2006/01/19

『ホテル・ルワンダ』

hotelr100日で100万人が惨殺されたというルワンダ大虐殺のさなか1200人の命を救ったホテルマンの実話を元にした映画、『ホテル・ルワンダ』。震えた。すごく巧く作ってあるのだが、意識せずのめり込んで観た。主人公ポールはけして聖人君主ではない。自身や家族の保身のため各方面への気遣いやときには賄賂も忘れない抜け目ない男だ。そんな男が民族紛争の恐ろしき状況に飲み込まれていくなかであれよあれよという間に虐殺される側の矢面に立っている。状況に棹さすのは5つ星ホテル支配人としての矜持。ポールは避難民にあふれるホテルの中でもパリっとしたシャツにネクタイをすることを忘れない。絶望も取り乱すことも許されない。そんなプレッシャーの中、持ち前の頭の回転の速さで幾度となく危機を乗り切る。だから家族やスタッフが見ていないところでこっそりと泣き崩れるシーンはとりわけ胸を打つ。

過去の歴史にポールのような人は数多くいただろう。名もない市井の人たち。ひるがえって現在は。情報がますますフラットに一元化され、なにかと付和雷同に流されやすく、またそういった趨勢自体が限りなく不可視なものとして進行しつつある現在、状況に抗するだけの矜持を僕たちは持ちえるだろうか。