2006/10/11

居残り談志

仕事を早めに切りあげ、立川談志「家元の独断場・特別編『一期一会』」へ。内容はよくわかってなかったのだが、行ってみれば独演会形式で二席。『やかん』と『居残り佐平次』。

ひとり会でいつも配られる家元からのメッセージが書かれたパンフが今回も配られたので、客席でさっと目を通す。

「我立川流は『伝統を現代に』語る弟子も居るし、『伝統芸』もキチンとしている。ナニ、別にどうということでもなくなってきた。/いい落語家が出りゃあいいのだ。/とりあえず家元も今年一杯か…。」

今年一杯か、みたいな自虐ネタはいつものことではあるけれど、お弟子さんのくだりがちょっと気になった。最近出た談笑師匠の『超落語!』に寄せた前書きでも、俺にはよくわからんが、こういう落語へのアプローチもありなんじゃないか、みたいなことを書いていたから。

腹のうちはどうあれ、基本的に、「弟子もよくなってきたが、まだまだ俺のほうが上」とか、「あいつらとは見えてるものが違う」というスタンスの人だった。
それがここにきて(志の輔・志らく・談春の三人会や志の輔との二人会あたりから?)、弟子を認めるというか、立川流に関してはとりあえず、それぞれの料簡で立つ落語家が揃ったと。それに関しては自分にはもういいも悪いもない。あとはお客なり時代なりが判断すればよい。みたいな発言が目立つようになってきた。

一席目の「やかん」をサゲたあと、高座に残ったまま、次は「『へっつい』演ろうと思ってたンだけど、『居残り』演ろうか。いいかな?」と客席に尋ねる談志師匠。おそらく完全にその場の思いつき。
でも思うところがあったのかもしれない。

「はじめて聴く方は、どうぞ昔の談志はもっと上手かったんだろうなと思いながら聴いてください――」
まくらも短く、チェルフィッチュ化もなしの『居残り佐平次』。
本人も納得の内容だった3年前の平塚での『居残り』をなんとか再現するべく、
丁寧に丁寧に演じられる『居残り佐平次』。

そして再現とはいかなかったが、終わってみれば「なんとか身体が30分もった。まあそこそこのものにはなったんじゃないでしょうか」との弁。
いつもほど愚痴もなく、その顔も心なしか清々しい。

そのまま高座に「居残り」続けたところでサプライズが!
なんと舞台上に立川流の真打ちが勢揃い。
しかも談志師匠に花束贈呈ときた。
立川談志、70歳、古希のお祝いとのこと。
最後は立川流の今後の発展を願い、里う馬師匠の音頭による三本締めでお開き。

なんというか談志師匠、ようやくケリがついたのかな。

これからの立川談志はどこへ向かうのか、それも楽しみだけど、
とにかくこの一年、すごいものを見せてもらって、本当に、ありがとうございました。