2006/12/29

reprise

私は、もう一度戻ることを思った。拳銃を発見した時の状態に、私と拳銃がある意味で、よくわからないが、対等だった状態に、戻ることを思った。
しかし、やはり難しかった。
拳銃はもう私の一部であり、大袈裟に言えば、私の理性の中に入り込んでいた。拳銃というものが持っている性質、撃つという性質は、常に私をそういう方向へ動かしたがった。
(中村文則 『銃』)