るキモいファンになってしまった。でも本当に最高の劇団だと思う。来年1月に別枠公演があるとのこと。いまから楽しみ!

◆7月3日、お恥ずかしい話ですが、私、弾作というバンドでベースを弾いていたことがありまして、この日、3年ぶりぐらいにライブを行いました。吉祥寺のヤングライオンバンド、THEWATTERのレコ発に呼んでいただいたのです。それ以上、語るべき言葉を持ちません。呼んでいただいたことがすべて。あとはなにがどうなろうとベターベター。演奏終わりで抜けだし、阿佐ヶ谷に移動。Tenkoさんのレコ発ライブ@阿佐ヶ谷Next Sundayへ。ちょうど轟渚さんが始まったあたり。いまから山のぼり以外の渚さんをライブで観るのは初めて(なぎ食堂で買った轟渚と夕映えカルテット『いますぐに』はかなり愛聴しているが)。予想していたことではあるけれどすごくよい。『灯ともし頃』の頃の浅川マキっぽい雰囲気もありながら、現在性のある音楽。次にTenkoさんが登場して、あれトリじゃないの、と思ったら、何回かに分けてTenkoさんは登場、ライブ全体が公演のように綿密に構成されているとのこと。さすがあだち麗三郎プロデュース。ceroはホントいいバンドだよなー。普通に売れればいいのに。普通に、なんて言っちゃいけない。ceroにあだちくんやおりんぽしも加わった大編成で「東京」。ぐっときたよ。

◆7月4日、渋谷アップリンクファクトリーにて。前田弘二監督の作品集DVD発売記念イベント。上映作品は「先輩の女」「ラーメン」「ハナムグリ」。大好きな映画監督。ようやく最新作「先輩の女」が観られたのがうれしい。車とか雨とか、いままでありそうでなかった意匠が増えてるのがたまらない。「ラーメン」の妙にアンビエントな感じも好きだなあ。「ハナムグリ」は……お蔵入りするのがなんとなくわかるというか。ちょっとがんばってる(のが見えてしまう)もんなあ。だから監督の判断は正解。高円寺に移動し、無力無善寺にて開催中の日本ロックフェスティバルへ。前野健太とデヴィッド・ボウイたちを観る。名阪ツアーを経て、これ以上なくタイトな演奏。またもや新曲が炸裂していた。思ったよりも出番が長くてよかった。終わってコクテイルでしっぽりやってたら、前日ライブおつかれさまのTenkoさんが現われ、大橋裕之先生なども合流し、終電まで。

◆7月5日、新宿タワーレコードでいなかやろうインストアライブ。ゲストにあだち麗三郎、三輪二郎。これはもう行かなきゃでしょという感じで、ひさしく音楽話をしてなかったやなぎくんも誘う。いやすばらしかった。タワレコジャックというか、タワレコの片隅を完全に彼らの空間に塗り替えていた。三輪二郎もあだちくんももちろんよかったけど、この日のいなかやろうは泣けるぐらいよかった。バンド野郎だよホント。オルタナアコースティックな感じが最高だったよ。

◆7月7日、立川志らく独演会「志らくのピン」@内幸町ホール。「代脈」「疝気の虫」と病気コンボで攻めて、シネマ落語のスピンオフ的傑作「たまや」。マクラで振ったZAZENの野音ライブの話が最高。ロックは「身体で感じるもの」で、落語は「意味を楽しむもの」、どうコラボレーションできるか思案しているとのことが、この日の志らく落語は十二分に「感じるもの」であった。さあ、いよいよ9月のマツリセッションが楽しみだ。

Bmaeno◆7月8日、高円寺稲生座にて渡辺勝VS前野健太(しかしすごいタイトル)ライブ。渡辺勝さんを若い音楽好きにも聴いてもらいたいとの思いの詰まった松倉如子企画。松倉さんの目論見が成功したかどうかは分からないけど、前野健太と渡辺勝による「ぼくの倖せ」には震えてしまった。「東京の空」のピアノ弾き語りバージョンが聴けたのもよかった。

◆7月10日、吉祥寺にてすさまじい飲み会。多くは語らず……。

◆7月12日、浅草花やしきにて都会の迷子さん2周年記念公演「浅草花やしきの迷子さん」。出演は向井秀徳、前野健太、麓健一。ついに前野健太が向井秀徳と同じステージに立つ、というメモリアルなライブになる予定だったが、主催者側の手違いでライブ全体に音量の規制が入り、やや残念な結果に。急遽アコギ一本の構成に変更し、ナンバーガール時代の曲までサービスしてみせた向井秀徳。さすがのプロフェッショナル。前野健太もひさびさの「青い部屋」。そういう日もあるね。いろいろあって打ち上げ、朝まで。カラオケでオムスビ佐藤のエアギターが炸裂。まったく喰えない男だよ。

◆7月13日、渋谷で木村覚さんと前田愛実姐さんと演劇鼎談。第二期「エクス・ポ」の創刊号に載る予定だそうですが、あれをまとめるのは大変そうだ。

◆7月17日、ついにドラクエ9に手を出してしまう。ハイウェイ・トゥ・ヘル。

Dgirl◆7月19日、ガール椿東京来襲記念ライブ@東高円寺UFOクラブ。出演バンドはガール椿、前野健太とDAVID BOWIEたち、やすりよ(安威俊輔+林漁太 from ミックスナッツハウス)、THEWATTER。数日前ライブに対バンとしてお呼ばれしておきながらライブを観るのはこの日が初めてになってしまったTHEWATTER。いやーすばらしかった。一番手でお客さんもパラパラと遠巻きに眺める感じだったのが、徐々に前に前にステージに引き込まれ、バンドもさらに熱気を帯びていくという、つまりは最高のライブだった。「焦ってはーまたー人をー傷つーけーる」沁みるねえ。やすりよの軽やかさと、前野デビの貫禄。広島の隠し球・ガール椿は、そもそも東京に来るきっかけのところに自分も絡んでいたのでドキドキしてたら、本人たちはそれ以上にドキドキしていたみたいで、でも結果としてドキドキする演奏をかましてくれたのでよかった。アンコールでやってくれた「F(フロイト)式もえこ」(ここで試聴できます)、燃えたなー。たいへんだと思うけどまた東京に来てほしいし、広島にも観にいけたら、なんて思っている。

Cohashi◆7月20日、代々木Zher the ZOOにて大橋裕之ロックフェスティバル。出演バンドはニーネ、前野健太、後藤まりこ+岩見継吾(from ミドリ)、シャムキャッツ、drumno、松倉如子、それから特別上映作品として、短編アニメ「山」(原作:大橋裕之、監督:岩井澤健治)。さらにフェスにはフードがつきものというわけで松江哲明監督がカレー屋を出店。その名も「ロマンスカレー」。なにも考えず言ってしまいたい――楽しかった! でも、それだけじゃあんまりのなので、拾った感想をあげておきます。これ(驚愕の映像あり!)とかこれとか。どちらにも触れられていませんが、シャムキャッツの演奏もじつに素晴らしかった。ペイヴメントmeetsはっぴいえんど。伊達じゃないぜ。

◆7月23日、ポレポレ東中野にて松江哲明監督「あんにょん由美香」。試写以来2度目の鑑賞。カメラマン柳田さんのルーズでイイ顔や、通訳・沈さんの妙な色気など、細部を楽しむ。ラスト近く、柳田さんが小さなレフ板を持っているインサートカットが好き。ああいった現場の空気感をきっと林由美香さんも愛していたんじゃないかと、そんなことを思う。トークショーゲストに長澤つぐみと前野健太。いやがうえにも元旦の「ライブテープ」撮影を思い出す。あ、その前に「鴨川」もあったのか。まったくここ1年ぐらいの時間の濃さには驚くしかないよ。

Eadachi◆7月24日、高円寺サンレインレコードにてTenkoさんとあだち麗三郎くんのインストアライブ。10人も入ればいっぱいの店内で、贅沢な催し。サイドマン、MCシラフがこの日も大活躍。あだちくんの絡むライブは場所と音楽がもはや決定的に切り離せないものとしてあって、だから、それがどんな場所でも楽しみにしてしまう自分がいる。そんなマジックの力に乗せられ、あだちくんの演奏を聴きながらカウンターで原稿を書いてみる。こっちゃんが紹介してくれてうれしい。そうそう、「東京の演奏」コンピ、ぼくも個人でディストロやらせてもらっています(すでに3枚売れた!)。1000円です。お声掛けいただければ手売りいたしますのでよろしくお願いします!

◆7月25日、なんとかドラクエ9クリア。魔法戦士/バトルマスター/パラディン/賢者。クリアしてからが本番とすら言われている本作だけど、これにて打ち止め。地図? なんの話ですかって感じ、でいきたい(願望)。なぜならこの日以降、仕事が佳境に突入。

Fmatsukura◆7月30日、仕事の山をなんとか片付けダッシュで吉祥寺。スターパインズカフェにて松倉如子さんのレコ発ライブ。一部の途中から観たが、いやー殺気バリバリのいいライブだった。「ともだち」のバッキングで鳴らした渡辺勝さんのエレクトリックギターの音色がえらくかっこよかった。不協和音ギリギリ。「くだもの」もライブだとあんなに躍動感あるのか。やっぱり松倉さんの根っこはブラックミュージックだよねえ。ミニコミ『SPOTTED701』の最新号に松倉さんについて1ページ書かせてもらっています。でもオイラ、自分のために歌ってもらった曲の名前まちがっちゃってんの。松倉さんに指摘されて気づいた次第。でも、「愛の賛歌」と「アメイジング・グレイス」を記憶違いしていたなんて、それはそれでなかなかのものじゃないか(開きなおり、いくない!)。

と駆け足で書いたので、なにか忘れてるかも。あというまでもないことだけど、ずいぶん飲んで笑って、(心で)泣いたりもしたものだ。まるで「富久」みたい。あとチェーホフばかり読んでいた。
音楽があんなに愉しそうに、力強く鳴りひびいている。
それを聞いていると、つくづく生きていたいと思う!
(チェーホフ「三人姉妹」)

2009/06/20

カオスTK

Touen◆先日の「東京の演奏4」でこっちゃんと物々交換してもらった『東京の演奏コンピ』がすごくよい。これホント、K Recordsのコンピじゃないかってぐらいに耳になじむ。
どの演奏もとてもすてきでにやけてしまうのだけど、とくに[disk1]の最後に入っている高城くん(cero)の「そいじゃ、また」。たとえばMount Earieの「uh oh it's morning time again」とほとんど同じ空気だもの。USインディ好きのみなさま方にもぜひ聴いてほしいです。

「東京の演奏4」の写真がRYUちゃんのブログにアップされています。暗くなっていく東京の空と東京の熱演の絡みが劇的です。ぜひとも覗いてみてください。

以前に、GANG GANG DANCEはブルックリンだとパーティバンドだってことを日記(12月25日)に書いた。
GANG GANG DANCEとかあのへんのミュージシャンって、日本だとO-nestみたいなライブハウスでライブしたりするけど、彼らは地元のブルックリンだと、友達のやってる中華料理屋を貸し切って、内輪のパーティみたいな感じでやってるらしいと。
実際そうかどうかは別として、ライブハウスみたく演奏者がライトアップされ、フロア(もしくは客席)が暗転、みたいなのとは違うライブのあり方になにかが胎動している。

