2008/07/17

絶賛Crawl中・7月前半

◆1日、地下大学東京――秋葉原で起きたこと@明治大学。
とにかく大澤信亮さんがなにを話すか聞きたかった。『ロスジェネ』に掲載された小説「左翼のどこが間違っているか?」。2ちゃんねるでひたすら論敵を叩き続ける男の話。この書評でも書いたとおり、すごみを感じさせるほどの腰の重さがあったから。
余談だけど、以前『デメキング』復刊に際して、ぼくもこんなことを書いていた。「静岡の自動車工場で働いていたK」って。べつに大澤さんの小説も、ぼくの駄文も、預言めいているのがすごいというのではない。まぎれもなくそういう気分は充満しているのだ、という状況を再確認するだけのことだ。そして、『生きさせろ!』も『フリーターズ・フリー』も加藤にはまったく届いていなかったことも。
背骨となる理論が必要だということを大澤さんは話した。いろいろ言われもするだろうが、やはりその通りだと思う。

Withotogi◆2日、「前野健太とおとぎ話」を渋谷O-nestで。初めてナマで見た「withおとぎ話」。想像した以上に音がぶつかっていて激しかった。ルーズだった。ポップだった。かっこよかった。サッドソングをイントロしかやらないのが憎い。
ナヲイさんのミニコミ『SPOTTED701』で前野くんについて書かせてもらったので、それを読んでもらう(というか読まれる)。ラブレターのような内容なのでちょっと恥ずかしいね。

◆5日、米光さんの文章力トレーニング講座@池袋コミュニティカレッジにおじゃまさせていただく。
課題がおもしろかった。「『表現NOW』というタイトルの雑誌が創刊される。そこに『自分のやってきたことと、表現』に関することなら何でもいいので、(ひとまず)3回の連載をお願いできないか。という設定で、1回ぶんの文字数は13w×48L(13文字、48行)で、3回ぶんの原稿を書く」というもの。「バイトの引き継ぎノート」について書かれた方がいて、その着眼点に唸った。たしかにバイトの引き継ぎノートは味わい深いよー。
米光さんとは4年ぐらい前にあるエロ本の現場で出会って、そのときの米光さんの肩書きが「こっくりさん研究家」。「こっくりさん」で飯が食えてるのだろうかと本気で思っていたら、あとでじつはすごいレジェンドだと知ったのでした。

◆7日、日本ロックフェスティバル最終日@無力無善寺。
スカイブルー100、白くて黒くてまあるいの、壊れかけのテープレコーダーズ、三輪二郎といまから山のぼり、前野健太、俺はこんなもんじゃない、ミッシング箱庭を観る。みんなすばらしかったと言い切ってしまいたい。ついに東京の演奏のこっちゃんに会うことができた。いまここに、これほどすてきなブログがあることに感謝。

◆9日、ミクニヤナイハラプロジェクト「五人姉妹」準備公演@こばまアゴラ劇場。
ミクニヤナイハラプロジェクトにおける矢内原さんの演出方針は最初の「3年2組」からして一貫してると思うんだけど、音楽的だった「青ノ鳥」を通過した今作は、さらにすべての要素が深化。よりデタラメに、奔放に、キャラまで立たせ、一瞬一瞬を生きる。すげーぜ。後半、いったいどこまでいってしまうんだろうかとハラハラした。これでまだ準備公演。

◆10日、ルノアール兄弟の単行本発売&連載決定祝賀会的な催し。めでたし。
局所的にジャン風(ジャン相見がいけてる状態)が吹く。ジャンさんとポッドキャストをやろうと思っている(書いておかないといつまでたってもやらないので)。

