2005/12/17

DANSHIS'

◆途中まで書きかけたまま放置してた。

◆先週末は快楽亭ブラック師匠のツアーに同行。金曜の夜に大阪で4席、土曜あさ名古屋に移動し昼に4席、夜に栄のSMバー(シチュエーション最高!)で21時からと23時から1席づつ計2席、ホテルで仮眠をとって日曜あさ東京にとって返し、そのまま日本橋亭のトンデモ落語会で1席、って心臓の再手術を控えた病人のやることじゃないよ!

◆とにかく芸人の生き様をまざまざと見せつけられた旅だった。会う人会う人みな強烈で、伝説のシンガー小林万里子さん(「ブラック師匠が倒れたのは元気いいぞうのせい」と断言!)やら筋金入りの快楽亭ファンKさんやらSMバーの女王様やらその他たくさん。お世話になりました。

◆明けて月曜は「立川談志ひとり会~秋三夜」の最終夜へ。よく考えりゃブラック師匠のことだって今年できるかぎり談志を見ようと思ったからこそ、こだわってるわけだ。師曰く「落語とは“業”の肯定なり」。ならばなぜ快楽亭ブラックが除名なのか? まあそれについては談志師匠が悔いてることを確認できただけでも十分ではあるのだが。

◆今回の談志ドキュメンタリー。一席目は講談話「青龍刀権次」。談志師匠が高座で釈台つかうのをはじめて見た。といっても直前にBSでやってた「立川談志 日本の笑芸百選」の録画(ベベンとやりながら100人の芸人を語り尽くす)を見たばっかだったので自然。それにしても「笑芸百選」最高でしたな。しつこいと言われるかもしれないけど、ここ最近の談志のテレビ・ラジオ出演はじつに凄まじいんだから。とにかく出たとこ勝負。話が暴走する・とっちらかる・まとまらない・終わらない。かつての談志ならやすやすと完全に掌握してみせたんだろうけど、いまの談志は強引にねじふせようとあがくあがく。言うなればメルヴィルの「白鯨」状態。それを見せちゃう談志も談志だし、引き受ける放送人も天晴れとしかいいようがない。でもって「笑芸百選」ではそんな談志を「好きな芸人について好きなだけ喋れる」というシチュエーションに置いたのだからこれがオモシロくならないはずがないのだ。

◆話がそれちゃった。「青竜刀権次」、の前にいつもの長いマクラでぼやき放談。マンションの耐震偽装問題について「お化け長屋」だと思えばいいじゃねえか、には笑った。ホント落語てのはよくできてるねえ。仕事でいけなかった夏の独演会でも掛けたらしい「青竜刀権次」は江戸から明治への移り変わりを時代背景にした不思議な味わいの話。紫の着流しにロシア製のピストルを構える「爆裂のお玉」てのがえらくカッコよかった。ただいまいち噺に乗りきれないようにも見受けられ、かつての談志の講談話にあった迫力を感じとることはできなかった。

◆中入り後は「付き馬」。いいなあ。こういう口八丁みたいな噺はいまの談志師匠で聴くとすごくいい。そういえばつい最近もまーた仕事でいけなかった横浜の独演会では「粗忽長屋」を演ったらしい。聴きたかった。

◆時間があまったので最後に時節柄「二度目の清書」のさわりを。

◆時節柄といえば今年の大晦日、紅白や格闘技の向こうを張ってMXテレビで2時間落語をやるらしい。当然トリは「芝浜」ってことになってるんだろうけど、いまの談志師匠にはもっと自由にやってほしいなあ。でもそこをあえて避けずにぶつけるというのもらしいのか。最後の「芝浜」、などというものはないのだから。立川談志とシルヴィ・ギエムはまったく異なる美学を生きている。たしかに誰に聞いても「昔の談志はすごかった」っていうし、落語家としては事実そうなのかもしれない。だけどそんなん関係なしにオレは「いま」の談志は凄いと思う。こんな生々しいドキュメンタリーを現在進行形で見られることに感謝する。