四谷の音楽室の動画があれば一番いいのだけど、でも代わりにたとえばMount Earieとも交流のあるBreathe Owl Breathegaのこれ(↓)でもいい。そうそう、この空気。演奏も、お客さんも。



あるいは無力無善寺ってこんな(↓)感じ(Cake Shopね)。そしてWOODSの新譜はとても素敵だ。



べつに東京がオリンピアやニューヨークなんかと似ていますねってことが、ただ言いたいわけじゃない。東京のインディもUSインディに負けないぐらいいけてるし、緩やかな共時性もあっておもしろい、そんなふうにO-nestとかで向こうのバンドを観るような人たちにも微弱な電波を送ってみたいのです。BON IVERもすばらしいけど、前野健太も最高だから。この感じ(↓)、後半かなり熱いけど、全然遜色ないからと。



◆またもや忘れてた。先週12日(金)に映画『SR サイタマノラッパー』のイベント@shibuya HOMEで赤い疑惑を観たんだった。
アウェイんときの疑惑はやばい、というのはデメキングイベントで証明済み。久しぶりに聴いた「東京フリーターブリーダー」にシビれた。
2007年、疑惑が一時的に復活をはたした東京ボロフェスタ。リハーサルでかました(本番ではやらなかった)「東京フリーターブリーダー」。あの一曲でもってかれたんだ。

◆14日(日)、恵比寿ナディッフでChim↑Pom「広島!!」展のトークイベントを聴く。
思うことはいろいろあったが、『美術手帖』に掲載された「ヒロシマの空をピカッとさせる」の写真があまりにもひどいことについて卯城くんがちゃんと言及していてよかった。オレも思っていた。あれは絶望的にひどい。写真にばりばりデジタル処理をほどこしている。

そもそも「ピカッ」には原爆の記憶が時間や世代を経ることで薄れていき、平和表現もいやがうえにも劣化していく、ということへの意識的な目配せが、それがコンセプトのすべてではないにしろあったはずなんだ。だからこそ飛行機雲で描かれいまにも消え去りそうな「ピカッ」の文字、あの儚さこそが重要なのにそれなのに。
『美術手帖』ときたら、おそらく「文字が薄いから」とかそんな単純な理由で(それ意外の理由だったとしたら、なお悪い)、フォトショップかなにかのデジタル処理でもって「ピカッ」をくっきりさせてやんの。CGみたくなっちゃてんの。アホかと。
極端なことをいえば、印刷工程で「ピカッ」がさらに消えて薄くなってしまったっていいと思うんだ。芸術と複製技術の関係ってそういうものでしょう。
なんで「アート」の門外漢のオレがそんなことまで言わなきゃいけないのかわからないよ。栗原裕一郎さんとかが、最後までフォローしてくれればいいのになー。
オレの言ってることまちがっていたら、誰か正してください。

その後、渋谷に移動し、O-nest(!)の「モーリス祭り」でgroup_inouを観る。group_inouが観たかった。ただそれだけなんだけど、観られてよかった。

さらに恵比寿に舞い戻り、リキッドルームで相対性理論。
やくしまるさんの儚さとバンドの演奏力、ともに飛躍的にアップしていた。客席も巻き込んだ不思議な緊張感は相変わらず。もう露出とかの問題じゃない。あの緊張感こそ相対性理論の魅力の核心だと思う。

◆15日(月)、『実話マッドマックス』副編集長Wくんの小規模な送別会。古くからの仲間が集まる。楽しすぎて涙が出た。あの頃つくったDVD、ホントありえないくらいおもしろいので、どこかで上映会をやれたらいいな。

なにがあろうと、オレが雨宮まみというライターを心底信用しているのは、あのひとこんなことを書くからだ。
私は「ウィークエンド・スーパー」の時代を知りません。「写真時代」の時代も、知らない。「HEAVEN」も「JAM」も、見たことがありません。でも私は「千人斬り」を知ってます。「URECCO GAL」も知ってる。「マッドマックス」も知ってるし、「ウォーB組」も知ってます。セルビデオの世界には、オーロラプロジェクトがあり、実録出版があり、豊田薫があり、ワープがあり桃太郎がありゴーゴーズがあり、ドグマがあり、V&Rプロダクツもある。その世界は信じられないくらい、豊かなんです。
最近、書かれたこれにもぐっときてしまった。

◆16日(火)、浅草花やしきにてDDT「花やしきプロレス」。
またもや楽しすぎて涙が出たよ。よく出るなー。

三沢のことがあった。追悼の10カウントゴング。いやホントはそれに間に合わなかったんだオレ。着いたら、男色ディーノが石井慧介をプリクラマシンに突っこんで陵辱しようとしていたんだ。

メインイベント直前からぽつぽつ降り出した雨に、伝説の予感――は的中。
スワンのアトラクションでムーンサルトを決める飯伏(これがホントの「スワン式」)があまりにも神々しすぎて、もはや雨だか涙だか。
さらに豪雨のなか、なぜか対戦相手4人で「花やしき史上、最強・最速の絶叫マシン」スペースショットに乗り込んで――

Hana02→→→Hana01

雷もゴロゴロゴロ――!! ってもう意味わからないよ。
根本敬先生いうところの「演出:神」状態。
いやー楽しかった!
くわしくはこちらにレポートがアップされております。

それにしてもあれからずいぶん遠くまできてしまったことよ。
あのカオスを体感してしまって以降、元には戻れない身体になってしまった……。





そして、この流れ、冒頭の音楽話に(だけでなく、たとえば演劇にも)ゆるやかに接続されていく。ステージがライトアップされ客席が暗転、っていうモダンではないなにかに。

2009/06/14

本日も永遠なり

◆13日(土)の梅川良満×坂口恭平トークイベント、来てくださった方々ありがとうございました!
打ち合わせ時点ですでに泥酔状態だった梅川良満。彼氏が暴走してからが勝負だと思ってましたが、そんな心配も杞憂に終わり、笑いに溢れた充実のトークになったのではないかと思います。
とにかく多摩川のロビンソン・クルーソーの話がおもしろすぎ。多摩川文明だもん、素人の乱どころのさわぎじゃないよ。梅ちゃんの写真もどれもすばらしかった。布団の写真、笑ったなあ。
準備期間が短くていろいろ大変だったろうバサラブックス店長・関根くん、おつかれさまでした。よい会になってよかった!

Mcaksak打ち上げもお祭り状態で最高だった。写真は超やばいセッション。坂口くんのギターに合わせてフリースタイルを決める四街道ネイチャーのマイクアキラ氏。
そのままBAR営業中の無人島プロダクションになだれこみ、Chim↑Pomの卯城くんと林くんと岡田くんと広島話。卯城くん、ついにGUYさんと直接話せたそうでホントによかったよ。
最後はコクテイル集合でカオス飲み。梅ちゃんが「マザーファカー」を連発。いまごろになって、でよかった。
GQで買い物したり、スタ丼で腹を満たしたりして散会。

吉祥寺に戻ってからも三軒ハシゴ。
友達との電話で、三沢が亡くなったことを聞かされる。リング上でって。言葉をうしなう、と同時に携帯の充電が切れた――。



最後に三沢光晴を生で観たのはノア東京ドーム大会。ああそうか、あれは橋本が亡くなった直後だったのか……。
みんなゆっくり休んでほしいよ。

◆ひとが死ぬことに、たいして意味なんてない、理由なんてない。
だいたい明日突然、愛するひとが死ぬかもしれないし、そうじゃないひとだって死ぬかもしれないし、きっと大勢死ぬ。ぼくらはその身も蓋もない「意味のなさ」の周りをぐるぐる回りながら、ときには涙を流したり、お墓に手を合わせたりもするのだろうけど、やっぱり意味なんてなくて、理由もなくて。
べつに死ぬことだけじゃない。ひとと出逢うのにも、ひとを好きになるのにも、愛し合うのにも、ハンディキャップを持って生まれてくるのにも、社会的ビハインドを背負わされたりするのにも、人生の光や影にも、なんの意味も理由もない。
そして、その徹底して「意味がない」ということ、「理由がない」ということ、ただそれだけが、むしろぼくらに残された最後の希望なんじゃないかと思うのだ。

だからいまは、意味のないこと、むだなこと、くだらないことがたまらなく愛おしい。それらにすべてを懸けたいとすら願う。
「カフカは微笑した。希望は十分にある、無限に多くの希望がある。ただぼくらのためにはないんだよ。……この命題のなかに、まさにカフカの希望が内在している」
(ヴァルター・ベンヤミン 「カフカについての手紙」)

2009/06/12

まざったところが一番おいしい

◆まず8日、「動物大集会 vol.02」きてくださった方ありがとうございました!
今回はケンカにカレーにマジトークとホント疲れましたが、かなり充実の内容になったのではないかと思います。というか、時間もないのに、オリジナルカレー&その予告編(スライド)までつくってくださったマッスル坂井さんと松江哲明監督に感謝。クリエイターの底力、とくと見させていただきました。

だいだいどんな感じの流れだったかをついったーから転載。
●松江監督とぼくがプライベートの暴露をめぐって口論→客席の松江監督の彼女泣く→彼女の話聞く→「そもそもお前も悪い。なんで泣いてんだよ」「……」「ん?」「おなかすいてるの」

●マッスル坂井、カレーをふるまおうとする→「なんでお前が作るんだよ」→お互いカレーに一家言ある→「じゃあどっちが彼女を満足させるカレーが作れるか対決だ」→「その勝負、梅山岡士郎があずからせてもらいます」→美味しんぼのテーマソング→10分休憩

●松江、坂井両陣営、スクリーンを使って、映像作家の意地をかけたカレー予告編(プレゼン)→会場全員に両者のカレーが振る舞われる→審査員はお客さん全員(2票)&特別審査員として枡野浩一さん(2票)&ぼく(1票)&松江監督の彼女(2票)

●松江と坂井、作品と観客の評価についての心情吐露→お客さん審査(拍手の量)、僅差で松江【松江2】→枡野さん、松江だが、坂井もすてがたく、というか空気を読みふたり引き分け【松江3、坂井1】→ぼく、どちらも美味しかったが(ホントに!)、今日は坂井さん【松江3、坂井2】

●松江彼女「どちらもおいしかったけど、まざっている部分が一番おいしかった」→カレーのポエム(by重松清)朗読→「たしかにまざっている部分が一番おいしい。強烈な個性がまざるとこんなにおいしいものができる。それがこのイベントを通してぼくがみなさんに一番伝えたいことです」→10分休憩

●「あんにょん由美香」予告編上映→本編もみた坂井さんの感想や、由美香さんをめぐるいい話→キン肉マニアや「あんにょん~」にも影響を及ぼしたマッスルハウス5の話→「やってはいけないこと(だからこそ)をやってしまう」「作品はひとを傷つける」「それでもやるしかない」

●「たとえ10人でも伝わることを信じる。結果として100人に伝わっている」→「こんな時代に安易に感動(逃避)できるものはつくれない」→「高木三四郎とカンパニー松尾をいつか会わせたい」→「ライブテープ」の話→今年の松江哲明はすごい→ひとりの作家があるピークを刻む瞬間に立ち会える喜び

●「死なないでくださいよ」「引退してカレー屋でもやろうか」→次回マッスルは9月くらい→8月のDDT両国大会にも期待→「今日はみなさんありがとうございました。手作りカレーを食べたからには、みなさんはもう家族みたいものです。これからも応援してください」→終演

●ロビーで「あんにょん由美香」の前売り、飛ぶように売れる→購入者全員のチケットに坂井さんが松江監督の携帯番号を書き込んでいる。「松江哲明悩み相談室の番号です。なにかあったら相談してください。採用されれば映画化されます。採用されなくても、HMJMがAVにしてくれます」
松江監督の「彼女」については、かならず監督の日記を参照のこと。

ウソとホントを織り交ぜながら「ほんとうのこと」を伝える、という「マッスル」や松江映画のテーマにどれだけ迫れたかは自分でもよくわからないのですが、とにかくいま思うことはただひとつ。
あー楽しかった!

