2006/08/21

最近のニキータ③ チェルフィッチュ化する談志

しばらくネットから遠ざかっていました。
メールとかミクシィの業務連絡とか滞っていてすみません。
そろそろちゃんとします。

ずうっと部屋の片づけをしてました。行き着くところまできてしまった部屋のジャングル化に、生命の危機すら覚えたので。

新しい本棚を運んできた運送屋さんの前でCDラックを倒し2000枚近いCDをぶちまけたり(そうしないと本棚を置くスペースがなかった)、仕事の資料でもらった大量のエロDVDをブックオフに持ちこんだらけっこうな臨時収入になったり、マンガ喫茶で『キン肉マンII世』読んで現実逃避したり、でも逆にマリしゃんがシングルマザーに、という劇画オバQチックな展開にシビアな現実を思いしらされたり(あとキャプ翼で日向君がセリエCにしか入団できなかったりとか)、いろいろありました。いまさらですが亀田戦に関してはグレー判定云々以前に(というか、なんでみんなあんな怒るのかよくわからん)、じつはこんなにも壮絶な戦いが繰り広げられていたという事実に驚きを隠せません。あと七尾旅人さんの日記もよかった。やっぱりこうでなきゃ。

手間と時間をかけただけあって、部屋は見違えるほど片づきました。

そして、もはや「最近」でもなってしまったここ数ヶ月のニキータ。
落語も見ました。

Yumehitoyo「談志・志の輔 夢一夜」@新橋演舞場 05/30
この日の公演をフューチャーした情熱大陸(W杯クロアチア戦の裏で放送)では、「ライバルは過去の自分」みたいに締めてたけど、「いまの」立川談志ほど面白いものはないと思っている自分にとってはややもの足りなかった。

たしかに自分の高座の出来に納得のいかない談志師匠が、楽屋で志の輔師匠の高座(非常にウケている)を聞きながら、「なんなら志の輔に三席やらせばいいじゃねえか」とつぶやく姿は印象的だった。それに志の輔の「徂徠豆腐」が、キャラクター造形・心理描写の細やかさがサゲの美しさ、どれをとってもこれぞ「志の輔落語(古典)」としか呼びようがないほどの素晴らしさだったのも事実。

しかし、である。
談志の高座はさらに衝撃的だったのだ。

この日の談志師匠は完全にチェルフィッチュ化。
まず「子別れ」のあらすじをざっと説明してしまう。「これから『子別れ』という噺をやるんだが、さあどうやろうか」(!)。

噺の中断や脱線なんて余裕しゃくしゃく。平気で時間を巻き戻す。バージョンを替えてやり直す。志ん生っぽいならこう、圓生ならこう。
「あれ、まずいな、フツーの『子別れ』になっちゃてるよ」って!

そして極めつきは談志コール。なんと高座の上から自分で自分を応援!
「ガンバレ、ガンバレ、談志!!」
手拍子で応える客席!!

……すごすぎる。
志の輔の高座はその巧みな一人話芸で、客席を江戸情緒あふれるファンタジー世界に包み込む。名人芸とはそういうものだろう。
けれど談志は、談志の高座は、じつは落語とは着物着た一人の人間が座布団の上で何かワアワア言っているだけ、ということを暴露してしまっている。

談志は、そんな危ういリアリティの水準に立ちながら、人間の業を描きだす。
いや、人間の業に挑もうとするあまり、そのようなきわきわの領域、表現のヘリへと向かってしまう、そのこと自体、表現者の業なのかもしれない。

やっていることはチェルフィッチュやポツドールと変わらない。
そんな身体表現のエッジに、70歳の立川談志がいる。

思えば談志が内容、リズム、メロディを崩してまで、芝浜のおかみさんのセリフを変えたのは、チェルフィッチュよりもはるか以前のこと。
談志の「イリュージョン」は、岡田利規の言う、言葉やしぐさの親たる「イメージ」とゆるやかに響きあっている。

「小沢昭一の吉原へ御案内」@ヤマハホール 07/16
サマーソニックと並ぶ都市型夏フェスでおなじみの大銀座落語祭
六人の会メンバーはもちろんのこと、横山ノックから2年連続の快楽亭ブラックまで、今年も幅広い豪華ラインナップでありました。
そんななかでオイラのチョイスはこれ。
小沢翁の吉原談義を拝聴した上で、扇遊と圓菊の廓噺を堪能するというなかなか乙なプログラム……だったのだけど徹夜仕事の疲れから、客席で船を漕いでしまった。残念&申し訳なし。もしこれが家元の高座だったら、つまみ出されてたかも。

◆快楽亭ブラック毒演会@浅草大勝館 07/29
最近のブラック師匠については、ぜひともブログを読んでほしいんだけど、とりあえず、左膝を悪くし(骨粗鬆症?)、しばらく松葉杖生活だった、と。もちろん正座は無理なので、イスに座って話すというなかなかレアな高座が続いています。
といってもそろそろ次の毒演会(09/09)くらいから正座できるのでは、とのこと。

ネタは、「たがや」(この日は隅田川花火大会だった)、「目黒の秋刀魚」、「人性劇場」、「聖水番屋」。
ここ最近のブラック師匠、左足のハンディにも関わらず、噺のほうはすこぶる絶好調である。唐沢俊一さんに言わせると、「こんなに焼け太りする男もいない」。まさに芸人の鑑。
10/21には「心筋梗塞&大動脈血瑠一周年の会」なんてのも企画してるらしいし(唐沢さんによる講談「快楽亭ブラック倒レルノ記」も!)、他にもいろいろ企んでいるらしい。まだまだ楽しみは続きます。