2004/08/13

『父と暮せば』・『原発切抜帖』

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11日、朝一番の回で『父と暮せば』を観に行く。平日の午前にも関わらず岩波ホール前には長い行列。三省堂のチケットぴあに寄り前売り券を買っておいたのでスムーズに入れたが、バカ正直に並んでたら観られるのは夜の最終回になるところだった。
原爆で人生を変えられた父と娘の対話劇。格調高さの中に淡々とした軽みが効いている。日本映画界の至宝・黒木和雄&原田芳雄コンビはいよいよもって円熟の境地。宮沢りえの凛とした美しさにも惚れ惚れする。

映画のあとは毎週恒例のジャニスへ。LOWのボックスセットもLittle Wingsの新譜もあっさりレンタルできてしまった。いいのか自分、とちょい後ろめたさも。新譜めっきり買わなくなったよな。
お茶の水のマンガ喫茶に移動し新井英樹『キーチ』の新刊(5,6巻)を。ついに学校に進学したキーチ。甲斐って同級生のキーチへの近づき方がいい。すっごく気になるくせに相手にそれを悟られるのは悔しい、ていう。あとテレビのディレクターが条件反射に言及するところ。「“それ”を撮るのではなく、カメラがあるからこそ“それ”が起こる」という原一男のドキュメンタリーのスタンスに通ずるものがあって気になった。新井英樹すげえなあ。

一日の締めはアテネフランセの土本典昭フィルモグラフィ展へ。『こんにちわアセアン』と『原発切抜帖』の二本立て。『アセアン』はウルルン風観光映画で正直ウトウトしてしまったが、『原発切抜帖』は噂にたがわず刺激的な映画だった。自他ともに新聞スクラップマニアと認める土本監督。そのライブラリーの中から原発に関するものをピックアップ、狂言回しに小沢昭一、演奏に水牛楽団を配したアーカイブ・ドキュメンタリー。無機質なベタ記事が絶妙にモンタージュされることで語り出す、日本の原発政策の矛盾や欺瞞。事故で漏れた放射能を遮蔽剤を入れた靴下で防ぐ「古靴下作戦」、モップと雑巾で放射性物質を拭う作業員。事実は信じられないほど薄っぺらく滑稽で、それゆえいっそう残酷である。ブッシュしかり、美浜原発の配管漏れしかり。映画は切り抜き作業の続く部屋のカットで終わるが、現在もまだ続いているはずである。