◆11日、「東京の演奏シーン4 ~片いなか想いのジオラマやろう~」@四谷地域センター10F音楽室。

前にも書いたと思うが、やっぱりあの夜景はやばい。
そして、ついに片想いを、見た! 演奏時間が短くて、ぜんぜん片鱗にすぎなかったけども、それでも片想いはオレの好きな片想いだった。もっともっと見たい。

片想い~ジオラマシーンという流れで、あだち麗三郎くんがあの空間の魔法のカギを握っているように見えた。逆に、あだちくんがこれまであそこでライブをやるときになにを大事にしていたかがよくわかったというか。だから、その気配のようなものについて、もうすこしだけこっちゃんにも考えてもらいたかった。すごくレベルの高いことを求めてしまっていることは承知で、なんだかそんなことをちょっとだけ思ってしまったよ。
でも間違いなくいい夜だった、うん。

いなかやろう、素敵なバンドアンサンブル。東京の夜景に「解散ソング」のイントロが重なり、背筋がぞくぞく、と。

◆たまには原稿仕事のことなども。

いま売ってる『BUBKA』で元・光GENJIの諸星和己さんのロングインタビューをやってます。これひさびさに緊張感あふれる現場でした。冒頭を読んでもらえればわかると思います。

相対性理論の特集で話題になっている『スタジオ・ボイス』の「Jポップ・アンダーグラウンド」という特集でレビューをちょこっと書いています。向かいのページが前野健太インタビューなんだけど、この写真がとってもよいです。梅川良満ワークス。

公式ブログでも紹介していただきましたが、今日ぐらいから店頭にならぶ『クイック・ジャパン』で映画「あんにょん由美香」の紹介記事を書いています。「あんにょん由美香」、かけねなく傑作です。

◆で、前野健太の写真も最高だった梅川良満と、いまぼくが同世代で一番やばいと思う男・坂口恭平のトークイベントが土曜の昼にあります。詳細は右のサイドバーにて。CINRAでも紹介されています。
かなりぶっとんだふたりのトークなので、「動物大集会」第1回の前田司郎×石川直樹、第2回の松江哲明×マッスル坂井を越えるカオス&「まざったところが一番おいしい」を目指したいと思っております。ぜひともお見逃しなく!

Ohasirock◆また、さらにサイドバーを見ていただくとわかるのですが、7月20日海の日に、『音楽と漫画』発売記念と「都会の迷子さん」の2周年記念を兼ねて、「大橋裕之ロックフェスティバル」というこれまた狂ったイベントを大橋裕之先生とハヤシライス佐藤くんとで企画しております。
客観的に見てもかなり旬で、キテる、豪華ラインナップじゃないかと自負しております。みんな一歩も引けないというか。
ちなみに「山」のアニメ化に挑むのは、こちらで竹熊健太郎さんに激賞されている岩井澤健治くんです。きっとすごい出来になると思いますのでご期待ください!

そんなわけでまた近づいてきたら告知しますが、ぜひとも早めにチケットを押さえていただければ幸いですー。
よろしくお願いします!

2009/06/07

美濃輪とこっちゃんの顔ったらない

◆ブログ更新しなきゃ、なんてまったく間違っている。どう考えても間違っている。だれに頼まれてるわけでもないし、てめえのさじ加減ひとつだし。でもそれでもむかし書いた日記をついつい読み返してしまったりすると、それなりに残しておけばのちのちおもしろいこともある、と思う、自分が。だから人生のクライマックスが数珠つなぎだった今年3月のことをちゃんと書き残しておかなかったのはちょっと失敗した。そんな時期が過去にもいくつかあって、いま思うと残念でしかたがない。

なんせ気づいたらもう8年ぐらいつづけてる。なんなんだいったい。
ブログって呼ぶのはいまでもちょっと違和感があって、ホームページのなかに「日記」っていうコンテンツがある。その延長がいまだにずっと続いている。そんな感じ。

なんでこんなことうだうだ書くかというと、前の日記でも触れた『モンキービジネス』の村上春樹インタビューにこんな発言があって――
もし9・11が起こっていなかったら、今あるものとは全く違う世界が進行しているはずですよね。おそらくはもう少しましな、正気な世界が。そしてほとんどの人々にとってはそちらの世界の方がずっと自然なんですよ。ところが、現実にこうして生きているわけです。生きていかざるをえないんです。言い換えれば、この今ある実際の世界の方が、架空の世界より、仮説の世界よりリアリティがないんですよ。言うなれば、ぼくらは間違った世界の中で生きている。それはね、ぼくらの精神にとってはすごく大きい意味を持つことだと思う。
で、ちょうど自分の「日記」が01年の10月からはじまっていて、その「日記」が現在まで続いているなんて、まったくウソみたいなホントの話だったから。なにかのまちがいだろうって。

それにしてもほとんどニート化していた03年あたりの「日記」、ちょうどこの書評で書いたような時期なんだけど、いま読み返すと「ぐったり」どころか、なんかキラキラしてるのよ。おかしいなあ。

◆というわけでいきます。
以前の日記で書くのを忘れてたんだけど、5月18日の月曜日、前野健太ソロライブ@無力無善寺に行ったのだった。
遅刻してしまって、着いたらちょうど後半のセットが始まったところ。井上陽水の「氷の世界」のカバーをやっていた。はげしくカッコよかった。
打ち上げで「あんにょん由美香」初試写にしてスクリーン初プレビューを翌日に控えた松江監督のテンションがおかしくて、それで、この日記につづくのだった。

◆5月29日、仕事の山の隘路をぬけて「キン肉マニア2009」へ。
詳しくはこちらで。行ってよかった。「キン肉マン」が大好きだった。夢のような興行だった。
最後のキン肉フラッシュで、キラキラした紙吹雪とともに空から降ってきたキン消したち。あんときの美濃輪の顔ったらないよ。あんな顔されたら、こちらまでほろりときてしまうよ。

Sc◆5月30日、シャムキャッツのファーストアルバム『はしけ』レコ発(おめでとう!)ライブへ。
仕事で遅れてしまい、赤い疑惑の途中から参戦。疑惑最高。東京のボンボンで締めるタイトな演奏だった。
幕間に竹内道宏というひとの音ネタひとりコント。シャムキャッツに通じる不思議な味わいになるほどと。
シャムキャッツは音源どおりの端正なライブ。まずはここからか。どんどんどんどんはじけていってほしい。楽しみにしています。

ライブ後、フロアで日本映画学校の北川くんから知り合いのライターを紹介される。と、それがさきほど見たばかりのコント師・竹内くんだった。おもわぬつながり。こちらのことも知ってくれていて、しかもよく話してみれば、前からこのブログにリンクを張ってくれていたこのサイトの方だった。
……て、こういうのむかしまだホームページだった時代によくあった展開でうれしいなあ。

フロアでの打ち上げを抜け出して、原宿のyouth recordsでやってる川島小鳥箕浦建太郎 exhibitionのクロージングパーティへ。
ありえないことに、youth recordsのある階に上るエレベーターの前でまたもや竹内くんにばったり。なんだこれ。向こうも内心、思ったはず。これがかわいい女子だったらなあ、と。
でも竹内くんいい男です。前から噂に聞いていたマエケンのライブを動画で撮っている男の子がいる、というのも竹内くんのことだった。どんだけだよ。

Kawaminoずっと不義理をしていて最終日前にようやくすべりこめた川島小鳥箕浦建太郎。ふたりらしい原色づかいのポップな空間に、ちょっとひるんでしまうくらいピースフルな空気があふれていた。

写真は無事スピーチを終えて談笑するミノケンと小鳥くん。一番左は銀杏BOYZマネージャーの石川くん。石川くんも更新しているこちらのブログにも、展示の写真がいっぱいあがっておりますー。

Toyota◆6月1日、豊田道倫の新譜『ギター』レコ発ライブへ。
仕事の都合により、会場に着いたのが曽我部恵一の終わりかけ。すなわち昆虫キッズを見逃す。アルバムよかったから期待していたのになー。完全に自分のせいなんだけど。

豊田さん、ますます研ぎ澄まされていってる。歌が、じゃなくて、存在が。このまま歌以外のものが削がれていくと、いつか歌だけになっちゃうんじゃないだろうか。久下恵生も存在がドラムだ。歌とギターとドラム。ステージにはただそれだけがあった。

◆6月3日、ダーチャで松倉如子さんとお茶。よく遊んでいるわりに、ふたりでゆっくり話すのは初めて。
もうすぐ発売となる松倉さんの新譜『パンパラハラッパ』がすごくよいのですよ。
松倉さんについてはまた別のところでも書きたいと思っております。

松倉如子と渡辺勝の幽玄な世界。


その後、阿佐ヶ谷に移動して、東京の演奏3.5@roji。
んもーすばらしかった。ただそれだけを言いたいです。
こっちゃんの日記をどうぞ。こっちゃんったら、「キン肉マニア」の美濃輪とおんなじ顔してたよ。胸いっぱいになりすぎて唖然、みたいな。あんな顔しているひとをみたら、こっちまで胸いっぱいになるっつーの。

この日もMCシラフと共通点いっぱい。リングス~K-1~プライド話で異常に盛り上がる。ハンvsコピロフ戦で飛んだ芸術的なヤジ、「どっちが痛いの~?」。あったねええ。

西荻窪に移動し、野郎飲み。盛り上がりすぎて、時間もないのに、急遽、梅川良満×坂口恭平トークショーを開催決定。6月13日@素人の乱。このブログの右上にも告知載せておきます。
動物大集会の「2.5」としたのは、東京の演奏のパクリというかオマージュです。
それにしても梅川良満もさることながら、坂口くん、同世代でいま一番やばい男です。とにかくアッパーすぎるふたりなのです(というかふたりとも「素人の乱」知らなかった! たのもしすぎる!)。
人数がかぎられてるので、ピンときた方はぜひとも予約のほどよろしくお願いします!