Spotted06◆11日、SPOTTED701,A-LIVE!@阿佐ヶ谷ロフトA。ナヲイさんのイベント。
前野健太とビトさんの前口上を仰せつかる。前野くんに、「メッセージ」って曲をぜったいに松江哲明監督が気に入るからといってムリに演ってもらったら、案の定、松江さんが気に入ってくれて、今後のおもしろい展開につながっていきそうな気配。ビトさんは大学の先輩で、10年前はよく部室で将棋の相手をさせられてたりしていたのだけど、ぼくのプライベートでいろいろあってここ3年ぐらいご無沙汰してしまっていたら、まんまとその核心を舞台上でバラされてしまった……。でも、それにしても久しぶりにビトさんとゆっくり話せてうれしかったな。
イベントはゆるゆるあり、レア映像あり、ぐっとくる演奏ありと充実の内容でしたが、一番心に残ったのは古澤健監督のすばらしきデタラメっぷりだった。こんど一緒に666を観に行こうと約束した。

◆12日、バサラブックスというかバイトのKくん主催・奇跡の飲み会@井の頭公園。昼12時から夜10時すぎまでブルーシートでだらだら飲むという、モラトリアムな大学生にしか思いつかない企画。
ぼくが行った夕方18時頃には15~6人で飲んでいた。その後、20時ぐらいをピークに人を増やしていき、申し訳程度に乾杯したり、スイカ割りをしたり。久しぶりの人にも会えて楽しかった。
ジャンさんが「紅白、ジェロは白組でいいんだろうか?」ということをずっと気にかけていた。

◆13日、ハメ撮りの夜明けとセックスと嘘とビデオテープとウソ@阿佐ヶ谷ロフトA。松江哲明監督のイベント。
何年かぶりに観る「ハメ撮りの夜明け」はとにかく懐かしかった。「ガイアの夜明け」を元ネタに、HMJMの設立と、松江監督自身のハメ撮りデビューへの軌跡を重ねたドキュメンタリー。それから数ヵ月後にこのインタビューがあった。
「セックスと嘘とビデオテープとウソ」、ガンダーラのときは予感だけがあったが、これはとてつもない傑作だと再確認。「私小説」と「ビデオカメラ」について考える時間をとりたい。社会学的な「私」よりも、自然主義的な「私」に圧倒的に惹かれてしまう。「セックスと嘘とビデオテープとウソ」と「左翼のどこが間違っているか?」をつなぐ回路を、言葉を、手にしたい。
トーク後半、当初のゲストだった若杉公徳さんに加え、花沢健吾さん、渡辺ペコさん、大橋裕之さんという豪華漫画家先生陣に混じり、司会として壇上に上げていただく。ペコさんの真摯な意見表明がよかった。若杉さん、花沢さんのエンターテイナーっぷりも見事。大橋くん、映画の話むちゃぶりしてすみませんでした。

◆15日、関西出張。うめだ花月での吉本の芸人さんたちへの取材の合間をぬって釜ヶ崎(梅田からたった20分だった)へ。生田武志さんと再会。
ちょうどまだ秋葉原無差別殺人事件が騒がれていた6月13日から4日間にわたり、釜ヶ崎で警察への抗議行動に端を発する日雇労働者たちによる暴動が起こっていたのだけど、東京ではほとんど報道がなされなかった。一部の新聞報道や、生田さんのウェブ日記、それからここで見られるような写真からしても、相当なことが起こっているはずなのに――。
というわけで、生田さんにレポート原稿をお願いするのが目的だったのだが、それ以前に、生田さんに案内してもらい初めて目にする釜ヶ崎の光景に圧倒されてしまった。学生の頃、寿町の夜間パトロールや、新宿のダンボールハウスの越冬支援に関わったことがあったが、釜ヶ崎は野宿者の人数、密集度、乾ききった空気、すべてが言葉を失うくらい(実際、現地でほとんどなにも言えなかった)壮絶で。暴動から一ヵ月が経ち、町はすでに沈静化していたが、その静けさがまた不穏だった。この風景を無視して、国内の貧困は語れないのではないかと感じた。

元ネタはこちらから。