◆6月4日、来週8日(月)のイベントの件でマッスル坂井さんと松江哲明監督と打ち合わせ@ダーチャ。
松江監督の日記にもあるようにそうとう無茶な、かなりのおもしろイベントになりそうです。これぜったいに見逃さないでいただきたいです! あとで後悔してもおそいのです。

もちろん松江監督の新作「あんにょん由美香」「ライブテープ」のことや、「マッスル」のこと、それから松江・坂井ふたりがともに大好きな人たち(カンパニー松尾、森達也、マッコイ斉藤、川俣軍司…etc.)のことや、大好きな作品などについてもたっぷりお話していただく予定です!!

ちなみに、松江監督不在で行われた前回のイベントの模様がニコニコ動画にアップされていたので、貼っておきます。





打ち合わせのあとは、ハモニカ横町のカレー名店「ガネーシャ」へ。
ひさしぶりだったけど、やっぱりうまいなー。
ふたりとも異常に汗をかいてた。もしくはおれの代謝がわるいのか。

そのまま3人で、バウスシアターの爆音映画祭へ。
プログラムは『国道20号線』(監督:富田克也)。富田監督は坂井さんの先輩でもあるのです。

入り口付近で入場を待ってたら、やはり『国道20号線』を観にきた(それも2回目だという)磯部涼とばったり。じつは昨年のタワレコのトークイベントの際に、打ち合わせと称して、吉田豪さん、坂井さん、磯部くん、松江監督とみんなで飲もうとして、松江監督だけ諸事情でこられないということがあった。いつか磯部×松江ラインをつなげられたらなーと思っていたので好機会。

肝心の『国道20号線』は、タイトルから勝手に想像してしまったロードサイドをなんちゃって社会学的にあれこれするものではなくて、たまらなく好きな感じの映画だった。カラオケの「CAN YOU CELEBRATE?」、族車のマフラー音、滑舌の悪いセリフ回しなどが絨毯爆音でビンビンきた。ダメなやつらがひたすらダメになっていく身も蓋もなさがよかった。磯部が2回も観た気持ちがわかったよ。

上映後、なよ乃でわいわいと飲み。終電組を送ったあと、さらに2軒ハシゴしてしまった。

◆6月5日、園子温監督『ちゃんと伝える』試写@GAGA試写室。
園監督、傑作『愛のむきだし』のあとになにをもってくるかと思えば、主演になんとEXILEのAKIRA!(って名前しらなかったけど)。しかもこれまたど真ん中ストレートな傑作なんだ。まったくすげーな。円転滑脱。園監督は、いま映画を撮ることが楽しくて楽しくて仕方ないんじゃないだろうか。

夜は、こまばアゴラ劇場にて、ハイバイ公演「リサイクルショップ『KOBITO』」。
前回(本公演という意味での)の『て』も素晴らしかったが、さらに上回る素晴らしさ。
リサイクルショップなのに猿山のような舞台美術と、群れなのに個々に人生を感じさせる役者たちの熱演に圧倒され、じっとしているこちらまでずいぶんカロリーを消費した(ように感じた)。
アフタートークに前田司郎さん。ホント前田さんのツッコミはおもしろいんだよなあ。

Bankuru◆6月6日、行きつけの飲み屋で前野健太ライブがあるというのでこれは行かねばと。四谷荒木町の番狂せ
少人数、アットホームな空間で聴く、名曲の数々。隣の店の年輩ママが「一曲聴かせみてよ」と挑発してきたのに対し、本気の「天気予報」で応えるあたりがマエケンだった。シビレたなあ。あそこは手拍子いらなかったなあ、お客さんたち(……えらそうですみません)。
それにしても、よい夜だった。

写真は、荒木町の飲み屋街の路地で「東京の空」を熱唱する前野健太。

2009/05/31

対話よりもおしゃべりを

『1Q84』、まだ読めていないが、『海辺のカフカ』を読み返したり、雑誌でいくつか村上春樹がらみの記事など読んだ。

Alteなかでも、この人にかぎってはこのタイミングというわけでもないのだろうけど、『オルタ』に載った杉田俊介「性暴力と失語――村上春樹『風の歌を聴け』ノート」がよかった。
かつて岡田利規は杉田俊介の思考スタイルについて「引き延ばし」という言葉をつかったが、今回も軸足はまったく動かさないまま、もう片方の足をより遠い地点へ飛ばそうとしている。

杉田さんはまず、「信用できない語り手」や「ノート」を手がかりに、『風の歌を聴け』が、その内在する重層的な失語とどのようにまみえた小説であるかをあきらかにする。
他人を騙すのみならず自分への嘘こそが嘘の純粋結晶体なのであり、性暴力の核心には「自分に嘘をつくこと」のブラックホールがある。自己欺瞞がおそろしいのは、他人や自分の言動の矛盾や微少な虚偽を責めれば責めるほど、自己欺瞞の澱が溜まるからだ。大切なのは自己欺瞞は自力では断ち切れない事実を思い知ること、別の言語使用を探ること、しかし非倫理的なアパシーと真剣な嘘の先に、既存の日本語=性分業を猛り狂わせる<真実>が宿るかもしれないことだ――他人の嘘を受け取り(損ね)、交換し(損ね)続ける場、「単純な、個別的な、または偶然的な」交換の場(マルクス)に。ぼくら読者は、『歌』をそんな賭け=嘘として受け取る。
その上で、『風の歌を聴け』の読み直しを図りつつ、その思考は、不穏さすら感じられるとんでもない地平にまで到達してしまう。
ぜひともみさなんにも読んでみてほしいのだけど、とはいえ、軸足はやはりここなんだよなあと思ったのが、
村上は、自分の言葉を自由に所有・操作可能と盲信する人の無自覚な暴力に抵抗し、加害者としての自分の中にすら常にある小さく弱々しいものの胎動に耳を澄ませてきた。論理や対話や論争の場では生き始められない沈黙や失語を。
という箇所。かつて杉田さんがぼくの日記について書いてくれた記事を想起したりもした。
でもって、杉田さんよりもいくらかまだ腰の軽いぼくがいまでも思っているのは、やっぱり「対話よりもおしゃべりを」ってことで。以前の日記(たとえばこれとかこれとか)でも似たようなことを書いたけども、それでも、なんどでもなんどでも同じところに戻ってくるし、そうやってゆっくりと大きな螺旋が描ければいい。
久々に杉田さんの原稿を読み、そのタフで粘り強い思考に触れ、改めてそんなことを思った。

同じ『オルタ』には別の人が書いた「村上春樹のエルサレム・スピーチを批判する」という原稿も載っていて、こちらはぼくですらちょっと雑駁すぎるよなあと感じる代物だった。
それに対するアンサーではないのだろうけど、杉田さんの原稿の中で先取りされている批判がそのまま当てはまっちゃうっていうのもなんとも……(雑誌的には大丈夫なのだろうか?)。
ちなみに杉田さんの原稿はこうだ――。
村上は政治的な作家なのか、という不毛な問いを無数の人が繰り返してきた。それは「政治と個人」の衝突において個の側につく、という話ではありえない。最近村上のエルサレム賞受賞をめぐって、ブログ論壇でキャンペーンや地域紛争が散見された。「村上ファンどもの自尊心と村意識を犬は食ってくれまいが『パレスチナ人』という大儀のために一人の人間を矮小化して恥じない精神の不感症(暴力の自己消去)こそが『イスラエル的』な暴力の縮小再生産に見える」とは今さら言わない。〇九年の今、息絶えつつあるのは、村上が七九年に孕んだ、他者の失語にこそ君もまず失語してくれ、というミニマムな「読むことの倫理」と言える。

Monkeyb他の雑誌では、『モンキービジネス』の古川日出男による村上春樹インタビューが、やはりおもしろかった。
――ぼくも作家を丸十年やってきまして、この機会にあらためて自分が村上さんから受けた影響を洗い出してみたんですが、作品的な影響というよりは作家の背骨としての部分でまず、村上さんの「肉体から小説を作るんだ」という覚悟と信条ですね、それに影響されて、自分なりにひたすら実践してみるっていう感じできたなあと痛感しました。
村上 肉体から――ということについて言うと、これは本当に単純な話で、ぼくは二十代の間、ずっと肉体労働をやってきたわけです。ジャズ喫茶みたいなバーみたいな店を持っていて、そこで毎日立って動いて、重いものを運んだり、なんのかんのと朝から夜遅くまで、かなりきつく体を動かしていました。贅肉なんかつく余裕もなかった。それが三十歳の時に唐突に小説を書き始めて、そっちの仕事が忙しくなってきたんでやがて店を畳んで、それからは机の前に毎日座って書き続けるという、これまでとはがらりと正反対の暮らしに変わっちゃった。その時、これは身体を鍛えておかないとまずいぞ、とつくづく思ったんですよ。机の前に座って一日何時間も仕事をするって、すごく疲弊しますよね?
――かなりします。
村上 だからここのところでしっかり身体をつくっておかないといけないと思ったんです。[後略]
――で、実際に体を鍛え始めてからの村上さんの感慨っていうか実感というのは、どういうものだったんですか?
村上 ごく単純に、贅肉つくと小説家は駄目だな、と思いましたね。実感として。
――ああ、いい言葉ですね。
村上 個人的な実感なんで、一般性がどれくらいあるかわからないけど、でもそう思います。とにかく贅肉がつくと身体の動きはそのぶん鈍くなります。身体の動きが鈍くなると頭の回転もやはり鈍くなってきます。ぼくが言うのは、小説家的な頭の動きということですが。もちろん贅肉がついても良い小説を書く人はいっぱいいますよ。ぼくが意味するのはもっと長期的なことです。長い歳月にわたってアクティブな小説家であり続けるには、ということです。
作家どうしだからこそ引き出せる言葉がある。
他にも「短篇」と「長篇」の位置づけや、「人称」問題など興味深い話がたっぷりのロングインタビューだった。

2009/05/25

東京の空は今日もただ青かった

◆なんか一週間ぶんまとめて更新ってサイクルになってますが。

◆火曜日、松江哲明監督『あんにょん由美香』試写@映画美学校。
時間に余裕があったので京橋をふらふらしてたら、築地市場時代のことを思い出してちょっと感傷的になる。長靴でこのへん走ってたよなー。そしたら横断歩道の真ん中で豊田道倫さんにばったり。「なーに暗い顔してんの」とつっこまれてあわあわしてしまった。

で、肝心の『あんにょん由美香』、想像以上の傑作です。感動というより唖然。関係者の方々になんて言っていいかわからず、だまって帰ってしまったよ。
語るべきことは多すぎて手に余り、でもそのすべてを語りつくしてみたいとも思う。ラストショットの場所も含め、映画をめぐる映画でもあった。

個人的な話を二つ。

映画に登場するある俳優さんへの、喫茶店でのインタビューシーン。なんの証拠もないのだけれど、見切れたところにぼくがいます。まったくの偶然。
撮影当時(けっこう前のことだ)、ぼくはある人とそこで話しこんでいて、その人の肩越しに松江監督とプロデューサーのナヲイさんが見えたのです。でも、カメラを回してたり、なんか取りこみ中っぽかったので軽く挨拶しただけだった。まったく気づかなかったけど、あれ、いま思うと『あんにょん由美香』だったんだなー。
ちなみにその数ヵ月後、ぼくが喫茶店で話していた人は、中野サンモール商店街で『童貞。をプロデュース』上映用インターミッション映像の撮影に参加し、主演を務めた、という不思議な話。

もひとつ。「キレなかった14才りたーんず」のロビーで岸井大輔さんとトークするにあたって、ぼくは資料として1997年当時の映画や演劇や音楽のチラシだのパンフレットだのを大量に持っていったんだけど、そのなかには当然のごとく『由美香』のパンフレットもあって、岸井さんと『由美香』についてもずいぶんと熱く語りあったのだった。
その『由美香』のパンフレットは、りたーんずの公演中、ずっとロビーの本棚に資料として置かれていた。

それにしても、松江哲明ですよ。
同じ年に『あんにょん由美香』と『ライブテープ』をものにするなんて、ちょっとすごすぎじゃねーか。

◆水曜日、前野健太が某雑誌の取材を受けているというので覗きにいったら、カメラマンがなんと梅川良満!
前野くんも現場で会ってびっくりしたという。このふたり、大橋裕之先生の監督映画『A・Y・A・K・A』で競演しているんですよね。
数奇な縁というか、世界は狭いというか。梅ちゃんに撮影頼んだ編集者もさすがに驚いていた。

◆エロ本や実話誌時代につくっていたDVDが大量に発掘されたので、金曜、土曜と二夜にわたって、近所の友だちを集めてウチで上映会。
これが自分で言うものなんですが、おもしろい! 床にはいつくばって笑ってしまった。まさかメシ食うための仕事で、こんなにすごい作品群をものにしていたとは自分でも気づいてなかったわ……気持ちわるいぐらいの自画自賛だけど。

◆日曜日、あだち麗三郎レコ発パーティ@三軒茶屋グレープフルーツムーンと、前野健太とDAVID BOWIEたちヒアホン出陣@渋谷O-nestがバッティング。あわわわ。悩みに悩んだ末に、三軒茶屋へ。
東京の空は今日もただ青かった。

レコ発、あだちくんのミュージシャンシップがぞんぶんに発揮された素晴らしいライブだった。ライブハウスのドアを開けた瞬間から、今日はいい夜になるぞって思ったもの。
Tenköさんの乾いた叙情、4 bonjour's partiesの軽やかさ、ついに見ることができたceroの豊饒なエキゾチカ・ロック、三輪二郎の前口上(またもやGLAD ALL OVER!)、そしてそれらすべてを包み込むようなあだち麗三郎のうた。グレープフルーツムーンに、さまざまなリズムや可能性や喜びや思いが共振していた。

あだち麗三郎という人についてはいくつかの場所に改めて書く予定でいます。

この日も大活躍だったMC.sirafu(from 片想い)と一緒に帰る。
MC.sirafu、ぼくと学年が一緒で、育った環境もかなり近いことが判明。同じ児童館に通っていたよ。児童館のことなんて20数年ぶりに思いだしたよ。

2009/05/22

迷子のねずみ

西宮灰鼠さんのライブ(ねずみソロ)映像をYouTubeでみつけた。





ねずみバンドまた観たいな。
ねずみバンドについては、以前『spotted701』にレビューを書かせてもらいました。
Tukiyaku_4ねずみバンド『月と約束
ハヤシライスレコードの佐藤くんがやっている「都会の迷子さん」というライブイベントがある。はじめて遊びにいったとき、いっとう最初にぼくの目の前にあらわれたのがねずみバンドだった。やつらの奏でる音にふれた瞬間、ぼくは都会で迷子になるということの意味をただしく了解した。それからはずっと迷いっぱなしだ。
だから、ねずみバンドについて知っていることはそれほどない。ボーカル・ギターの西宮灰鼠というおとこを中心とした四人組。ドラムとベースはおんなのひとだ。
できたてほやほやのミニアルバムをなんども聴いている。優しさと素直さと残酷さの同居する――つまりは、子どもみたいな音楽。やつらは迷子の天才なのさ。都会の迷子のねずみなのさ。今夜もまたやつらをさがしてしまう。
(九龍ジョー)
ちなみに、ねずみバンドは最近ベースの穂高亜希子さんが抜けて、かわりになんとファンタスタスの尾林星くんが加入したとのこと。

2009/05/20

キャノンボーラーとちんぽ

◆わおわお。前田司郎さんが三島賞受賞
前回の動物大集会で、怪談噺(しかもかなりくだらない)を披露してくれたり、チョロQがどうしたとか「タッチ」がどうしたとかで一緒にゲラゲラ笑ってたのが申し訳なくなるぐらいの快挙。
その時点ではオフレコだったんですが、じつはあの日の打ち上げのときに三島賞ノミネートの連絡が入ってきて、なんかもしかしたらって気はしてたんだ。ほんとうにおめでとうございます!!

というわけで、次の動物大集会も、マッスル坂井さんや松江監督の身にとんでもない栄光が降りかかる可能性大ですので(かなり無責任)、お楽しみに!

◆先週のことを駆け足で――。

◆月曜日、アスミックエースで是枝裕和監督『空気人形』の内覧試写。ペ・ドゥナがすごいことになってる。

夜、阿佐ヶ谷ロフトAで松江監督の「あなたと飲みたい」イベント。
山下敦弘監督をゲストに、なぜかソフト・オン・デマンドからリリースされる山下監督の新作『めちゃ怖』の一部を上映。おおいに笑う。
白石晃士監督の大傑作『オカルト』もそうだけど、水スペとか、矢追イズムとか最高だよね。
オイラも実話誌をガンガンやってたころ、「ヤクザも呪われるマル秘心霊スポット」とかでっちあげては、その筋の人と富士樹海とか行ったものです。『めちゃ怖』にも出てくる雄蛇ヶ池で、村田らむさんに派手な女物の水着を着せて泳いでもらったりしたもんなあ。

◆火曜日、「○○(←知らない苗字)飲み」と手帳に書いてあるのだけど、まったく記憶なし。○○さんという方と飲んだのかどうかすら……。

◆水曜日、いろいろあり、敬愛する先輩と朝まで飲み。いい話続出。

◆木曜日、土佐有明さんのトークイベントへ。「キレなかった14才りたーんず」から篠田、中屋敷、柴、神里と4人の演出家がゲスト。
やはりというか、途中でロビーの話になり、オイラもトークに混ぜてもらう(本来なら岸井さんが話すべきなんだろうけど、残念ながら欠席)。
神里くんがすごい。土佐さんもある意味すごい。あと、白神さんのロンドン中継が神懸かってた。

快快のメンバーにどっかいい公演場所ないかと聞かれて、とっておきのを教える。我ながら、実現しちゃったらすごい! と思う。

そしてこの日、大橋裕之先生の単行本『音楽と漫画』がついに発売。
古澤健監督がすてきなPVをつくってくれました!



◆金曜日、JUNRAY DANCE CHANG「アオイロ劇場」 @世田谷パブリックシアター。
康本雅子復活!! につきる。
オイラの席の前をカメラ片手にRyuちゃんが駆け抜けていった。終演後、会場出たところでバサラブックス店長Sくんの奥方にばったり。やはり康本さんを見にきたとのこと。

◆土曜日&日曜日、オオハシキャノンボール!!
あまりにも楽しすぎて、充実しすぎて、書く気力が……。スタンプラリー、コンプリートされた方が4名、3つ以上参加された方が8名と、それだけでもうやってよかったと思えるのです。
ご協力いただいた方々、遠くから応援してくださった方々、なにより参加してくださった方々、ほんとうにありがとうございました。

全イベントをコンプリートされた方の日記を発見。
ほんとうにありがたいことです。

◆土曜日、円盤イベントの前にみんなでChim↑Pom「捨てられたちんぽ展@ギャラリー・ヴァギナ(a.k.a. 無人島プロダクション)」に寄る。入り口に梅ちゃんこと梅川良満がいて、もう一人の梅ちゃんこと童貞2号・梅澤くんとのバッティングに笑う。梅ちゃん(梅川良満のほう)、Chim↑Pomの要請でオフィシャル写真を撮影したとのこと。中に入り、そのオフィシャルもくそもないちんぽっぷりにさらに笑う。

◆梅川良満といえばホームページがリニューアルしていい感じです。
ここで触れたマッスルの写真もしっかりアップされています(ジャケットのみだけど)。

康本雅子さんも、オオハシキャノンボール@円盤でお世話になった虹釜太郎さん(大橋先生の紙芝居にも登場!)も何度か梅ちゃんに撮ってもらったことがあって、やっぱりどれもすばらしい写真なんだ。あれもいつかちゃんと出せる日がくるといいなー(というか出せるようにしないとな)。

2009/05/15

クリエイターとウソとホント

日記にあわせて書こうと思っていたらいつまでたってもアップできないままなので、先に告知させてください。

来月の6月8日(月)に、プロレスラーのマッスル坂井さんとドキュメンタリー作家の松江哲明監督のイベントを阿佐ヶ谷ロフトAで開催します。ぜひとも気軽に遊びにいらしてください(といいつつ今回は予約されたほうが吉だと思います)。
動物大集会 vol.02
「クリエイターとウソとホント」

昨年10月、タワーレコード新宿店10周年記念イベントの一環として企画されながら、松江監督のご家族に不幸があり急遽マッスル坂井単独トークショウ(a.k.a.「クリエイターと音楽」)として開催されたスペシャルイベントが、装いを新たにリターンズ!
映画、AV、ドキュメンタリー、テレビバラエティなど近しいルーツを持ちながら、それぞれオリジナルな表現手段で突っ走るふたりのウソとホントにまみれる一夜。
トークあり、映像あり、サプライズあり(?)でお届けします!!

【日時】
2009年6月8日(月)
OPEN 18:30 / START 19:30

【場所】
阿佐ヶ谷ロフトA(03-5929-3445)
JR中央線阿佐谷駅パールセンター街徒歩2分

【出演】
マッスル坂井(プロレスラー)
松江哲明(ドキュメンタリー作家)


【司会】
九龍ジョー(ライター/編集者)

【料金】
前売¥1,500 / 当日¥2,000(飲食代別)
WEBもしくは電話(03-5929-3445)にて予約受付中!
上記にもあるように、この組み合わせ、前回実現しなかったこれのリターンズ企画となりますが、内容は一新してお届けするつもりです。

ちなみに、昨年のマッスル坂井単独トークショウ(a.k.a.「クリエイターと音楽」)がどんな感じに終わったのかは、ニコ動あたりで(消されてなければ)映像が見られると思いますので、心に余裕のある方はそれっぽい単語で検索などしてみてください。

明日、あさってはオオハシキャノンボール。もちろん全会場回る予定です。楽しみすぎる!!

2009/05/11

ロビーと羽衣とボレロ

◆先日、こまばアゴラ劇場のロビーでやった神里雄大さんと岸井大輔さんとのトーク中の写真がしのぶの演劇レビューにあがっていた。

期間中あのロビーにいた人たち、本棚、空気。もちろんどの作品もすばらしかったのは踏まえた上で、何年かたって「キレなかった14才りたーんず」のことを思い出すとしたら、あのロビーの感じだろうな。

彼らのオープニングパーティのときに「パーティロック」ってことを思って、あながち外れてもいなかったんだけど、でも「パーティ」に収まるだけのものでもなかった。
彼らは「公演」って概念や「暗転」みたいな装置をぜんぜんかったるいなんて思っていなかったし、むしろ、「公演」とか「暗転」に必死に取り組んでいた。
ただ、ひとつ言えるとすれば、「仲がよかった」。自分と異なる考えや価値観や身体に対する「寛容さ」を持っていた。
そのことは「グァラニー ~時間がいっぱい」や「すご、くない。」あたりからも濃厚に感じられたし、「アントン、猫、クリ」にいたっては、物語とまったく無関係な飛行機の音だとか、「人」という文字やコンタクトインプロ的な動きを利用しつつほとんど「物」として「他人」という役割を引き受ける人物まで登場させ、「私のメランコリーと関わりなく、世界はたしかに存在している」という状態をステージ上に描いてみせた。「少年A」に対する「少年B」だってそうだ。

「世界はけっして<私>の拡張ではない」という考え方は、「無関心」を遠ざけ、「寛容さ」を生み出す契機となる。
たとえば岸井さんをロビーに巻き込んだのだって、そうした「寛容さ」があってこそだったんじゃないかと思うのだ。

◆日曜日、FUKAIPRODUCE羽衣「朝霞と夕霞と夜のおやすみ」@こまばアゴラ劇場。
男女の恋愛や性愛を汗だくになって歌って踊って魅せるという、なんとも暑苦しい舞台。でも、こういうのってあがらいがたく、好きなんだよなあ。
歌も踊りもすごく上手いというわけではないんだけども、妙に印象に残るというか(本人たちは「妙ージカル」と呼んでいるらしい)。ゴキブリコンビナートの歌っていつも名曲ぞろいだと思うんですけど(いやホントに)、あれに近いものがあった。
ひたすら楽しく、観終わってなにも残さない芝居。ずばり大好物です。

大根仁さんのブログで、シルヴィ・ギエムの「ボレロ」の動画がYouTubeにあがっているのを知る。一度は封印したはずの「ボレロ」を、2月のベジャール追悼公演で解禁したときのやつ。



映像を観るだけでも熱いものが込みあげてくる。
05年、「最後のボレロ」を観たときの興奮がいまだに忘れられないでいる。

2009/05/10

オオハシキャノンボール

◆DVDにて童貞2号こと梅澤嘉朗監督作品『ライク・ア・ローリングストーン 独立宣言』鑑賞。
ようやく見られた。あのコとの距離がカーナビで可視化されるショット、車イスでギターを叩きつけるショット、素っ裸で許しを請うショットなど鮮烈なイメージが次々に襲ってくる快作。面白れええ。
監督によるモノローグとか、想いの強さだけで時空を超えたりする瞬間に、『ラ・ジュテ』を想起したりも(言いすぎか?)。

◆松竹試写室で映画『色即ぜねれいしょん』試写。
原作・みうらじゅん、監督・田口トモロヲ、脚本・向井康介、出演に渡辺大知(黒猫チェルシー)、峯田和伸(銀杏BOYZ)、岸田繁(くるり)、リリー・フランキーなど、でもって音楽が大友良英、という盤石すぎる布陣にかえって不安がなきにしもあらずだったのだけど、見事に痛快な青春映画だった。
やはりみうらじゅん原作、田口トモロヲ監督作『アイデン&ティティ』で主人公役を演じた峯田和伸が、ヒゲゴジラという兄貴的ポジションにスライドしているのも感慨深い。優しくかつどこか胡散臭さも残した演技がすばらしい。岸田繁もナチュラルなロック兄ちゃん風情で存在感たっぷり。そして渡辺大知の白い歯をキラッキラッさせた「リアル童貞」っぷり!! ハマッてたなあ。
もう、この作品でもって、「童貞映画は打ち止め」ってことでいいよね。

◆ルノアール兄弟先生のマッスルハウス8感想に、なるほど。
「時間不足やら何やらで想定していたよりタイトにテンポよくできなかったが故に、あのような重苦しいものになってしまったのではないか」。
たしかにオープニング映像に珍しくブロックノイズがちらちら入ってたり、前半、進行が一瞬フリーズする瞬間があったり、そういったなかで定まったテンポを掴むのが難しい空気になってたのも事実で。もし良質なグルーヴをキープした状態でエンディングに突入していたら、たとえ同じスキットでも、よりエンタテインメント性の強いものとして結実していたのかもしれない。

といったことも話すかどうかは定かではないけど、6月8日(月)に阿佐ヶ谷ロフトAで、マッスル坂井さんと松江哲明監督をお迎えしてトークイベントを開催する予定です。詳細は近日中に!

Ongakuto1_2◆その前にこちらのイベントの告知を。
梅澤くんの『ライク・ア・ローリングストーン 独立宣言』をミニコミ『SPOTTED701』にて映画完成に先駆け漫画化していたことでも知られる、西東京の誇るDIY漫画家、大橋裕之先生のメジャー初単行本『音楽と漫画』が5月14日ついに発売となります!
でもって発売を記念して、5月16日(土)と17日(日)の2日間に渡るとんでもないイベントも開催されます!

大橋裕之初単行本『音楽と漫画』発売記念!!
「オオハシキャノンボール2009」(5.16-17)

<開催概要>
ミニマルかつローファイな線で若者の繊細な機微から宇宙の摩訶不思議まで描き出し、いまや映画界、音楽界からも熱い注目を浴びているインディーズ漫画家・大橋裕之。
このたび彼の初メジャー単行本『音楽と漫画』(5月14日発売/太田出版)がついに発売されるのを記念し、5月16日~17日の2日間にわたりスペシャルイベントを開催します!
「走るロック漫画家」との異名も持つ大橋裕之が、お茶の水~高円寺~吉祥寺~中野と各地でイベントを開催しながら、中央線や自転車、徒歩などを駆使して走り抜ける驚異の2日間!
参加者の皆様には各地でのサインはもちろんのこと、スタンプラリーを実施し、3ヵ所以上参加の方には景品もご用意しております。ぜひともふるってご参加ください!!

<スケジュール>
■5月16日(土)■■■■
●14:00~
「大橋裕之とディスクユニオン」(トーク+ライブ)
ディスクユニオン お茶の水駅前店(お茶の水)
ゲスト:前野健太
料金:無料
大橋裕之の盟友ともいえるミュージシャン・前野健太さんがゲストで参加。
トークと前野健太ライブの2本立てでお送りします。

●19:00~
「大橋裕之と円盤」(紙芝居ベスト)
円盤(高円寺)
料金:1000円(カレー付)
「円盤カレー道場」イベントを開催中の円盤におじゃまさせてもらい、紙芝居を披露。
これまで様々なイベントで、毎回新しい紙芝居を披露してきた大橋裕之ですが、この日は過去の作品より選りすぐった名作・珍作揃いの「大橋裕之紙芝居ベスト」をお送りします。
なお、「円盤カレー道場」で出品されるカレーも召し上がることができます。

■5月17日(日)■■■■
●15:00~
「大橋裕之とBASARA BOOKS」(上映+トーク)
武蔵野公会堂 第4会議室(吉祥寺)
http://www.musashino-culture.or.jp/koukaido/access.html
ゲスト:左近洋一郎(ルノアール兄弟)、渡辺ペコ
料金:700円
大橋裕之が監督・脚本を務め、ミュージシャン・前野健太や漫画家「ルノアール兄弟」の原作担当・左近洋一郎などが出演、吉祥寺バサラブックスを舞台に音楽と古本と恋に翻弄されていく若者たちを描いて話題となった自主映画『A・Y・A・K・A』(30分/2008年)を上映。
出演者である左近さんと、漫画家の渡辺ペコさんをお迎えしたトークもお届けします。

●18:00~
「大橋裕之とタコシェ」(似顔絵描き)
タコシェ(中野)
料金:無料
イベントファイナルは大橋裕之の似顔絵屋。来場されたみなさん一人一人の似顔絵を描きます。
先祖や孫、未来の伴侶などのリクエストも可能!!

※各イベントではサイン会も実施します。『音楽と漫画』をお持ちの方、もしくは会場で『音楽と漫画』を購入された方にその場でサインもお入れいたします。
※5月16日のイベントでスタンプラリー用のシートをお配りします。各イベント先でスタンプを押し、3ヵ所以上たまった方には景品を差し上げます。またそれに加えて、4ヵ所すべてに参加された方にはさらなる豪華景品もご用意いたしておりますので、どしどしご参加ください!

さらに、すでにハヤシライス佐藤くんがちょこっと触れてますが、7月20日(月・祝)に「大橋裕之ロックフェスティバル」も開催予定です。
これはちょっとすごいです。なにがどうすごいかについては順次発表されると思いますのでお楽しみに!

Hearphone◆ハヤシライスといえば、ずいぶん経ってしまったけど佐々木敦さんの新雑誌『ヒアホン』に「前野健太とハヤシライスレコード」という記事があって、佐々木さんが、今年初めの「健祭り」で初めて前野健太と遭遇した瞬間が美しくドキュメントされている。
その記事はこんなふうに締めくくられていて、ぼくもまったく同感なのだった。
前野健太の唄やハヤシライスのリリースを聴いていると、ニッポンの音楽もまだまだ全然捨てたもんじゃないよな、と素直に思える。それは今の僕にとっては、他の何にも換え難いほど価値のある、希望の感覚なのだ。
パンダ・ベアことノア・レノックスの見た風景を幻視する福田さんの記事、「アニマル・コレクティヴ物語」も面白かった。彼らがどこからやって来たのかを、耳元でささやく内緒話のような。

『スウィート・ドリームス』の第3号ももうすぐみたいで、楽しみです。

2009/05/07

プロレスキャノンボール

連休終わるな。あっという間。

◆2日、行きつけの飲み屋で誘ってもらい、地元の市民センターグランドでフットサル。2年ぶりぐらいか。
男女混合の15人、ほぼ同世代。チーム分けもプレイスタイルもみな大人力に溢れて心地よい……はずだったんだけど、最初の5分ぐらいで体力ゲージを使いはたし、残りの時間はだましだまし。運動不足やばいなあ。
打ち上げの酒が旨い。ついウトウトしてしまう。
ご近所さんたちと家路を歩いていたら、Kくんから電話。
清志郎死んじゃったって。

Rcきみがぼくを知ってる。ぼくらは薄着で笑っちゃう。一番ヴィヴィッドだったのは『GLAD ALL OVER』。ゴキゲンてのを覚えて。『十年ゴム消し』。30周年記念ライブ@武道館でチャボが「いい事ばかりはありゃしない」を歌ったあとに清志郎を呼び込む。日本が生んだ偉大なるソウルメン! フロム中央線、国立! 三輪二郎がMCやるときよく真似てて、ついこないだもあだち麗三郎をあの口上で呼び込んでた。
「日本が生んだ偉大なソウルメン! 日本が生んだ偉大なソングライター! Keep On Rock’n Roll! 最高のヴォーカリスト! フロム中央線! 国立! 忌野! Sweet Soul! 清志郎!」
ずっと熱心に聴いていたわけではないのに、いなくなってこんなに寂しいひともそうはいない。

◆3日、シティボーイズミックスPRESENTS「そこで黄金のキッス」@新国立劇場・中劇場。
グループ結成30年、シティボーイズ・ライブを始めて20年という節目にもかかわらず、メモリアル的な要素は一切なし。ただひたすらにナンセンス。「思想のない芝居よりも、粗相のないコントを」(斉木しげる)キープしつつづける姿勢にシビれる。
しかしきたろうさんはホント自由だなあ。

◆4日、打ち合わせ&撮影仕事を終え、後楽園ホールへ。「マッスル・ハウス8」観戦。
詳細はこちらにて。

いよいよくるところまできたなーと。「これからのマッスルはどうするべきか」をお客さんにその場で投票させた上に、最後はリング上のレスラーと観客がカラーボールを投げ合っちゃうのだ。絵に描いたよな「迷走」というか。
でも、それすら面白く思えてしまうのはなんなのだろう。自分の見方がかなり偏っているのは重々承知の上で、だってあんな光景見たことないよ。「14歳の国」どころの騒ぎじゃないよ。
作家主義の作品として見てしまっている以上、なにが起きても、一段階引いたところで創作をめぐるドキュメンタリーとして興味深く見ることができてしまう。
プロレスとパチンコのかかわりに、単なる暇つぶしや、スポンサード以上の妙味を見いだしてしまう。

それがエンタテインメントとしてよいのかわるいのかはわからない。高木さんの書いていることももっともだと思うし。
ただ、これでいよいよマッスルから目を離せなくなってしまった。これからどうなってしまうんだろう。まったく残酷なファンだよ。

Mcannonball会場でDVD『プロレスキャノンボール2009』を購入。元ネタそっくりの裏ジャケ(→)にニヤニヤしてたら、オープニング映像までもろパクリ。
おまけに内容の面白さ、感動ポイントまで肉迫してるという、すばらしき作品なのであった。
ディーノの両国への決意、平日昼の大阪プロレスのいなたさ、メイドのアリスちゃんのかわゆさをはじめ、全編にわたって堪能。

◆5日、アゴラ劇場のロビーで、岸井大輔さんと、『グァラニー ~時間がいっぱい』の最終公演を終えた神里雄大くんと話す。
『グァラニー ~時間がいっぱい』のことや神里くん自身について丁寧に聞こうと思っていて、実際にそうした。岸井さんも同じ気持ちだったんじゃないかと思う。
とても楽しく、最後はちょっとせつなくなってしまった。
岡崎藝術座の今後の作品がとても楽しみ。

そういえば岡崎藝術座の過去公演には、マッスルやDDTのリングで大活躍しているアントーニオ本多選手が何回か出てて、その関係で、今回の初日も本多選手が観にきてたらしい。ニアミスしてました。

2009/05/02

「思い出す」を思い知る

風邪がなかなか抜けなくて(豚インフルエンザぢゃないよ)夜うーうーうなったりしながら、ドラクエ5をようやくクリア。解放治療の夜。こりゃ9が待ち遠しいやら、気が重いやら複雑だわ。

◆火曜日、「すご、くない。」(振付・構成・演出:白神ももこ、「キレなかった14才りたーんず」参加作品)@こまばアゴラ劇場。
ダンサーたちの踊れなさかげんや、それぞれの身体のちょっとおかしな部分や過剰な部分を、とってもファニーに変換して見せるマジカルなステージ。すばらしかった。
その手つきや「あったかい」感じは、意外にも先日のジャンさんイベントに通じるものがあった。というか、ジャンさんの面白さは「すご、くない」なんだよ。だから、「すご、くない」を面白いと思うひとはジャン相見という芸人の旨みをすぐ味わえるだろうし(なかなか難しいことですよそれは)、その逆もしかり。

これで「キレなかった14才りたーんず」ついに6作品ぜんぶを観たことに。興行としてもちょうど中日にあたるらしく、ポストパフォーマンストークは演出家6人そろっての中間総括モード。
「14才の国」ではついに拍手が起きなかった回があったらしい。いい話だ。神聖喜劇。だんだん山崎皓司が東堂太郎に見えてきたよ――この戦争は負ける。そして一兵士として、「私は、この戦争に死すべきである」。
ずっとなにかに似ていると思ったら、プロレスの試合中に写真をとっているあれ(左上の矢印でいろいろ入れ替えられる)だった。あれも、観客の反応はかなり薄かったという。
杉原版「14才の国」や、マッスルのもたらすある種の「しらじらしさ」は、けっしてぼくらに陶酔することを許さない。ひたすら覚醒をうながすのみである。

そういえば「すご、くない」ではゆらゆら帝国が効果的に使われてて、やはり陶酔を許してくれないのだった。覚醒をうながすロックンロール。いや陶酔しながら、同時に覚醒もしているような。能動的に受動的。ソフトに死んでいる、ファニーなゾンビたち。

りたーんずについては、改めて5月5日に「マクアイマッタリロビーキカク」の一環で、岸井大輔さんと神里雄大さんとおしゃべりをする予定です。17時30分頃からの予定です。よかったらのぞいてみてください。

◆水曜日、「風のうたが聴こえるかい? vol.4」@四谷区民センター10F音楽室。
りたーんずの連中ともほぼ同世代であるあだち麗三郎くん(83年生まれ)の企画ライブ。出演は鳩山浩二、真っ黒毛ぼっくす、あだち麗三郎。

とにかく四谷区民センターの音楽室ってのがやばい。まずはRyuちゃんの写真を見たってください。東京の演奏のバックに東京の夜景。なんだこの奇跡的なシチュエーションは。どあたまからワインでしこたま酔ってしまう。

鳩山浩二。前から観たかったいかしたブルースマン。「鳩山ブギ」「鳩山トレイン」って楽しすぎるよ。名前だけは覚えて帰ってね。でも「くらげ」ってバラードなんていつFMラジオから流れてきてもおかしくない名曲。あだちくん(ドラム)やMC.sirafu(ピアニカ)のサポートも心地よし。

真黒毛ぼっくす。大好きな、いわゆる「大気」を感じるバンド。それほど広くない音楽室なもので、バンドの空気のなかに抱かれて震えたなあ。サポートギタリストに三輪二郎。大槻さんの歌う「出不精のバラッド」がパブロック風でかっこよかった。

あだち麗三郎。夜の東京に流れ出ていくうたはとてもたいせつな呪文のようで、あだちくんは魔法使いなんじゃないかと思う、と書いたそばからでもいたって自然だしねえと。不思議なひとだ。素敵な音楽をありがとう。

とてもいい夜だった。前から言われてたんだけど、この日も会うひと、会うひとがMC.sirafuも参加する「片想い」というバンドを観ろと言う。「九龍さんはぜったい好きなはずだから」と。

YouTubeでちょっと見てみる。



たしかにこれはやばい!(ヨ・ラ・テンゴみたいなダンスも!)

◆金曜日、小田島等×タナカカツキ×佐藤直樹トーク「ビバ!1980年代のポップ・イラストレーション!!」@青山ブックセンター本店。
Pop1980小田島等さんと佐藤直樹さんと前田和彦くんの労作『1980年代のポップ・イラストレーション』(これホントすばらしい本!)の刊行記念イベント。
小田島さんやカツキさんが80年代のポップ・イラストからどう影響を受けたかという時代性の話も興味深いんだけど、鈴木英人や空山基みたいな、強烈に時代を感じさせるのに、むしろイキきってるがゆえにいまだ現役感のあるひとたちの話がまた面白い。

で、まったく忘れてたんだけど、昔、ちょっと働いていた編プロの仕事で、月に一度、逗子の鈴木英人さんの仕事場に通っていたことがあったのだった。英人ファンクラブの会員用特典映像の撮影。英人さんが僕のDVカメラの前で自らの半生を語るっていう。
いやー忘れてたわー。思い出したなあ。久々に「思い出す」ってことを思い知ったよ。

2009/04/27

なのにニルヴァーナの登場で

数年ぶりに高熱をともなう風邪、にくわえて布団で安静をいいことにDSでドラクエ5をはじめてしまい万事泥沼化。地獄の黙示録。ノドいてえ。ドラクエすげえ。5とくにすげえ(6と7は未プレイだが)。ようやく魔界への扉が開いたところ。

先週は「キレなかった14才」でこまばアゴラ劇場に通いながらライブや映画など。

Maeno0420◆月曜日、前野健太ソロ「ギターと歌う vol.08」@無力無善寺。
まだ『さみしいだけ』が出る前のこと、やはり無善寺でのソロライブのときにビデオ撮影を頼まれたことがあった。ちょうどそのライブでは『さみしいだけ』に収録される曲の多くが新曲として披露されたのだけど、それがあまりにも名曲揃いだったので、ビデオからこっそり音源だけ吸い出し、マイブートレッグとして愛聴していた。
今回もまた、新曲がすばらしすぎる。ガットギターの優しい音色で生みなおされた曲たちにもうっとり。

狭いフロアに思わぬひとを発見。聞けば、ここ一ヵ月くらい前野健太のおっかけ状態だとか。前野健太ということでなしに、こういうひとは信用できる。大事なのは淫すること。

◆水曜日、「アントン、猫、クリ」(作・演出:篠田千明、「キレなかった14才りたーんず」参加作品)@こまばアゴラ劇場。
俳優の動き、発話、映像、音楽も含めて見事なエディット術。ノンリニアというか、タイムラインをレイヤーとして可視化する感覚はいまっぽいといえばいまっぽいのだけど、それを舞台というライブの場でやろうとするのがすごい。しかも刻み方が短い。

ちょうど月曜のマエケンライブの打ち上げのときに、松江哲明監督が若い子に、むかし僕に「松江さんはテンポが短すぎる」って言われたけど、それからしばらくして僕が「あれは間違ってた。あの短いテンポにはなにかあると思う」ってわざわざ謝ってきたっていう笑い話をしてたんだけど、ちょうどあの松江哲明の刻み方に通じるものを感じた。
この日記でもこんなことを書いている。
なお松江さん本人の編集について、ぼくはインタビューのなかで「セックスのダイジェストに見えてしまう」なんて失礼なことを言ってしまってて、これはホントに浅はかな発言だったと後悔している。「ドキュメンタリーは嘘をつく」で思い知らされたんだけど、松江さんの同ポジを多用した短いテンポのつなぎは、もう独特というか、これについてはもう少しゆっくり考えてみたいんだけど、とにかくかつてのバクシーシ山下の「雑さ」がそうであったように、松江さんのあのテンポもなんらかのぼくたちの潜在的な感性を反映しているように思えてならない。おそらくこちらもそれを説明するための新しい言葉、文体を発明しなければならないような。
もちろんこれらの技術は密接にテーマとも絡み合う。
快快だったら、たとえ同じようなテンポでも、「一瞬だけの輝き」というか、「いましかない」という刹那さ(切なさ)が前面に出てくるところが、篠田ソロだと(もしくは今回のような企画だと)あくまで文体の問題になっているのも面白かった。

◆木曜日、昼に時間がぽこっとできたので、新宿バルト9で映画『ミルク』。



必殺のスローモーションとかきっちりガス・ヴァン・サント映画なんだけど、観おわるともう、ショーン・ペン!のことしか頭にないよ。

駒場に移動し、「学芸会レーベル」(作・演出:中屋敷法仁、「キレなかった14才りたーんず」参加作品)@こまばアゴラ劇場。
まだ3本目なのに思ってしまう。みんな作風がちがいすぎて面白い!

しかしこれはすごかった。幼稚園を舞台にした先生と生徒による学芸会風(あるいはドラゴンボール風)バトル芝居のなかで、先生と生徒が「学芸会」を開催すると(つまりもともと学芸会レベルなのに、さらに劇中劇として「学芸会」を開催すると)、舞台上にカオスがおとずれる――という、文章で書いただけではなにがなんだかよくわからないハイテンション演劇。「ジャンプ」と「にこにこぷん」への憧憬たっぷり。
ペラいはペラいんだけど、野鳩みたいなクールなペラさではなく、熱量ぎっしりなので、紙に熱で燃える燃える。

◆金曜日、「14歳の国」(演出:杉原邦生、「キレなかった14才りたーんず」参加作品)@こまばアゴラ劇場。
やられた! 立川談志師匠いうところの「やりやァがった」出来。自分はやっぱりこういうものが好きでたまらないんだなあと再確認してしまった。

ライブで体感しないと意味のないなにか。
壮大な空振り。思わぬ空振り。人生を思わせるような。
まだやってるのでネタバレしないでおきます。
戯曲を使われた宮沢章夫さんにもぜったい観てほしいなあ。

夜、松竹試写室で映画『ザ・レスラー』試写。



偶然にもアカデミー賞・主演男優賞つながり(この話も、ショーン・ペン!の受賞スピーチも最高)。
町山さんの2008年ベストワン映画ということで期待して観たら、言わずもがなの傑作でした。『ビヨンド・ザ・マット』(あるいは『レスリング・ウィズ・シャドウズ』)ミーツ『ロッキー』。だけどラストの選択がちょっと違うというか。泣けたなあ。スプリングスティーンの主題歌がいいんだまた。

◆土曜日、「グァラニー ~時間がいっぱい」(作・演出:神里雄大、「キレなかった14才りたーんず」参加作品)@こまばアゴラ劇場。
町田の喫茶店でパラグアイでの日々を回想するオレにふりかかるいくつもの時間。次第にあきらかになっていくルーツ。甘美と辛酸。おそらく6作品中もっとも私小説性の高い作品。

一見するととらえどころのない演出の多様性が、時間感覚や文化の多様性に折り重なっていく。この作業を「スムーズ」に処理したほうがいいのか、「ぎこちなさ」を残したほうがいいのかはかなり考えどころだったと思う。

フリルのひだが効いていた。あの時間にいつまでも浸っていたいと思った。

2009/04/20

キレなかった14才

あまりにも濃密だった(「男の星座」的クライマックスが3回ぐらいあった)3月をすっ飛ばして、4月前半の備忘録。

◆4月1日、ジャン相見生誕40周年祭「ジャンさん、アラフォーって言葉があってよかったね」@阿佐ヶ谷ロフトA。
よく考えたらアラフォーって言葉の使い方間違えてるんだけど、でもよかった。フタを開けてみれば、笑いとブルース満載のすばらしきイベント。
ジャンさん芸人なのにお客さんに背中向けちゃうし、振ってもしゃべらないし、過去の恥ずかし映像流したらホントに恥ずかしがって映像止めようとするし……でもジャンさんのうれしそうな顔だけでオールオッケーだもんな。
ケツに別の仕事が入っていた猫ひろしさんから「あまりにも楽しかったので去りがたかったです」とのメール。それからバースデイソングのギターまで弾いてくれた豊田道倫さんのこの日記もうれしかった。豊田さんも書いてくれているけど、ジャン相見人生読本『ジャン狂(グル)ブック』、これぞミニコミという最高の出来なので、ぜひともみなさんも手にとって読んでみてください(どうやったら手に入るのかわからないけど、たぶん吉祥寺バサラブックスなどに問い合わせてもらえればなんとかなるのでは……)。
あとジャンさんのブログ、地味に面白いですよ。

◆4月4日、井の頭公園で花見。
10人が20人になり、20人が40人になりと吸収・合併をくりかえし、別働隊でこの日プレオープンの酒場de DABADA(祝・風呂ロック再開!)を急襲したり、なぜか弁天湯の湯船につかったりしながら、最終的にカラオケルームで撃沈。
山下敦弘監督の「リンダリンダ」がレアすぎた。

◆4月5日、夕方から「キレなかった14才りたーんず」ワークインプログレス@急な坂スタジオ。横浜・日ノ出町なつかしー(学生時代うろちょろした町なのです)。
杉原くんと中屋敷くんのしか観れなかったけど、それでもこの企画のエッセンスを味わうに足る2時間だった。
会場で会った岸井大輔さんも指摘してたけど、俳優も含めて、ホントみんな仲がよい。作家間のコミュニケーションも密。

お誘い電話で下北沢に移動して、ナヲイさんや、あだち麗三郎くんや、ライブ終わりのcero(また見逃した!)周りのみんなと北沢川緑道で夜桜花見。こっちゃんがつくっているコンピが楽しみ。何度でも書くけど、東京の演奏2があってホントによかったと思う。オレが。そして、たぶん演劇にもこっちゃんみたいなひとがいて、そういうひとに会いたいといつも願っている。

◆4月7日、動物大集会 vol.01「前田司郎さんとだらだら飲もう!」@阿佐ヶ谷ロフト。
いやー楽しかった。自分で言っちゃそれまでですが。盛況だったし、よかったー。
四方山話→伊藤亜紗さんを迎えてまじめな話→休憩→怪談→石川直樹さんを迎えて冒険&生活アドベンチャーな話(エベレスト登頂映像つき)→神里雄大さんを迎えて五反田団以降の演劇チラシのちょっといい話。
といった構成でお届けしました。
予想したとおり、前田さんと石川さんのスウィングっぷりがすさまじく、前田さんが気軽にふったフリ、「おれたちチョロQ世代ですよねー」 で発覚した、石川直樹さんの「世界7大陸最高峰登頂最小年記録(当時)」にならぶ偉業――「日本チョロQ大会第3位」が発覚した瞬間が最高でした。笑ったなあ。打ち上げも楽しかった。
以前より面識はありつつもちゃんと話したことのなかった、大好きな雑誌の編集長と朝まで飲めたのもうれしかった(さすがというか、ああいうひとは最後まで帰らないんだホントに)。

◆4月9日、庭劇団ペニノ「苛々する大人の絵本」@はこぶね。
ペニノ最高。大好き! ずっと前に日記でこんなことを書いて、その後、タニノさんとも何度か話す機会があって、ますます好きになってしまった。
日常(とくにテレビ)で絶対にさせちゃいけない音としての「クチュクチュ音」の使い方が、マッコイ斉藤を思わせたり。そういう意味で案外Chim↑Pomなんかとも近いのかもしれない。

◆4月10日、ニンテンドーDSを衝動買い。
ゲームに対してあいかわらず免疫なさすぎ。ここから数日間、ゲームに狂う(タイトルは秘密)。
おすすめゲームがあったら教えてください。

◆4月15日、松野大介×吉田豪トークショー@新宿ロフトプラスワン。
このイベントには浅からぬ関わりがあって、そのことについてはミクシィに書いたので、読みたいという奇特な方がおられましたらこれを機にマイミク申請をしていただけると幸いです。五反田団コミュの管理人をやってるのですぐ見つかると思いますので。
それにしても、在りし日の「民夫くんと文夫くん」を彷彿とさせる吉田豪×高田文夫のマシンガントークがすごかった。撃たれた!

◆4月17日、徹夜仕事明けで朝方仮眠。松江哲明監督から絶妙なタイミングでうれしい電話。よっしゃー!
なぜ絶妙かというと、こまばアゴラ劇場のロビーでちょうどそれに関わる話をしようと思ってたから。

というわけで、劇作家の岸井大輔さんと14時から19時まで5時間トーク。「キレなかった14才りたーんず」のスピンオフ企画というかなんというか。
出がけに、97年当時の資料(演劇のチラシや、本、雑誌、自分のノートなど)を適当に引っ張り出して持っていったところ、自分でもまったく忘れていた記憶がよみがえるよみがえる。話はあちらへこちらへと飛びながら、バシッバシッとある<星座=状況>をかたちづくり、思いもがけず充実した時間を過ごさせていただく。
岸井さんのレポートはこちら
かなり面白い展開になったので、ゴールデンウィーク中にもう一回岸井さんとトークする予定です。こんどはちゃんと告知させていただくようにします。

◆4月18日、「少年B」(作・演出:柴幸男、「キレなかった14才りたーんず」参加作品)@こまばアゴラ劇場。
「キレなかった14才りたーんず」という企画名について、そのもととなっている「キレる14才」という言葉や、当時の風景について彼や彼女らがどのぐらいこだわりがあるのかについては正直わからない(この言葉について6人の足並みもそろっているわけではないだろうし、個人としてステイトメントが出されているわけでもないので)が、それでもつけてしまった以上、行きがかり上、自分にとってのなんらかのリアリティを提出せざるをえないというのは作家にとってはわりと残酷なことで、だからこそ一観客として面白いと思った。
と、同時に、意外にも自分にとって「キレなかった14才」という言葉に看過できないものがあって。それは前にスロウライダーの芝居のときに書いたが、ちょうどあの事件が起こった頃、オレは児童相談所の一時保護所で夜間指導員というものをやっていて、14才だった彼や彼女たちと遊んでいたから(このことはちょろっといま売ってるクイックジャパンにも書いたので立ち読みでもしてもらえたら幸いです。6人の演出家たちからの招待状も載ってます)。

「少年B」はどストレートに彼や彼女らのことを思い出させてくれた。だってオレ、名前は思い出せないけど、GLAYとかで飽き足らなくなった男の子に、ブランキーとブルーハーツをそれぞれテープのA面、B面にダビングしてあげたもん。赤いタンバリン。
中学男子の妄想シーンは身につまされるものがあった。わが身をふりかえってみれば10代終わりぐらいから脱皮した記憶がほとんどなかったり。リアル14才(こないだ15才になったらしい)井上みなみさんの「気になるあの子」っぷりに胸がきゅんとして、はっとしたり。アホみたいな感想しか出てこないけど、それぐらいにすがすがしい作品。
まず1本目。ここからスタート。参加作品はすべて観るつもり。